photo by Atsushi HASEGAWA
人間が生きていくうえで、必ず出てしまう生活ゴミ。日本にくる以前は、ゴミ出しは全てのゴミを2、3種類に分別して週に一度大型のゴミ入れを、家の前の通り沿いに出しておくだけだったという人も多いのではないでしょうか。シンプルなゴミ出しルールの国が多い中、日本のそれは非常に複雑。分別の種類が多いだけでなく、ゴミの出し方も事細かに決められているのです。しかも、ゴミの回収は自治体が行っているため、住む場所によってゴミ出しのルールが変わってくるという問題も。実際、日本で生活を始めたばかり人にとってはかなりの負担となっているようです。そこで、今回はこれから日本に住む予定の人や、まだ日本に来て日が浅い人のために、日本での家庭ゴミ分別ルールについてご説明します。
日本のゴミ回収について
日本のゴミの回収は、ほとんどの場合自治体が主体になって行っています。ゴミ収集を個人的に契約する必要がなく、回収にかかる費用も基本的には税金で賄われる一方、ゴミの分別や出し方は自治体が指定した規則に従わなくてはなりません。ゴミ出しの規則は自治体が独自に決定しているため、引っ越しなどで住所地が変わるとゴミ出しの規則が大きく違っていた、ということは頻繁にあります。各自治体は必ず、ホームページや各家庭に配布されるパンフレットなどで、分別方法、ゴミの出し方、回収日、回収頻度などを公表していますので、チェックしておきましょう。また、自治体が指定する分別方法や出し方はかなり細かく決められており、経済的な負担が少ない分、ゴミを出す側の手間が多くなる仕組みになっています。
日本の一般家庭から出る廃棄物は、自治体によって回収された後、大部分が焼却処理されます。それ以外の廃棄物はリサイクルされるか、ごく一部は埋め立てに使用されます。廃棄物の回収と処理は、各自治体が責任を持って行いますが、その前段階である細かい分別は各家庭で行うことになっています。ゴミを出す場所は、各自家の前に出す、地域ごとに決められた集積場所に持っていく、集合住宅の場合は各建物ごとに指定の場所に置いておくなど、様々。ここでは、東京都新宿区の規則を例に日本でのごみ分別方法・出し方について見ていきましょう。
可燃ごみ
次に当てはまるごみは「可燃ごみ」として分別され、焼却処理されます。回収頻度は自治体によって異なりますが、週2回のところが多いです。出すときはふたつきの容器か指定のゴミ袋に入れます。
- 生ごみ:水分は十分に切って出すこと
- 食用油:凝固剤で固めるか、紙類に染み込ませて出す
- 紙くず、古紙回収に出せない紙類:買い物のレシート、細かく裁断された紙など
- 植木の葉・枝:植物のゴミは50㎝程度に切ったものを2-3束ずつ。それ以上の場合は、自治体に連絡して費用を払い、回収してもらいます。
- 衣類、紙おむつ
- プラスチック製品:汚れの取れない容器包装プラスチック(PETボトルや食品トレイなど)、容器包装ではないプラスチック製品(プラスチック製のおもちゃや文具など)が含まれます。
- ゴム・皮革製品:金属部分は取り外すこと
包装容器プラスチック
プラスチックごみの中でも、食品などの容器は可燃ごみではなく資源としてリサイクルされます。ごみとして出す前に必ず使い切って軽く洗い、ふたつきの容器か指定のごみ袋にいれて出します。
- ポリ袋類・フィルム
- トレイ類・パック類
- 容器類・カップ類
- PETボトル以外のプラスチックボトル:PETボトルはガラス瓶や缶などと一緒に出します。
- キャップ類・PETボトル付属品
- 緩衝材・梱包材
びん・缶・PETボトル・乾電池など
これらのごみは、次の項目ごとに分類して中身の見えるポリ袋などに入れて出します。回収は週1回の自治体が多いです。
- びん:飲料、食品用、化粧品、飲み薬用のガラス瓶のことです。
- 缶:飲料・食品用のアルミ缶・スチール缶
- PETボトル:PETマークのついたもの。洗浄しても汚れが落ちないものはリサイクルできないので、可燃ごみとして出します。
- スプレー缶・カセットボンベ・乾電池:必ず使い切ってから出します。
金属・陶器・ガラスごみ
アルミホイルなどの金属、皿や鏡などの陶器やガラス製品、乾電池などはふたつきの容器や指定のごみ袋に入れて出します。回収頻度は前述のごみよりも少なく、月2回程度の自治体がほとんどです。蛍光灯やドライヤーなどの小型家電、乾電池もここに含まれます。
古紙
新聞紙や段ボール、牛乳パック、雑誌、ティッシュの箱などは、可燃ごみではなく「古紙」としてリサイクルします。古紙はその他のごみのように容器や袋に入れるのではなく、A4サイズ程度に折りたたんだうえ、ひもなどで縛って出す必要があります。
まとめ
いかがでしょうか。今回取り上げたものはごく一般的な家庭ごみのみですが、それでもかなり種類が多く、出し方も細かく決められていますね。ゴミの分別はぶ一般ごみとリサイクルごみの2種類に分けて出せば、あとは業者が分別・処理してくれるという国も多い中、日本では各家庭での労力の負担割合が少々高くなっています。日本でひとり暮らしやルームシェアなどをする場合には、ごみ出しをする機会がたくさんありますので、事前に日本のごみ出しルールについて調べておくといいですよ。