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2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻。ウクライナの東側と北側、ロシア・ベラルーシとの国境付近、またクリミアに接する南部の都市で連日空爆や地上爆撃が行われ、一般市民を巻き込み多くの犠牲者を出し続けています。4月上旬の時点で、西側のポーランドやルーマニアに脱出し、避難者となったウクライナ国民はすでに400万人を超えています。ロシアの侵攻後、避難のために日本へ入国したウクライナ人はまだ400人に満たない数ですが、日本政府は避難者の受け入れを発表し、国内での受け入れ施設などの整備を始めています。
日本がこれまでに発表したウクライナ支援
日本政府はウクライナへの支援として、次のような内容を発表しています。
- 防具、防寒服、食料、カメラ、照明器具、衛生用品、医療器具の提供
- 1億ドルの緊急人道支援(避難民の保護等を目的とした国際機関などを通じて行う。追加の1億ドルの支援も発表)
- 少なくとも1億ドル規模の借款
- 希望するウクライナ人の在留延長を許可
- ウクライナからの日本への避難者受け入れ
など
4月発表のウクライナ避難者受け入れの詳細
日本政府が発表したウクライナ支援のうち、日本国内で行われるものは上に挙げた項目のうち、すでに日本に入国しているウクライナ人の在留延長と、ウクライナから日本への避難者受け入れの2つ。日本への受け入れについては、避難目的で来日済みのウクライナ人は3月末時点で300人超ですが、みなさん日本在住の家族や親せきを頼ってきた人たちばかり。これを、身寄りのない人でも日本へ避難でるよう、日本政府はウクライナからの避難者受け入れ体制強化の内容を次のとおり発表しました。
空港到着後の誘導
- 日本に身寄りのいる人:検査用の宿泊施設で3日間の待機の上、3日目の検査で陰性の場合は家族・親戚と日本の滞在先へ
- 日本に身寄りのいない人:検査用の宿泊施設で3日間の待機の上、3日目の検査で陰性の場合は一時滞在先の宿泊施設へ移動
一時滞在先の提供
身寄りなく日本へ避難してきた人には、政府が一時滞在先の宿泊施設を用意します。この宿泊施設に滞在中、アジア福祉教育財団と出入国在留管理庁から食事やコミュニケーションなどの補助を受けながら聞き取りが行われ、当面の間日本で暮らすための滞在先、希望があれば就労先などのマッチングが行われます。
日本で当面暮らす生活基盤の提供
マッチングが終了し、日本での当面の滞在先が決まればそちらへ移動し、政府または自治来から住居、日本滞在中の生活費や医療費の援助を受けます。
ウクライナ避難者相談先
FRESCヘルプデスク
ウクライナから日本へ避難してきた人が日本国内で使える相談先としては、まず入出国在留管理庁が運営するFRESCがあります。こちらは日本に在留している外国籍の人が抱える、生活、ビザ、就労などに関する相談を受け付けている機関ですが、現在のウクライナ情勢に伴う相談も受け付けています。海外から掛けられる番号もあるので、まだ日本へ到着していない人でも相談可能です。
FRESCヘルプデスク
TEL: 0120-76-2029(国内、無料)、+81-3-5363-3042(海外・IP電話から、有料)
対応時間:9:00 – 20:00 (平日)、9:00 – 17:00 (土日祝日)
対応言語:やさしい日本語、英語、ロシア語を含む19か国語
各市町村の相談窓口
日本政府だけでなく、各地方の自治体の外国人相談窓口は、ウクライナから家族や親せきを受け入れたい人、ウクライナからその地域に避難してきた人、ウクライナからの避難者を支援したい人からの相談を受け付けています。相談できる内容は、日本に滞在する際の滞在場所についてや生活全般のこと、日本語を勉強したいときにはどうすればいいか、子供を連れて避難した人には子供への教育の相談など、様々です。どの窓口も英語はもちろん数か国語に対応していますが、ロシア語やウクライナ語への対応はまちまちで、ウクライナ語の場合は翻訳サービスなどを使用していることが多いです。
まとめ
ウクライナ国外に避難しているウクライナ国民の数はすでに400万を超え、今後まだまだ増えると思われます。隣国のポーランドやルーマニアだけでは保護が追い付かず、世界的な受け入れが必要な状況です。日本も数日前に受け入れ態勢の強化を発表しました。またポーランドを訪問していた日本の外相が、日本への避難を希望した20名と一緒に帰国するというニュースもあったばかりです。これから日本でも企業や自治体、支援団体などの協力のもと、さらに受け入れ準備が整うと思われますので、日本での情報が必要な人はぜひ上記の相談窓口などを利用してみてください。