芸術の秋!行ってみたい日本の美術館・博物館

美術館

photo by Seungbong Lee

残暑も和らぎ、もうすっかり秋ですね。日本では夏の暑さが去って穏やかな気候が戻ってくる秋は、行楽や芸術鑑賞に適した季節とされています。確かに涼しくて空気もきれいな季節は、美術館や博物館でゆっくりと絵画や展示物を観賞したくなりますよね。日本には様々なジャンルの美術館や博物館が多数ありますが、今回はその中でも特に、訪日観光客からの評価が高い美術館・博物館を集めてみました。

 

根津美術館(東京都港区)

根津

photo by Kentaro Ohno

東京都港区にある根津美術館は、都心にありながら静謐とした空気の中で書跡・日本画はもちろん、陶磁や仏像などの彫刻、染色など様々な日本や東洋の美術品を観賞できる施設です。実業家・初代根津嘉一郎氏の蒐集した美術品を展示するために、東京都にあった同氏の邸宅を改装して作られました。美術館の規模としては大きい方ではありませんが、それでも美術館の開館当時で既に4600点あまり、現在では7400点を超える貴重な美術品を所蔵しています。その中には尾形光琳の「燕子花図」、鎌倉時代に作成された「那智滝図」など国宝指定作品7点、重要文化財87点、重要美術品97点が含まれています。美術品保護のため、定期的に展示替えが行われ、またテーマを絞った展覧会も季節ごとに開催されているので、訪れるたびに異なる作品を楽しむことができます。美しい美術品の数々と庭園に囲まれた静かな根津美術館は、忙しい都会生活の中でひと時の憩いを愉しむのに最適な環境です。

根津美術館
住所:東京都港区南青山6-5-1
電話:03-3400-2536
アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線、表参道駅より徒歩10分程度
入館料:一般1100円、学生(高校生以上)800円、中学生以下無料

 

江戸東京博物館(東京都墨田区)

東京江戸

photo by Raita Futo

今から1000年以上も前、京都で貴族文化が花開いていたころ、現在の東京は町ともいえない小さな集落の集まりに過ぎませんでした。東京都の前身である江戸の街が大きく発展を始めたのは、当時の将軍家である徳川家がその地に幕府を開いてからです。それ以降、江戸から東京へ名前を変えて現在に至るまで、この街は日本の政治経済・文化の中心としてたゆみない前進を続け、現在の姿にまで成長しました。ここ江戸東京博物館は、現在の東京が江戸時代からどのような変遷を経て現在の姿に至ったかを、つぶさに伝える興味深い博物館です。例えば、新宿や銀座、日本橋といった、現座では単に街の名称としか認識されていない地名も、元はそれぞれの地域特有の機能を由来としているのです。また、現在は伝統文化として広く認識されている歌舞伎や相撲の発展についての展示や、明治以降の西洋文化への傾倒の様子など、現在の東京を訪れるだけでは気付けない街の成り立ちを解りやすく解説しています。

江戸東京博物館
住所:東京都墨田区横網1-4-1
電話:03-3626-9974
アクセス:JR総武線 両国駅より徒歩3分
入館料:一般600円、大学生480円、高校生・都外中学生300円、小学生・都内中学生以下無料

 

平和記念資料館(広島県広島市)

原爆資料館

photo by Kagami

1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下されてから今年で72年。広島市の平和記念資料館は、核戦争の被害の実態や世界平和のための取り組みを世界に発信するため、平和記念公園内に1955年に開館しました。以来、当時の市民が実際に使用していた生活用品や建物の一部、写真のほか、爆撃前後の広島市内の様子を詳細にコピーしたジオラマなどの展示を行っています。展示物は中身が入ったまま焼き付いた弁当箱や、高熱で溶けかけたガラス瓶なども含まれており、当時の被害の凄惨さを伝えるものが多数含まれています。平和記念資料館は数年をかけての改修工事中で、2017年には東館がリニューアルオープン、2019には現在工事中の本館がオープンする予定です。また、数十年前までは被爆した人々の実体験を聞く機会もあったのですが、戦後72年を経て高齢化が進みこのような機会を設けることが難しくなっています。そのため、同じ平和記念公園の中にある国立原爆死没者追悼平和祈念館の中で、被爆者の体験記や証言ビデオの無料公開を行っています。

