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環境にも人にも優しい農業を目指し発展してきた有機農業。日本でもアレルギーや喘息患者数の増加や環境要因の疾患への関心から、より安心な食品を求める人が増え、オーガニック食品や製品への関心・需要が高まっています。日本を旅行中のみなさんの中にも、口にする食品には気をつかってオーガニック野菜を摂るようにしている、という人もいるかもしれませんね。ところで、この有機農業を利用して、お金をほとんど使わず院本で生活する方法があることをご存知でしょうか?それはWWOOFと呼ばれる有機農業に関する相互協力のためのプログラム。お金を使わずに日本に滞在できるなんてとても魅力的に聞こえますが、いったいどのようなプログラムなのでしょうか?
WWOOFについて
WWOOFは1970年代にイングランドで生まれた、有機農家とウーファーが相互に助け合うことを目的としたプログラム。ホストと呼ばれる有機農業事業者とウーファーと呼ばれる手伝い提供者が存在し、ホストはウーファーに食事と住環境を提供し、ウーファーはホストが行う農作業などの手伝いをすることでお互いを助け合います。当初は週末にボランティアで有機農家の手伝いをするという小規模の運動でしたが、現在では60か国に事務所を設置するまでに拡大しており、日本でも1994年から本格的に活動を行っています。WWOOFはホストとなる受け入れ側は有機農業を営む個人農家が多いですが、農家に限らず有機食品を扱う様々な事業者が参入しています。農薬や化学肥料を使用する通常の農業に比べ、有機農家はこれらを使用しないためそのぶん人手が必要になります。そのような背景の中、WWOOFは手伝いの手が欲しい有機農家と農業体験したいボランティアをつなぐ役割を担っています。
WWOOFでできる手伝い内容
WWOOF Japan に登録しているホストは有機農園を経営している所から、家庭菜園的に有機栽培を実践している個人、農家レストランやカフェなど様々。そのため、手伝いの内容も農作業から家事手伝いのようなものまで多岐に渡ります。下記は手伝い内容の一例です。
- 種まき、収穫、草取りなどの農作業
- まき割り、まき運び
- 設備のメンテナンス
- 食事作り
- 食品加工
- パッキング
- 掃除、建物のメンテナンス
- 雪かき
- 庭の手入れ
- 店舗の手伝い
利用方法
まず会員登録
日本でウーファーとして活動を行うためには、まずWWOOF Japan のウェブサイトから会員登録を行い、年会費5500円を支払います。翌年以降も継続して会費を支払い続けると、継続優待が適用され年会費が次の通り割引になります。
- 2年目:5,000円
- 3-4年目:3,000円
- 5年目以上:1,500円
支払が完了するとWWOOF Japan から通知メールが送信され、登録完了のお知らせが来ます。
ホストにコンタクト
WWOOF Japan のウェブサイトから登録ホストの詳細、ウーファー募集の詳細、受け入れ状況などが掲載されています。自分の訪れたい地域、手伝いの内容などを確認し、希望のホストを決定します。サイトのメッセージ箱から希望のホストにコンタクトを取ります。ホストから承諾の返事が来たら、ホストの詳細開示をリクエストし個人情報を送信してもらいます。ホストと相談して受け入れの日時などを決定、当日はウーファー許可証を持ってホストのところへ出発します。
※WWOOF Japan への登録、ホストとウーファー間のやりとりはインターネットを介してのみ行われます。
※ホストとウーファーの間に金銭のやりとりは一切発生しません。
ウーファーとして活動するために知っておくべきこと
- WWOOFはホストが食事と住居を提供し、ウーファーが力を提供するという相互協力の他に、人とのコミュニケーションをとても重要視しています。ウーファーは外からのボランティアやゲストとしてではなく、ホストと一緒に生活を共にする家族のような存在になります。
- ウーファーは原則としてホストと同じ住居に滞在し、一緒に食事をとります。手伝いに費やす時間は1日6時間程度、1週間以上滞在する場合は、週1回程度のお休みがあります。
- 滞在期間はホストの募集内容によって異なります。数日だけ手伝いが欲しいホストもいれば、数か月単位で受け入れを行っているホストもいます。希望の滞在日数が決まっている人は、コンタクトを取る際にホストに交渉してみましょう。
- ホストの所在地は市街地から離れた山間部や農村地帯であることがほとんどです。周辺に民家、コンビニやファーストフード店がない場合も頻繁にあります。
- WWOOFは単にウーファーが食事と住居を手に入れる代わりに農家の手伝いをする、というボランティアではなく、有機農法やその土地の人の暮らし、外から来た人からの新たな知識を「学ぶ」ための交流でもあります。疑問に思うことや提案したいことがあれば、オープンに相手と話し合う姿勢を持つことが大切です。
まとめ
ホストとウーファーが力を合わせて有機農業に取り組むWWOOFプログラム。滞在費が無料であることがクローズアップされがちですが、そのだいご味は何といってもホストと生活を共にしながら交流が持てること。観光旅行では見ることのできない実際の日本の暮らしや、都市部では体験できない田舎での生活、日本の農業、新しい人間関係など、得られるものが沢山あります。単に観光スポットを巡るだけでなく、日本の生活を実体験してみたいという人にはお勧めです。