photo by Sonia Belviso
信じてもらえるでしょうか?今から20年以上前、飛行中のJAL航空機の中でも喫煙が許されていたことを。今考えると信じがたい話ですが、かつて日本では、いつどこで喫煙しても誰からも咎められることはありませんでした。しかし世界中で喫煙規制が加速している今、日本でも2020年のオリンピック開催までに世界のスタンダードに合わせるため、どんどん喫煙に関する規制が厳しくなっています。
日本の屋内喫煙規制
実は日本は数年前まで、世界的にみるとかなり喫煙者に寛容な国でした。多くの国で公共の屋内全面禁煙を実施しているのに対し、日本では分煙しているとはいえ飲食店の中で食事をしながら喫煙できる、というのはごく当たり前のことでした。現在でも飲食チェーン店などでは、エアカーテンなどを取り入れて喫煙席と禁煙席を設けています。しかし、オリンピックの開催を前についに国と東京都が受動喫煙を制限するために、新たな法規制の導入を発表。さらなる喫煙規制が実施されることになりました。喫煙に関する条例は自治体によってきめられているので、同じ屋内であっても地域によって喫煙ルールが変わってくるのですが、例えば東京都では2020年から次のような規制が導入されます。
公共施設
- 敷地内全面禁煙:保育所、幼稚園、小学校、中学校、高校
- 敷地内の屋外に喫煙場所設置可:大学、医療機関、児童福祉施設(保育所・幼稚園を除く)、行政機関の建物、公共交通機関の建物
その他の公共施設(飲食店を除く)
原則として屋内禁煙、屋外に喫煙場所設置可
飲食店
- 喫煙・禁煙を選択可:従業員のいない、敷地が100平方メートル以下、資本金5000万円以下の飲食店
- 原則として屋内禁煙:上記以外の飲食店
喫煙目的施設
喫煙可:屋内公衆喫煙所、たばこを販売している喫煙目的のバーなど、店内で喫煙可能なたばこ店
公共交通機関の喫煙規制
現在日本の公共交通機関では、車内や船内での喫煙を厳しく規制しています。飛行機は世界的に全面禁煙、鉄道も一部を除き全面禁煙を導入しています。
- 鉄道:東海道・山陽新幹線、九州新幹線、一部の寝台列車を除き、喫煙車両なし。
- 飛行機:国内線・国際線ともに船内全面禁煙
- フェリー等の船舶:船内に設けられた喫煙所を除き、船内禁煙
- バス:車内禁煙
路上の喫煙規制
photo by くーさん
屋内で喫煙が制限されても、外に出て吸えばいいのではと思う人も多いですが、日本の愛煙家をさらに悩ませるのがこの「路上喫煙の規制」です。2002年に東京都千代田区が罰則規定を設けてから、その他の自治体でも歩きたばこや吸い殻のポイ捨てはもちろん、立ったままの喫煙、自転車などに乗りながらの喫煙などに罰則がかけられるようになりました。罰則は主に罰金や過料を徴収されるもので、金額は1000円から5万円と自治体によって異なります。
また、路上喫煙の規制エリアも各自治体が決定しています(例えば、東京都千代田区では、ほぼすべての公道が規制対象)。路上喫煙禁止のエリアには、道路上に写真のようなマークが表示されています。
加熱式たばこや電子たばこは?
たばこの葉を加熱して生じた蒸気を吸う加熱式たばこ、たばこ風味の液体(日本ではニコチンを含まないもののみ許可)を加熱して発生した蒸気を吸う「電子たばこ」は、従来の紙巻きたばこに変わる嗜好品として使用者が増えています。屋内の場合、加熱式たばこ・電子たばこともに紙巻きたばこと同列に扱われ、喫煙が許可されている場所のみで使用できる場合がほとんどです。
意外にも路上での使用に関しては明確にされていないことが多く、自治体によってかなりばらつきがあります。東京23区の場合は次のように規定されています。
- 加熱式たばこ・電子たばこともに全面禁止:大田区、渋谷区、品川区
- 加熱式たばこは禁止:杉並区、荒川区、千代田区、北区
- 規定なし:新宿区、墨田区、台東区、中央区、目黒区、江戸川区、板橋区、豊島区、世田谷区、葛飾区、江東区、文京区、港区、中野区、練馬区、足立区
結局どこで煙草を吸えるのか?
ここまで日本の喫煙規制を確認してきましたが、結局のところ、愛煙家はどこで煙草を吸えばいいのでしょうか。これまでの話を総合すると、喫煙は次のような場所に限られます。
- 公共施設の喫煙スペース(駅やショッピングモールの喫煙ルームなど)
- 飲食店の喫煙席
- 屋外の灰皿のある場所(コンビニの前や路上など)
- たばこ店やバーなど、喫煙目的の場所
覚えておきたいのは、自治体の路上喫煙禁止エリアであってもコンビニエンスストア前など、灰皿を備え付けてある場合は規制の対象外になるという点です。
まとめ
日に日に厳しくなる喫煙規制。日本も以前ほど喫煙者に寛容ではなくなってきました。さらに2020年からは新しい規制の導入とあって、いったいどこで煙草を吸えばいいのかと嘆く愛煙家も多くいます。一番のネックは路上喫煙が禁止されている点。喫煙者本人の健康被害を阻止するために喫煙規制を行う国が多い中、日本はあくまでも受動喫煙ややけどといった他者への配慮のために規制を行っている、という背景があります。ただし、各自治体も規制を強化するだけでなく、公共施設の喫煙所の整備や路上にも喫煙スペースを設けているので、喫煙をしたいときは積極的に利用しましょう。