photo by Tony Webster
2019年末に始まったコロナ禍。あっという間に世界中に広がり、いたるところでロックダウンが相次ぎました。今現在、日本では第二波ともいえるCOVID-19の再拡大が始まっており、未だに油断できない状況です。世界中で人の動きが制限され、飛行機の国際線も9割以上が運航停止状態のままになっています。そんな中、日本に住む中長期滞在者(留学生や技能実習生、会社員など)がコロナのせいで自国に帰国したくてもできない、というケースが急増。本来ならばビザが切れる前に日本を出国しなくてはいけないのに、事情があって日本を出られなくなってしまったという人が非常にたくさんいるのです。そのような事情の人を救済するため、日本政府が一時的に取っている特別措置をご紹介します。
帰国困難者のための特別措置「特定活動」とは
日本に住んでいる中長期滞在者は、「留学」「技能実習」「ワーキングホリデー」や各種就労など、様々な在留資格を持っています。在留資格は期限が切れる前に更新/切り替え、または日本から出国しなくてはなりません。しかし、このコロナ禍で世界的に国際線の運航が激減、日本国内外で移動制限がかかるなどいろいろな理由で、帰国したくてもできない、または日本滞在を続ける予定がコロナ禍のせいで潰れてしまったという人が急増しました。これを受けて、帰国困難者に「短期滞在(90日)」または「特定活動(90日)」への切り替えを許可して、帰国までのつなぎとしていました。しかし、未だに帰国困難者が後を絶たないため、日本政府は5月、次のような人に対して「特定活動(6か月)」を許可する旨を発表しました(就労許可の有無は、現在持っている在留資格と原則同じ)。
現在の在留資格 |
許可される特定活動 |
|
1 |
「留学」(2020年1月1日以降に教育機関を修了/卒業した人に限る) |
特定活動(週28時間以内のアルバイト可・6か月) |
2 |
「技能実習」、または「特定活動」のうちインターンシップ、外国人建設就労者、外国人造船就労者、製造業外国従業員(就労を希望する人) |
特定活動(就労可・6か月) |
3 |
1&2以外の在留資格(現在1&2の在留資格を持っている人で、就労を希望しない人を含む) |
特定活動(就労不可・6か月) |
申請方法について
特別措置の「特定活動(6か月)」の申請方法は、郵送と直接入国管理局へ出頭する方法の2種類があります。ただし、東京出入国在留管理局の管轄区域には特に外国籍居住者が多く、非常に混雑しています。その混雑を緩和するために郵送/出頭の申請方法は、現在持っている在留資格の種類によって決めらてれいるので注意が必要です。
郵送で申請する人
東京出入国在留管理局の管轄区域*1に住んでいる人のうち、次の条件に当てはまる人。
- 現在「留学」の在留資格を持っている人で、帰国が困難なために日本に在留し続けたい人
- 中長期在留者として在留していた元留学生のうち、帰国が困難なため、現在「短期滞在(90日)」で在留している人
- 上記a、bの配偶者および子供で、「家族滞在」または「短期滞在」で在留している人
- 中長期在留者として在留していた元技能実習生(元外国人建設就労者及び外国人造船就労者を含む。以下同じ。)であって、帰国が困難なため,「短期滞在(90日)」または「特定活動(3か月)」で在留している人
*1東京出入国在留管理局の管轄区域:茨城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,新潟県,山梨県,長野県
郵送先宛名リンク(宛名をプリントアウトして貼付できます)
郵送での申請は2020年9月30日必着
直接入国管理局へ出頭して申請する人
上記にある東京出入国在留管理局の管轄区域外に住んでいる人、または同局の管轄区域に住んでいても上記の条件a、b、c、dのどれにも当てはまらない人。
申請手順と必要書類
申請手順
- 下記の必要書類を全てそろえる
- 揃えた書類を指定の申請方法で出入国在留管理局へ提出(郵送/出頭)
- 出入国在留管理局から結果を受け取る(受け取り方法も郵送/出頭とあり、出入国在留管理局から指定があります)
必要書類
- パスポート(郵送の場合は写し)
- 在留カード(郵送の場合は写し)
- 在留資格変更許可申請書、または在留期間更新許可申請書(顔写真を貼付)
- 帰国が困難であることを証明できるもの
- 提出書類チェックリスト*2
- チェックリストに記載された資料(卒業した留学生の卒業証明書、技能実習生の受入機関からの理由書など)
- 返信用封筒(郵送申請の場合のみ)
- 収入印紙4000円分(郵送申請の場合のみ)
*2 チェックリストリンク
留学生,元留学生又はこれらの家族(郵送)、留学生,元留学生又はこれらの家族(出頭)、技能実習生等,元技能実習生等
注意事項
- 東京出入国在留管理局の管轄区域では、一部の申請者は郵送のみで受付を行っています。郵送で申請をする人が窓口に来ても、受け付けてもらえません。また、出頭で申請をする人が書類を郵送しても受け付けてもらえないので、受付方法を必ず事前にチェックしましょう。
- 現在就労ビザやワーキングホリデービザを持っている人は、そのままの資格で在留できる措置もあります。残りの在留資格が6か月以上ある場合は、特定活動に切り替えてしまうと在留期間が短くなってしまうため、自分の持っている在留資格の条件を考慮して申請しましょう。
- コロナ禍中の在留資格への特別措置は、状況に合わせて随時変更されるため、出入国在留管理庁のホームページなどを定期的にチェックしましょう。
まとめ
まだまだ収束が見られない今回のコロナ禍。世界各国で移動制限や国境管理の強化が行われ、日本にも自国に帰りたくても帰れない人たちがたくさん存在しています。各国によって手配されたチャーター便などもありましたが、十分ではありません。今現在、帰国困難な人で在留期間があまり残っていないという人は、今回ご紹介した「特定活動」という特別措置があるので申請を検討してみましょう。