photo by hiromitsu morimoto
ほとんどの先進国で右肩上がりに物価が上昇している中、日本は比較的インフレが緩やかだと言われています。加えて、賃貸物件の家賃も、他の先進国と比べるとやや安い傾向にあります。しかし、東京や大阪などの都市部は人口も多く、やはり家賃も高め。日本に住んでいる人の中には、毎月の家賃を払うのが大変という人もいるのではないでしょうか。日本には、収入が低いために住居の確保が困難な人のために、自治体が運営する公営住宅があります。この公団住宅に入居するためには、どういう手順を踏めばいいのでしょうか。
公営住宅とは
日本でいう公営住宅とは、都道府県や市町などの自治体によって運営されている賃貸物件のこと。一軒家ではなく、アパートのような集合住宅になっています。誰でも入居できるわけではなく、原則として、収入が少なく住居探しが難航している人のための補助としての施設で、世帯年収や就労状況など自治体によってきめられた条件を満たしている人が応募できます。また、入居の募集はどの自治体も定期的に行っていますが、入居の可否は完全な抽選で決まるため、応募条件を満たしている人が必ず入居できるというわけではないので注意が必要です。条件を満たしていれば外国籍の人でも応募できます。
公営住宅は日本の各自治体にたくさんありますが、都心部はやはり人気が高く、東京23区の中にはなんと競争率40倍以上になる地域もあります。逆に地方に行くと競争率2倍以下の地域もあり、場所によって倍率は大きく変わってきます。
公団住宅入居の条件
公営住宅に入居するための条件は各自治体によって少しずつ異なりますが、多くの自治体で次のような条件が挙げられています。
- 世帯収入が自治体の決める基準内に収まること
- 住居探しに困っていること
- 申込者が成人であること
- 公営住宅を管理する自治体に居住している、または勤務先があること
- 地方税の納税を滞納していないこと
- 入居予定の人全員が暴力団員でないこと
- 入居予定の人全員が、市営住宅の家賃、市営店舗及び市営住宅等附設駐車場の使用料などを滞納していないこと
募集条件は各自治体のウェブサイトなどで確認できますので、応募する前に必ず確認しておきましょう。
家賃は?
公営住宅は一般の賃貸物件よりも家賃が安いと言われますが、その家賃はどのように決まっているのでしょうか。公営住宅の家賃は、世帯年収を基に計算した①家賃算定基礎額に、②立地係数、③規模係数、④経過年数係数、⑤利便性係数をかけて算出されます。
①家賃算定基礎額
世帯収入(月額) |
家賃算定基礎額 |
10.4万円以下 |
34,400円 |
10.4万円超 12.3万円以下 |
39,700円 |
12.3万円超 13.9万円以下 |
45,400円 |
13.9万円超 15.8万円以下 |
51,200円 |
15.8万円超 18.6万円以下 |
58,500円 |
18.6万円超 21.4万円以下 |
67,500円 |
21.4万円超 25.9万円以下 |
79,000円 |
25.9万円超 |
91,100円 |
*世帯収入=(世帯の年間所得額 – 世帯の控除額の合計) ÷ 12
②立地係数:市町村単位の立地の便益を表す値。国土交通大臣が各市町村の地価の状況を勘案して、0.7~1.6までの範囲内で市町村ごとに定める。
③規模係数:住宅の専用部分の床面積に応じた値
④経過年数係数:建設時からの経過年数に応じた値
⑤利便性係数:住宅の利便性(交通条件、公営住宅の設備等)に応じて地方公共団体が定める値
このように、公営住宅の家賃は入居者の所得や住宅の立地条件、築年数などによって変動しますが、総じて周辺にある一般の賃貸物件の半額またはそれ以下になる場合もあります。
公営住宅の申し込み手順
公営住宅の入居募集は定期的に行われます。年4回が多いですが、物件によっては毎月行う場合があります。応募から入居までの手順は次のようになります。
- 公営住宅の募集を確認&申し込み:申し込み用紙、またはオンラインで受け付けている場合もあります。
- 一次審査(書類審査):申込書の内容が条件を満たしているかどうか審査
- 抽選会:抽選で当選した人のみ、次のステップへ進みます
- 仮当選:自治体から仮当選の通知書と二次審査の日程のお知らせがあります
- 二次審査&二次審査書類の提出:自治体職員と面接、および、二次審査書類(事前に用意)を提出
- 入居許可者の決定&通知
- 鍵の引渡し
- 入居
まとめ
日本全国の各自治体にある公営住宅。同じ地域にある一般の賃貸物件よりも格安で借りられるとあって、毎回募集のたびにたくさんの応募が寄せられます。コロナ禍の影響などで収入が減ってしまい、住居の確保に困っている人にとっては強い味方です。外国籍の人でも応募可能。応募は申込用紙を提出、またはオンラインで受け付けている場合もあるので、応募したい公営住宅のある自治体のウェブサイト等で確認しましょう。また、公営住宅に入居するためには生体収入などの応募条件を満たしていないといけないので、そちらも自治体のウェブサイトを見て確認しておきましょう。