日本人は昔から温泉や銭湯をこよなく愛する風呂好き民族ですが、最近では外国人にもその良さが伝わり、今では外国人観光客をワクワクさせる魅力的なスポットとして「ONSEN」「SENTO」が人気を集めるようになりました。広々とした温泉・銭湯で、たっぷりとした湯量の浴槽にゆっくりと浸かれば、日頃の疲れが吹き飛んでココロもカラダも心地よい開放感で満たされます。場所によっては露天風呂、サウナ、打たせ湯などバリエーション豊かな設備が備えられており、リラックス効果がさらに高まることでしょう。しかし、たくさんの人が共同で利用する場所だけに、家庭のお風呂とは違ったマナーが求められます。温泉・銭湯に不慣れな外国人でも楽しく快適に利用できるように、そうしたマナーをいくつかご紹介します。
温泉・銭湯に入るその前に
服を脱いで裸で入る
大前提として、まずこちら。公共の場所で裸になるなんてあり得ないという文化で育ったとしても、日本に来たなら恥ずかしさを捨てて全ての衣服を脱ぎましょう。水着を着ても許されるのはテレビや雑誌の中だけです。ただし温泉施設だと、「人前で裸になることに抵抗があって日本に行っても温泉に入れない」という外国人旅行者に対して湯あみ着を貸し出すところもあるので、どうしても気になる人は直接確認してみて下さい。
タトゥーが入っている人は原則入浴不可
日本では「刺青=暴力団関係者」というイメージからタトゥーが入っている人は入浴を断られるのが一般的です。ただし最近は外国人の利用者も増え、民族的・宗教的慣習やファッションとしてタトゥーを入れる人のことを考慮して、柔軟な対応をする施設が増えてきています。
食後すぐや飲酒後の入浴、入浴中の飲酒は避ける
食後すぐに入浴すると消化不良を起こし、胃腸の調子が悪くなることがあります。飲酒後はもっと危険。酔いが急激に回って血圧が上がりやすく、脳貧血や不整脈、心臓発作などに繋がる恐れがあります。当然、入浴中の飲酒などもってのほかです。露天風呂に浸かりながら日本酒を一杯……なんて想像すると魅力的ですが、危険極まりないので絶対にやめましょう。
浴槽のお湯は清潔に
かけ湯、かかり湯をしっかりと行う
浴槽にそのままドボンとつかるのは完全にマナー違反です。入る前に浴槽のお湯を桶で汲み、腰回りを中心にしっかりとかけて汚れを落としましょう。お湯の温度に体を慣らすという意味でも大切です。
浴槽内で顔や体をこすらない
汚れをこすって落とす場所は浴槽ではなく洗い場です。せっかくの綺麗なお湯にプカプカと他人の体の垢が浮かんでいたらどんな気持ちになるでしょうか?女性はお化粧もきちんと落としてから浴槽へ。化粧をしたままだと心からリラックスできませんし、流れる汗で化粧が流れて浴槽にポタポタ落ちてしまうかもしれません。
浴槽内にタオルを入れない
綺麗に見えるタオルでも汚れや雑菌がついており、浴槽に入れるとお湯が汚れてしまうので避けましょう。おすすめは濡らして頭にのせること。のぼせ防止にも効果があります。
髪の長い人はまとめる
長い髪はゴムでまとめるか、タオルで巻いてお湯に浸からないようにしましょう。シャワーキャップを使うのもいいですね。
洗い場でのマナー
使ったものは元に戻して綺麗に
後でスタッフがやってくれるから……と椅子や洗面器、使ったシャンプーなどを散らかしたままで洗い場を離れるのはNG。すぐに次の方が使うかもしれません。お湯で流して髪の毛や石鹸の泡などが残っていないか確認してから綺麗に戻しておきましょう。
他の人に水をかけないように
シャンプーや石鹸を流す時など、シャワーのお湯をあたりに撒き散らしていませんか?後ろに人が歩いていないか、隣の人に飛んでいないか気をつけながらお湯を使いましょう。
洗い場を長時間独占しない
洗い場は皆で使うもの。髪や体を洗い終わったらさっと離れましょう。友達同士でおしゃべりしながらのんびり体を洗うのも考えものです。待っている人がいるかもしれないので、話したい時は浴槽で周りの迷惑にならない程度の声で話すようにしましょう。
洗い場の場所取りをしない
持参した洗面用具やタオルなどで場所をキープする行為はマナー違反です。浴室内に置き場所がある場合は私物はそちらに移して、他の人が洗い場を使えるようにしましょう。
洗濯や髪染めなどをしない
洗い場は髪と体を洗う為の場所。それ以外のことは控えましょう。歯磨きは脱衣所の洗面台でする分にはOKですが、浴室内ではNG。
他人に迷惑をかけないこと
グループで来ている時は騒がない
気のおけない仲間と大人数でお風呂に入るのは楽しいものですが、他のお客さんもリラックスしに来ています。大声でのおしゃべりや場所を独占するような行為は慎みましょう。
あがる時には水分をしっかり拭く
浴室から出る際には、タオルで体の水分をよく拭いてから脱衣所に入りましょう。濡れた床は滑りやすく、自分にも他の着替えている人にも危険です。足の水分もマットでよく拭いておくこと。
写真撮影には細心の注意を
景色のいい露天風呂など、せっかくだから旅の思い出として写真に残しておきたいという気持ちはよくわかります。でも、ほとんどの公衆浴場では写真撮影は禁止されています。まれに許可を取れば撮影が可能なところもありますが、自分以外の人が入浴している状態で写真を撮影する行為は好ましくありません。基本的には、撮影が禁止されていない施設で、浴室に自分達しかいない時のみ写真撮影が許されると考えた方が良いでしょう。
子供が騒がないように、危険がないように親が気をつける
普段と違う広いお風呂を見ると、子供なら嬉しさのあまり騒いだり、走り回ったりしたくなってしまうのも無理はありません。しかし他のお客さんにとっては静かにお湯を楽しむどころではなくなり、ぶつかって怪我をする可能性も出てきます。親は事前に公共の場所でのマナーをしっかり教え、くつろぎに来ている他の人々に迷惑をかけないよう気を配りましょう。また施設によっては水深の深い浴槽もあるので、小さい子から決して目を離さないように!
まとめ
外国にもスパやサウナ、ジャグジーといった公共の入浴施設がありますが、日本の温泉・銭湯にはレトロな雰囲気、情緒や風情といったものが残されています。その何ともいえない落ち着いた魅力が日本人のみならず外国人の心をも掴んでいるといえます。ガイドブック以外にも、今ではネットや口コミで様々な施設に実際に行った外国人の生の感想を見ることができるので、このコラムでマナーを学んだ後は、それらを参考に気になる温泉や銭湯にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
関連記事
東京に天然温泉?仕事帰りに電車で行けちゃう都内の名湯
「ココロもカラダもほっこり。温泉・銭湯マナー16の心得」への2件のフィードバック