photo by Brendan Wood
中国で初めて新型コロナウイルスの感染が確認されてからもう9か月以上。世界中で景気が落ち込み、日本でも新型コロナウイルス感染拡大のために職を失ったり、休業に追い込まれたりするケースがたくさん見られました。日本政府は景気回復のための政策を投下していますが、回復にはまだまだ時間がかかりそうです。あらゆる人に経済的ダメージを与えているコロナ禍ですが、中には生活費が足りず光熱費など必要経費の支払いに困っているという人も。このような問題を緩和するため、電力会社や自治体などが公共料金や年金などの支払い期限の猶予を行っています。
公共料金・社会の支払い猶予について
新型コロナウイルス感染拡大が加速していた今年4月、日本政府は各自治体やエネルギー会社などに支払い猶予を実施するよう要請しました。携帯電話料金や損害/生命保険の保険料などの支払い猶予は5月や9月に終了していますが、10月現在でもまだガス、電力、各種税金や年金など、まだ猶予を実施しているものはあります。ただし、これらは各個人や法人で契約している会社、または所在地を管轄している自治体が異なるので、問い合わせや手続きは自分が契約・加入している会社や自治体へコンタクトをとる必要があります。
電気代
東京電力、中部電力、関西電力など、各電力会社は全て同様に電気料金支払い期日の猶予処置をとっています。内容は、新型コロナウイルスの影響で支払いが困難な人を対象に、9月分の支払い期限をを2ヵ月、10月分の支払い期限を1か月延長するというもの。申し込みは居住地を管轄する電力会社の営業所へ電話をかけて行います。
北海道電力 東北電力 東京電力 関西電力 中部電力 九州電力 四国電力
ガス代
東京ガス、関西電力(ガス)、中部電力(ガス)などのガス会社でも、電力と同様にガス料金の支払期日の延長措置をとっています。申し込みは同じく契約しているガス会社へ電話をし、新型コロナウイルスで支払いが困難である旨説明し、申し込みをしましょう。ガスは電力会社がガス部門としてオペレーションを行っている会社も多いので(関西電力や中部電力など)、自分の契約しているガス会社が電力会社と同じであれば、電気と同時に申し込みを行うといいでしょう。ガスは電力と異なり、会社によって措置の内容(期限延長の対象となる月)が異なります。下記の会社以外とガスの契約をしている人は、まずガス会社に猶予措置があるかどうかを問い合わせしましょう。
国民年金
学生や個人事業主など厚生年金の対象にならない人たちが加入する国民年金。保険料を満額払うと、月々の出費は16,540円とかなり高額です。生活が苦しくて国民年金の保険料が支払えないという人は、住所地の自治体、もしくは年金事務所へ申請することで保険料の免除または学生納付特例を受けることができます。免除や納付特例を受けるためには審査があり、昨年度の所得や今年度の所得見込みを開示して収入が減少していることを証明する必要があります。この措置はすでに収めた保険料に対してもさかのぼって申請することができます。
条件
- 令和2年2月以降に、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少したこと
- 令和2年2月以降の所得等の状況から見て、当年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれること
対象期間(学生とそれ以外で異なる)
- 免除猶予:令和元年度分(令和2年2月~令和2年6月)、令和2年度分(令和2年7月~令和3年6月)
- 学生納付特例:令和元年度分(令和2年2月~令和2年3月)、令和2年度分(令和2年4月~令和3年3月)
必要書類
- 国民年金保険料免除・納付猶予申請書(学生以外)
- 国民年金保険料学生納付特例申請書(学生のみ)
- 所得の申立書
- 学生証のコピー(学生のみ)
国民年金保険料免除・納付猶予の承認基準(単身の場合)
- 57万円以下:全額免除
- 78万円+社会保険料控除額等:3/4免除
- 118万円+社会保険料控除額等:1/2免除
- 158万円+社会保険料控除額等:1/4免除
国民健康保険
国民健康保険も年金と同じく所得に応じて減免を受けることができます。国民健康保険料は前年の所得を元に計算されるため、新型コロナウイルスの影響で今年度の所得が減少している人にとっては非常に負担になります。保険料の支払いが生活を圧迫している場合は、住所地の自治体へ保険料の郵送で減免申請をしましょう。
条件
- 新型コロナウイルス感染症により主たる生計維持者が死亡し、または重篤な傷病を負った世帯
- 新型コロナウイルス感染症の影響により、主たる生計維持者の事業収入等(事業収入、不動産収入、山林収入及び給与収入)の減少が見込まれ、以下のa – cの要件に該当する世帯
- 主たる生計維持者の事業収入等(事業収入、不動産収入、山林収入及び給与収入)の種類ごとに見た収入のいずれかが、前年に比べて10分の3以上減少する見込みであること
- 主たる生計維持者の平成31年、令和元年の所得の合計額が1000万円以下であること
- 主たる生計維持者の平成31年、令和元年中の「事業収入等以外の所得」と「事業収入等の中で10分の3以上減少していない収入にかかる所得」の合計額が400万円以下であること
対象期間
令和2年2月1日から令和3年3月31日までに納期限を設定しているもの
必要書類
- 申請書(自治体のウェブサイトからダウンロード、もしくは自治体から郵送してもらう)
- 申請者の身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等の顔写真付きのもの)
- 新型コロナウイルス感染症の影響による、主たる生計維持者の収入の減少が確認できる書類(給与明細や通帳など)
国民健康保険料の減免基準
平成31年・令和元年の合計所得金額が
- 300万円以下:10割
- 400万円以下:8割
- 550万円以下:6割
- 750万円以下:4割
- 1000万円以下:2割
地方税(住民税など)
会社員であれば所得税や地方税は給与から天引きされているため、自分で支払うことはほとんどありません。しかし学生などアルバイトをしている人の中には、勤務先が所得税しか天引きしておらず地方税は自分で払っているという人もいるようです。もし地方税を自分で支払わないといけないけれど、新型コロナウイルスの影響で収入が減ったために生活に余裕がない人は地方税の納税が最大1年間猶予されます。申請は住所地の市区町村役場へ郵送で行います。
条件
- 新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること。
- 一時に納税を行うことが困難であること。
対象期間
令和2年2月1日から令和3年2月1日(注)までに納期限が到来するもの
必要書類
- 申請書(自治体によって異なる)
- 収入の減少等の事実があることを証する書類(給与明細・預金通帳等の写しなど)
- 一時納付・納入が困難であることを証する書類(預金通帳・現金出納帳等の写し、財産収支状況書、財産目録及び収支の明細書など)
まとめ
この度のコロナ禍は日本にも大きな経済的打撃を与え、日本に住む外国人もたくさん影響を受けています。中には内定の取り消しや勤務先からの雇いやめなどで、突然収入源を失った人も。一番難しいのは、収入が途絶えても水道光熱費や社会保険料などの支払いは変わらず続くこと。しかし、この難局を受けて光熱費や各種税金の支払いを猶予する特例が打ち出されています。もしまだ申請をしていないという人は、速やかに供給会社や自治体などに連絡して申請を行いましょう。