平和記念資料館
住所:広島県広島市中区中島町1-2
電話:082-241-4004
アクセス:JR広島駅から市内電車で25分、バスで20分
入館料:大人(大学生以上)200円、高校生100円、中学生以下無料

 

足立美術館(島根県安来市)

足立

photo by brian_ytsu

緑豊かな島根県安来市。足立美術館はこの土地出身の実業家、足立全康氏によって1970年に開かれました。幼少の頃より美術に強い関心を持っていた足立全康氏は、横山大観や北大路魯山人といった日本の画家や陶芸家の作品をコレクターとしても知られていました。足立美術館では、これら足立氏の貴重な美術品の数々が公開されています。また、この美術館の名を世界に知らしめているのが、枯山水の日本庭園。美しい庭園は日本全国に無数に存在していますが、足立美術館の庭園は周囲の山林風景とも融合するように慎重にデザインされ、窓を通して見た時に一枚の絵画となるよう計算しつくされているのです。また、庭園植物の成長で景観のデザインが変化してしまわないよう、定期的な植え替えや剪定が行われています。庭園が有名な美術館や神社仏閣などは、園内を散策できるところも多いですが、ここ足立美術館では庭園はあくまでも絵画として認識されるよう、屋内からの鑑賞に限られています。茶室の小窓を利用して掛け軸として見せたり、館内の大窓から一枚の日本画の大作のように見せたりと、日本庭園の奥深さを堪能できる美術館です。

足立美術館
住所:島根県安来市古川町320
電話:0854-28-7111
アクセス:JR安来駅から無料シャトルバスで約20分
入館料:大人2300円、大学生1800円、高校生1000円、小中学生500円

 

大塚美術館(徳島県鳴門市)

大塚

photo by Shoko Muraguchi

レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」やボッティチェリの「ビーナスの誕生」などのルネサンス期の作品から、ピカソの「ゲルニカ」やゴッホの「ひまわり」、クリムトの「接吻」などの近代絵画、ダリの「ナルキッソスの変貌」やモディリアニの「ポンパドゥール夫人の肖像」などの現代美術まで、世界の名画と言われる作品全てを一堂に展示する美術館。といえば、もちろんおわかりでしょうかが、ここ大塚国際美術館に展示されている絵画は全てレプリカです。ただしこれらのレプリカ作品は模写ではなく、原画の色を分析・データ化して原寸大で陶板に転写したもの。油彩画やフレスコ画などの美術品は古いものが多く、非常にデリケートで経年劣化が避けられず、扱いに非常に気を遣うもの。もちろん手を触れてみるなどもってのほかです。ここ大塚美術館は、素材の劣化を気にすることなく、これら世界の名画を楽しめる場を提供したいという思いから開かれました。実際に訪れて陶板名画を鑑賞してみるとよくわかりますが、どの作品も本物と見まがうほど精巧にコピーされています。特にバチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂の壁画のコーナーは圧巻です。

大塚国際美術館
住所:徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1
電話:088-687-3737
アクセス:神戸淡路鳴門自動車道「鳴門北インター」から鳴門海峡方面へ約3分
入館料:一般3240円、大学生2160円、小中高生540円

 

まとめ

一口に美術館や博物館といっても、日本の古美術や庭園、史実を学べる博物館や、特殊技術を駆使したレプリカ専門の美術館などその内容は様々。今回は日本全国の美術館・博物館の中でも特に海外からの評判がいいものを集めましたが、もちろん今回ご紹介したところ以外にも、日本にはたくさんの美術館・博物館があります。日本へ旅行する際には、目的地周辺にどのような美術館・博物館があるかチェックして、ぜひお気に入りを見つけてください。

 

 

あきらことほ

この記事を書いた人

あきらことほ あきら ことほ

日本を離れて11年。帰国の度に日本のいいとこ再発見。このコラムが皆様の「日本のいいとこ発見」のお役に立てればウレシイです!

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