夏を告げるホタルの輝き。東京から電車で行ける蛍観賞スポット

ホタル

日本の初夏の風物詩として知られるホタル。昔は水辺であればどこでも見ることができましたが、現在では数が減り、限られたところでしか観賞できなくなってしまいました。東京に住んでいると自然の中でホタルを見られる機会はなさそうに感じられますが、実は関東近郊でもホタルを見ることができる場所がまだ残されています。夏のはじめのお出かけに、電車に乗ってホタルの幻想的な輝きを見に行ってみませんか。

 

そもそもホタルってどんな生き物?

fireflyphoto by togarionsen

ホタルは、カブトムシと同じ甲虫類に属する昆虫で、一部の種類にはお腹の後方を発光させることによってコミュニケーションを取る習性があります。夏の夜にホタルのオスとメスが黄色の光を明滅させてたがいに存在を知らせ合う様子は、昔から日本人にとても愛されてきました。ホタルを歌った俳句や短歌は数多く残されており、古くは日本最古の歌集『万葉集』にも詠まれているほか、平安時代の『枕草子』や『源氏物語』にも登場しています。日本で確認されているホタルは40~50種ほどと言われており、その中でも「ゲンジボタル」「ヘイケボタル」がよく知られています。ゲンジボタルの方が体長があり、光も強いのが特徴です。ホタルが水辺の草むらでよく見られるのは、その幼虫が主にカワニナという貝を餌にして大きくなるからです。卵から成虫になるまでの約1年を水中で過ごし、成虫になると夜露しか口にせず、子孫を残すという使命を果たして短い命を終えてしまいます。成虫として夜空を飛びまわり、光を振りまくことのできる期間はわずか1~2週間です。

 

ホタル観賞に適した時期と時間

ホタルが鑑賞できる時期は、平均的には5月下旬~梅雨に入った6月下旬の範囲となりますが、桜と同様に「蛍前線」というものがあり、南の暖かい地域の方から早く姿を現し、北上するに従って観賞時期は遅くなってずれていきます。蛍の種類でいうとゲンジボタルが先、少し遅れてヘイケボタルが現れます。ウェザーニュースでは毎年「全国ほたる情報」としてホタルの出現時期や全国からのレポートを発表しているので、目安にどうぞ。また、観賞期間内ならどの日でもいいというわけではなく、ホタルが出現しやすい天気というものもあります。「曇っている日」「蒸し暑い日」「風が吹かない日」の「夜20時~21時」がホタル観賞には最適です。風が強い日や雨の日はあまり飛ばないので、日を変えてトライしてみましょう。

 

ホタル観賞のマナー

ホタルを捕まえない

捕まえて連れて帰る行為は厳禁です。自然の中でありのままの姿をそっと見せてもらうだけに留めておきましょう。

強い光で照らさない

懐中電灯、カメラのフラッシュ、車のヘッドライトやハザードなど、強い光はできるだけ避けること。ホタルが光るのをやめてしまいます。

観察場所を荒らさない

川が汚れるとホタルが住めなくなってしまいます。ゴミはちゃんと持ち帰り、煙草も我慢を。また、川岸を踏み荒らすような行為は慎みましょう。

虫除け対策に注意

蒸し暑い夜の外出というと確かに蚊取り線香や虫よけスプレーなどを使いたくなることと思います。でもホタルも昆虫、影響が無いわけはありません。虫が気になるようなら長袖や長ズボンを身に着ければ安心です。

 

関東のホタル観賞スポット1:巌島湿生公園(神奈川県)

神奈川県中井町の厳島湿生公園は、湧き水が作り出した湿地とそこに住む動植物を守る為に整備された公園です。湿地にはホタル以外にも希少な水辺の生き物が数多く集まり、園内の散策路では四季折々の草花が見られます。毎年5月末には「竹灯篭の夕べ」が催され、3,000本の竹灯篭に火がともされてホタルの舞と共演し、幻想的な雰囲気を味わうことができます。1kmほど離れたところには「蛍公園」があり、同じく観賞スポットとなっています。

厳島湿生公園
住所:神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1310番地
アクセス:JR二宮駅または小田急線秦野駅からバス

 

関東のホタル観賞スポット2:泉谷公園(千葉県)

千葉市緑区にある泉谷公園は、芝生広場、菖蒲田、池などが備えられ、自然を満喫できる癒やしスポットです。園内の「ほたる生態園」ではゲンジボタルの人工飼育が行われ、5月下旬から6月にはそのホタルが園内の池や水路周辺に放されて、来園者を楽しませてくれます。生態園のレクチャールームにはホタルの一生のパネルが展示されていたり、ホタルの産卵小屋を観賞できるようになっていたりと、ホタルについて学ぶことができます。6月上旬の2日間、竹を使った手作りのキャンドルで小道を照らすアットホームなイベント「蛍のみちしるべ」が開催されています。

泉谷公園英語ページもあり)
住所:千葉県千葉市緑区おゆみ野中央6-11
アクセス:JR鎌取駅からバスまたは徒歩

 

関東のホタル観賞スポット3:ほたる公園(東京都)

東京駅から電車でおよそ80分の福生市は、緑豊かな自然が残り、都内では数少ないホタルの観賞スポット。毎年6月に開催される「福生ほたる祭」では、大切に育てられた約500匹のゲンジボタルが放たれて優雅に空を舞います。祭当日は会場周辺に出店が立ち並び、 特設ステージではエイサー太鼓やソーラン節が披露されて、日中から多くの人で賑わいます。公園ではその後1週間ほどホタルの姿を目にすることができます。

福生ほたる公園
住所:東京都福生市南田園3-9-1
アクセス:JR熊川駅またはJR牛浜駅から徒歩

 

まとめ

綺麗な水と豊かな自然環境の中でしか見ることのできないホタル。わずかな期間のはかない命の輝きだからこそ、日本人の目にはより美しく幻想的に映るのかもしれません。都心を少し離れて、自然の中で乱舞するホタルの光に会いに行けば、疲れた心とカラダもリフレッシュできるはず。梅雨の合間のお出かけにいかがですか。

 

 

磯山ゆきえ

この記事を書いた人

磯山ゆきえ 磯山 ゆきえ

気ままな海外一人旅が好きです。外から見たこの国の姿を意識しながら、日本に関する楽しい話題をお届けできたらと思っています。

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