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フワフワでモフモフなうさぎ達に囲まれてハーレム気分を味わえる夢のような場所。それが瀬戸内海に浮かぶ小さな島、大久野島です。日本のうさぎ好きの間では以前から密かに知られていましたが、Youtubeに投稿された動画がきっかけで「Rabbit(Bunny) Island」の名で世界中に知られるようになり、この島を訪れる外国人観光客が急増中です。たくさんの可愛らしいうさぎたちとたっぷり触れ合える癒やしの島、大久野島についてご紹介します。
大久野島ってどんな島?
瀬戸内海に浮かぶ芸予諸島の一部であり、広島県竹原市忠海町の沖合い3kmに位置する大久野島は、周囲わずか4.3kmという小さな島です。自然豊かなこの島には、700羽以上のうさぎが暮らしています。70年代初め、島の外にある小学校で飼われていた8羽のうさぎがこの島に放されて野生化し、どんどん増えていったそうです。島には宿泊施設と資料館などがあるだけで基本的に人は住んでいません。フェリー乗り場と宿泊施設を往復する無料バスと工事用車両以外はほとんど車も走っていない環境の中で、うさぎ達はのびのびと自由に過ごしています。近年この島の魅力がSNSや動画サイトで世界的に拡散され、多数の海外メディアにも紹介されたことから、世界中から観光客が訪れるようになりました。なお、今でこそ島中でうさぎが跳ねまわるのどかな島ですが、戦時中には日本陸軍の毒ガス工場が建設され、国際的に禁止されていた毒ガス兵器を作っていたため、地図からその存在を消されたという過去を持っています。当時の詳しい様子については、島内にある毒ガス資料館で学ぶことができます。島の中央部は小高い山になっていて、山頂付近には中部砲台跡や展望台があります。
大久野島のうさぎ達
大久野島に生息しているうさぎはアナウサギという種類です。地面に穴を掘って暮らす習性があり、島の至るところがうさぎが掘った穴だらけになっているので、足を取られて転ばないように気をつけましょう。本土側の忠海港と大久野島を結ぶフェリーをおりて少し歩くだけで、のんびり寛ぐうさぎの姿がそこかしこに見られます。うさぎたちは島内のどこにでも出没しますが、一番多く見られるのがフェリー発着所から15分ほど歩いたところにあるこの島唯一の宿泊施設、「休暇村 大久野島」の前の芝生広場です。この近辺のうさぎたちは皆人懐っこく、お腹がすいている時には遠慮なく餌をおねだりしてきます。逆に山の方に住むうさぎは警戒心が強く、あまり人の手から餌を食べるようなことはしません。うさぎは本来夜行性なので、特に暑い日の日中などはあまり動かずに日陰や穴の中などで寝ています。活発に動くうさぎ達の姿が見たい方は、島内に宿泊して夜や明け方にふれあいタイムを持つのがおすすめです。
うさぎと仲良くなるための必須アイテム
大久野島を訪れるなら、決して忘れてはならないのがうさぎのための餌です。島に渡ってしまうと餌を購入することはできません。忠海港のフェリー乗り場でペレット(ラビットフード)の販売があるほか、近くのコンビニで野菜を買っていくという方法もありますが、余裕があれば事前にニンジンやキャベツを買っておいて食べやすくカットして持っていくと、人間側も指などを噛まれる心配がなく、うさぎ側も食べやすいのでお互いが幸せです。スーパーで売られているカット野菜をまとめて仕入れていくのも手軽で良いでしょう。島を訪れる観光客の姿をよく見ると、大半の人が野菜の詰まったビニール袋を手にしています。うさぎ達はそれを知っていて、ビニール袋をガサガサ降るだけで駆け寄ってくるのです。たくさんのうさぎに囲まれてハーレム状態を味わいたいなら、野菜持参は鉄則と言えます。ただし、野菜なら何でもいいわけではありません。玉ねぎ、ねぎ、ニラ、ピーマンなどはうさぎの体に合わないので避けましょう。お菓子やパンなど、人間の食べるものを与えることは当然ながら完全NGです。
うさぎ以外の大久野島の楽しみ方
大久野島にいるとうさぎにごはんをあげて写真を撮っているだけであっという間に1日が終わってしまうという人も少なくないかとは思いますが、この島の魅力はそれだけではありません。さまざまなアクティビティから好みのものを組み込んで島時間を満喫しましょう。
キャンプ
海に面した芝生のキャンプサイトが整備されています。テントにうさぎが遊びに来てくれるかもしれません。島内に食料品店はないので食材など必要なものは全て持参しましょう。
温泉
島には、冷え性改善・疲労回復などの効能がある天然ラドン温泉が湧いており、休暇村にて2箇所のお風呂を楽しむことができます。日帰り入浴も可能です。
瀬戸内グルメ
休暇村のレストランでは瀬戸内海で獲れた新鮮な魚介類やブランド牛、地元の野菜を使ったバイキングやこだわりの料理を味わえます。特にタコは絶品で、島の名物になっています。
ハイキング
島の中央部の山にある展望台からは瀬戸内海の多島美を360度のパノラマで眺めることができます。舗装されたルートが用意され、それほどきつい山道ではありませんが、しっかりした登山靴を履いていくと安心です。
サイクリング
小さな島なので徒歩でも十分ではありますが、レンタサイクルを活用すると楽々島内を一周できます。電動自転車や子供を乗せる椅子つきのものも用意されています。うさぎの安全のためにスピードは控えめで運転しましょう。
海水浴・プール(夏季のみ)
7月~8月にはビーチで海水浴を楽しむことができます。島だけあって海の透明度は抜群。更衣室やシャワーも整備されています。あまり大きくはありませんがプールもあり、家族連れに人気です。夏に島を訪れる時には水着持参がおすすめです。
守ってほしいマナー
うさぎ達のあまりの可愛らしさに、もっと近づきたい、仲良くなりたいと考えてしまう気持ちはよくわかります。しかし、抱っこはぐっと我慢して、近寄っても嫌がらない子にそっと触れるだけに留めましょう。逃げるうさぎを追いかけ回す行為は厳禁です。うさぎはストレスがたまりやすい生き物なので、無理やり可愛がると弱ってしまったり、思わぬけがに繋がったりします。うさぎとのふれあいは、道路や道路脇、建物の玄関前などは避けて、広々とした場所だけで行うこともうさぎの安全を守るために大切なことです。もうひとつ、基本的なマナーとして、ごみは各自できちんと持ち帰りましょう。うさぎは何でもかじる習性があり、ビニールやプラスチックなど害のあるごみを飲み込んでしまうと、命を落とす危険性もあります。当然タバコのポイ捨てなどもってのほかです。
大久野島の基本情報
名称
大久野島(おおくのしま)
住所
広島県竹原市忠海町大久野島
アクセス
広島駅から新幹線で三原駅へ
→JR呉線に乗り換えて忠海(ただのうみ)駅へ
→忠海駅~忠海港まで徒歩で5分
→忠海港~大久野島桟橋まで大三島フェリーで12分
参考URL
まとめ
たくさんの猫が住む「ねこ島」なら日本各地にいくつか存在しますが、うさぎだらけの「うさぎ島」はこの大久野島が日本唯一の場所であり、世界的に見てもほとんど例がないと言えます。今では多くの外国人観光客が訪れるようになり、島内の英語対応も進んできました。忙しい日常に疲れが溜まってしまった方は、ゆっくり流れる時間とたくさんの愛らしいうさぎ達に癒されにぜひ大久野島を訪れてみてはいかがでしょうか。