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日本の都市東京は、国の政治の中心であるだけでなく経済の中心でもあります。そのため、就業の機会も東京都とその周辺に集中しており人口も過密になっています。ずいぶん前から日本では、首都圏のみに人口が偏りすぎることが問題になっていました。この問題を解決するために近年では国と地方自治体が協力し、「地方創生起業支援・移住支援事業」と称して首都圏から地方への移住を検討する人に支援を行っています。これらの制度は条件が合えば外国人でも利用できるのです。
地方創生起業支援・移住支援事業について
人口や就労機会、経済活動が東京に一極集中している現状を解決するために国が実施しているのが「地方創生起業支援・移住支援事業」。内容は東京23区に居住、または通勤(5年以上)している人がこの事業に連携している地方都市(東京都内の条件不利地域含む)に移住する場合、支援給付金を支給するというもの。給付金の種類は「起業支援金」「移住支援金」「起業支援金+移住支援金」の3種があります。
- 起業支援金:地方でその地域の課題に取り組むための起業をした場合に給付(最大200万円)
- 移住支援金:地域の重要な中小企業等に就職などの理由で移住する場合に給付(最大100万円、単身者は最大60万円)
- 起業支援金+移住支援金:地方へ移住して社会的企業を行った場合に給付(最大300万円)
このうち、外国人居住者にとってアプローチしやすいものは、2番目の移住支援金。都道府県が運営するマッチングサイトを通じてその地域で就職、移住した場合に給付金がもらえます。
地方創生起業支援・移住支援金
前述のとおり、「移住支援金」は地方自治体のマッチングサイトにリストされている求人に応募し、就職、移住することで給付を受けられます。
対象者
東京23区の在住者又は通勤者:移住直前の10年間で通算5年以上東京圏*1(条件不利地域*2を除く)に在住し東京23区に通勤していた人。さらに、直近1年以上は東京23区に通勤していることが必要。
*1 東京圏:東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県
*2 条件不利地域:東京圏の中でも、人口の少ない町村や離島など。
対象となる移住先
東京圏以外の道府県又は東京圏内の条件不利地域(移住支援事業を実施する都道府県・市町村に限る)。ただし下記の3条件を全て満たす必要があります。
- 移住先都道府県が移住支援事業の詳細を公表した後の転入であること。
- 支援金の申請が転入後3か月以上1年以内であること。
- 申請後5年以上継続して移住先市町村に居住する意思があること。等
就職条件
移住支援事業を実施する都道府県が、マッチングサイトに移住支援金の対象として掲載する求人に新規就業する、または起業支援金の交付決定を受けること。(地方創生の観点から都道府県が選定する法人の週20時間以上の無期雇用契約の求人)
給付までの流れ
- 都道府県が移住支援事業の詳細を発表
- マッチングサイトに求人を掲載
- マッチングサイトを通じて求人に応募
- 内定、勤務開始
- 終業後3ヵ月経ってから支援金を申請
- 審査に通ると支援金が給付される
移住時に利用したい都道府県のポータルサイト
各都道府県はそれぞれ地方創生のためのポータルサイトを公開しています。これらのポータルサイトには、地方創生事業のための求人情報(マッチングサイト)の他にも、市町村が個別に行っている移住支援に関する情報や住宅情報など、移住を検討する際に役に立つ情報がたくさん掲載されています。移住支援を受けるための求人を探すだけでなく、その地方がどんな特色を持っているのかリサーチするのにも最適です。
ポータルサイト例
北海道 秋田県 栃木県 新潟県 和歌山県 鳥取県 高知県 熊本県 沖縄県
注)上記以外の都道府県もそれぞれ移住者支援用のポータルサイトを公開していますので、検索してみましょう。
まとめ
日本は政治、経済の全てが東京に集中していると言われ、日本に住む外国人の人口も東京が他の都市よりも群を抜いて多くなっています。そんな東京への一極集中を解消し、地方の活性化を図るために実施されている地方創生事業。最近では東京以外の都市でも外国人を受け入れる企業が増加しており、地方へ移り住む外国人も増えています。転職・引越しの際は何かと費用が掛かるもの。東京で長期間働いていたけれど、変化を求めて地方へ移住したいという外国籍の人がいれば、この地方創生事業を利用して転職活動を行ってみてはいかがでしょうか。