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人生で最も経費のかかるもののうちのひとつ、教育費。とりわけ高等教育にかかる費用は群を抜いて高額で、海外からの留学となるとさらに費用が掛かってしまいますね。日本には数々の奨学金団体が存在しており、たくさんの学生たちが進学費用の一部を補てんするために奨学金制度を利用しています。各教育機関が留学生の受け入れに積極的な昨今では、海外からの学生を対象にした奨学金制度も多数。もちろん、留学費用のすべてをまかなえるわけではありませんが、給付を受けることができれば少なからず経済的負担が軽減されます。今回は留学生が日本国内で利用できる奨学金についてご紹介します。
日本国内で受けられる奨学金について
日本には様々な奨学金実施団体があり、それぞれの基準に基づいて奨学金の給付・貸与を行っています。返済義務のある貸与型の奨学金は日本人学生も多数利用していますが、留学生向けの奨学金は給付型が多いようです。多くは、既に渡日して日本国内の大学などに在籍している留学生を対象にしていますが、海外から応募できるものも存在します。
日本で奨学金を受け取るために必須なのは、実施団体の設定する募集条件を満たしていること。ほぼ全ての団体が課している条件としては、外国籍であること、成績優秀もしくは一定基以上の成績を収めていること、健康であることが挙げられます。その他、年齢制限がある場合も。奨学金を受給中の留学生の授業の出席率が悪かったり、成績が著しく悪化する、大学等を休学・退学してしまったりなど、実施団体の基準に合わないと判断された場合には奨学金を打ち切られることもあります。
日本政府(文部科学省)奨学金
日本の文部科学省が実施している国費外国人留学生制度によって給付される奨学金。在外日本国大使館、または日本国内の大学などの推薦を受けて応募することができます。高等専門学校留学生から大学の学部留学生、大学の卒業生またはそれと同等の学力のある者など、幅広い層を対象にできるよう特定の学業分野を対象とした7種類の奨学金制度が用意されています。月ごとの給付金の他に渡日のための往復航空券の支給や、授業料が免除になるなど非常に手厚いことが特徴。応募者の中から第1次・第2次選考を通じて学業優秀な人が採用されます。第1次選考は書類審査・筆記試験・面接があります。
応募先:在外日本国大使館、在籍する大学等
募集時期:国内採用は10月~11月、国外採用は奨学金の種類によって、11月~12月、1月~2月、3月頃
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金
独立行政法人である日本学生支援機構(JASSO)は、文部科学省外国人留学生学習奨励費と海外留学支援制度(協定受入)奨学金を実施し、日本で学ぶ留学生を対象にひと月に一定額を支給しています。対象者は高等教育機関全般と日本語教育機関もカバーするなど幅広く、募集人数も他の奨学金と比較して大幅に多いのが特徴です。また、文部科学省外国人留学生学習奨励費に関しては留学生の出身地域、年齢、専攻分野に制限がありません。ただし、募集は全て留学生が在籍する日本国内の教育機関を通じて行われ、一定の成績基準を納めることや、仕送り額や日本での扶養者の年収の制限などがあります。
応募先:在籍する日本国内の大学など
募集期間:3月下旬~5月下旬(在籍する教育機関によって変動
民間団体が運営する奨学金
現在100を超える団体が奨学金制度を実施しています。団体ごとに留学生の出身国・地域、対象年齢、対象分野などの条件を設定しており、募集時期も異なります。奨学金の月額も3万円~20万円程度と団体によってかなりの幅で変動。もとより学生の経済的支援を目的に設立された財団や、日本の企業が社会貢献の一環として実施している奨学金もあります。団体に直接応募できるものもありますが、大多数が在籍している日本の大学等を通じて応募する方式を取っているため、海外からの応募が難しいものも多いです。
応募先:在籍する日本国内の大学など
募集期間:団体によって異なる
地方自治体やその関連団体が運営する奨学金
比較的少額(月額1万円~5万円程度)を支給する奨学金で、地方自治体やその関連団体によって実施されています。出身国・地域、年齢、学業分野には制限を設けていないところが殆どですが、その代わり奨学金を実施している自治体にある大学などに在籍していることが条件になります。そのため、日本国外から応募できるものはほぼありません。募集期間は自治体によって異なりますが、3月~6月の間のいずれかの月に募集をかけるところが多いです。
応募先:在籍している日本国内の大学など、稀に団体へ直接応募可
募集期間:3月~6月のいずれかの月が多い
大学や短大が実施する奨学金
独自の奨学金を実施している大学も日本国内には多数あり、日本の名門大学も軒並み名を連ねています。月額にして数万円を奨学金として受け取れるもの、給付金ではなく授業料の減免として付与されるものなど、色々なタイプがあります。また、渡日前に奨学金受取の可否を知らせてくれる大学も多数。選考は書類審査のみの大学、書類審査に面接が加わる大学、稀に筆記試験が加わる場合もあります。独自の奨学金を実施している大学はかなりの数ありますので、日本への大学留学が決まったらまず入学を希望する大学に奨学金制度があるかを調べてみるといいでしょう。
応募先:入学予定、もしくは既に在籍している日本国内の大学や短大
募集期間:大学によって異なる
まとめ
私費で日本に留学している学生にとって、日本での学費や生活費は大きな負担。そんな時、奨学金を受けることができれば大きな助けになりますね。日本人学生や留学生の支援を行っている日本学生支援機構(JASSO)のウェブサイトでは、各奨学金の一覧や募集要項などを紹介しています。日本での奨学金を希望する人は、ぜひ一度目を通してみてください。