photo by Jernej Furman
2月にロシアがウクライナへの侵攻を始めてから1か月余りたちました。ウクライナ各地の都市が爆撃で破壊され、多大な犠牲者を出しています。ポーランドやルーマニアなどの国外に退避したウクライナ市民の数は400万人を超え、そのほとんどは女性と子供です。日本政府もウクライナからの避難者の受け入れを発表し、4月5日にはポーランドを訪問していた日本の外相とともに20名の避難者が日本へ到着しました。これからも避難のために日本へ入国するウクライナ市民は増えると思われますが、ウクライナからの避難者の人々の日本でのビザはどういった取扱いになるのでしょうか。
避難者と難民の違い
ウクライナから避難の目的で日本に入国する人たちは「避難者」とされています。「難民」ではないのかと思われるかもしれませんが、日本の基準では難民認定されるには、人種的、政治的、宗教的な背景からその国に留まった場合迫害を受ける危険性がある人達を対象としています。そのため、他国との紛争を逃れるための避難は「難民」の定義には当てはまらないとされます。難民に認定されれば「定住者」の在留資格を受けることができ、国民年金や国民健康保険などの社会保障も受けられます。
ウクライナからの避難者のビザ
今回のウクライナ支援では、ウクライナからの避難者には、日本入国のためにまず90日間の「短期滞在」ビザが発給されます。この短期滞在ビザは日本に入国後「特定活動」に切り替えて1年間在留することができます。就労許可も付与されるので、日本で働くこともできます。
日本入国のためのビザ申請
避難のために日本へ入国するためには、事前に自国でパスポートの発給を受け、日本政府が発行する短期滞在のビザの発給を受ける必要があります。短期滞在のビザは現在滞在している国の日本大使館で申請しますが、在ウクライナ日本大使館は職員が国外へ退避しているため、まず下記の「査証ホットライン」へ連絡してください(ロシア語対応可)。
在ウクライナ日本国大使館 査証ホットライン(Visa Information Hotline)
ウクライナ退避者専用回線: 0800800143 ロシア語 (日本時間 15:00~23:45; ウクライナ時間 09:00~17:45)
Skype live:.cid.4e21deb9bbff1a86(英語のみ、24時間)
Email: mofa-visa-hotline@asiahs.com
すでにウクライナ国外(ポーランド、ルーマニア、モルドバ、ハンガリーなど)に避難している人は、現在滞在している国の日本大使館で短期滞在ビザを申請してください。
在ポーランド日本国大使館
住所: ul. Szwoleżerów 8, 00-464 Warszawa
TEL: +48 22 696 50 00
在ルーマニア日本国大使館
住所: 8th Floor, America House East Wing, Sos. Nicolae Titulescu,
Nr.4-8 Sector 1, 011141, Bucharest, ROMANIA
TEL: (+40-21) 319-1890
E-mail: embassy@bu.mofa.go.jp
在モルドバ日本国大使館
住所: National Business Center 5F, 73/1, Stefan cel Mare Blvd.,
Chisinau city, Republic of Moldova
TEL: +373-22-23-3380
Email: japan.chisinau@ci.mofa.go.jp
在ハンガリー日本国大使館
住所: 1125 Budapest Zalai út 7. Hungary
TEL: +36-1-398-3100
Email: consul@bp.mofa.go.jp
短期滞在ビザの申請に必要な書類
- 査証申請書
- 顔写真(H45mm × W35mm)
- パスポート
- 身元保証書(日本に滞在する親族や知人の方が作成したもの)
*顔写真を取得できない、有効期限切れの旅券や ID カードしか持っていない、日本に身元保証人がいないといった人も、大使館に相談してみてください。
日本入国後のビザ変更
ウクライナからの避難者が日本入国のために発給を受けるビザは90日間の「「短期滞在」ビザです。いったん入国した後、本人が希望すれば1年間有効の「特定活動」ビザに変更できます(就労も可)。また、ロシアのウクライナ侵攻が始まる前から日本へ在留していて、今回の事件でウクライナへ帰国できなくなってしまったという人も、現在のビザを勘案しながら引き続き日本へ留まれるように在留資格の延長ができます。ビザの変更の相談は最寄りの入出国在留管理官署で受け付けています。
まとめ
難民認定に高いハードルを設定していて、基準が厳しすぎるのではと度々国際社会から非難されることの多い日本。しかし、この度のウクライナ支援においては、難民として認定しないまでもウクライナを脱出した人たちを「避難者」と位置付けて、日本への受け入れを発表し、生活支援や教育支援を含むこれまでにない規模での支援体制を整えています。ビザの有効期限は短期滞在で90日、その後特定活動に切り替えれば1年間になります。これからもウクライナ情勢を反映しながら、ウクライナ市民が安全に日本に留まれるようにビザ対応はアップデートされると思われます。