軽自動車くらいがぶつかり合う?日本の闘牛を観に行こう!

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photo by kounotakeshi

闘牛と言えばスペインで行われる闘牛士と牛の闘いがよく知られていますが、実は日本でも古くから闘牛が行われてきました。ただしスペインの闘牛とは違い、日本の闘牛は牛同士を闘わせるのが特徴。闘牛が行われる地方は日本に数か所あり、それぞれに長い歴史を持っています。柵で囲まれた円の中で繰り広げられる雄牛同士の白熱した闘いは、地元の人たちはもちろん観光客にも大人気。今回は日本で行われる闘牛についてご紹介します。

 

日本の闘牛について

古来より牛は日本人の生活になじみの深い動物。農耕や輸送などに牛の力を使ったり、信仰の対象になったりと日々の生活に度々登場してきました。牛と牛を闘わせる闘牛も、そんな日本人と牛の歴史の中から自然発生的に登場し、現在では岩手県久慈市、新潟県小千谷市と長岡市、島根県隠岐の島町、愛媛県宇和島市、鹿児島県徳之島、沖縄県うるま市で闘牛が行われています。
日本の闘牛に登場する牛は、地元もしくは近隣の地域で多く飼育されている雄の短角和牛が殆んど。畜産用に飼育される和牛は殆どが生後すぐ去勢処置を施されますが、闘牛用の雄牛には闘争本能を残すために去勢処置は行いません。調教師が雄牛たちの体調を管理してエサの配合やトレーニングなども行います。こうして飼育された雄牛たちは、4歳ごろから闘牛として試合に出場します。

試合方式

日本の闘牛は、牛と牛が角を突き合わせて闘うスタイルを取っています。人間の相撲と同じく様々な技もあり、横綱、大関などの格付けもあります。試合のルールは地方によって若干変動があり、勝敗は決めずに引き分けのみのところもあれば、戦意喪失して逃げ出した方の牛が敗者となるというルールの地方もあります。牛には勢子と呼ばれる介助人がつき、試合中の牛のそばで声をかけて発奮させたり、牛の体勢を調整したりします。勢子は試合中つねに闘う牛のすぐそばにいて介助をしたり、試合後の牛に手綱を取り付けたりするため、牛の性質を知り抜いていないと務まらない危険の伴う役割なのです。

 

各地の闘牛の特色

岩手県久慈市 

岩手県は古くから「南部牛」の産地として知られ、牛は農耕や輸送用に広く利用されてきました。久慈市の闘牛は、江戸時代に牛を使って塩を運搬する際に、牛に角突きをやらせて先頭を決めたことが起源とされています。春・夏・秋に年3回大会が行われています。

問合せ:いわて平庭高原闘牛会事務局

新潟県小千谷市・長岡市

この地方で行われる「越後闘牛」の起源は、なんと千年も前にさかのぼります。この地方では闘牛は娯楽ではなく神事でした。神にささげる儀式であるため、越後闘牛では他の地方の闘牛と違って勝敗を決めることをしません。一回の試合は5分ほどで双方の牛の足に綱をかけて引き分けにするのが特徴です。またこの地方の闘牛は国の重要無形民俗文化財に指定されています。闘牛大会は5月から11月間、定期的に開催されます。

問合せ:小千谷闘牛会

島根県隠岐の島町

約800年の歴史をもる隠岐の島の闘牛。その起源は、承久の乱で敗れこの地に島流しになった、後鳥羽上皇を慰めるために始まった催しであるとされています。そのためか、他の地方では見られない、牛に手綱を付けたまま取り組みをするというルールが。年3回の本場所大会のほか5月から9月くらいまでは定期的に観光用の闘牛を開催しており、観光客から人気を博しています。

問合せ:隠岐の島観光協会

愛媛県宇和島市

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photo by cotaro70s

この地方の闘牛の起源ははっきりと文献には残されていませんが、遅くとも19世紀半ばには地元の興業として体制が整っていました。現在では年に5回の定期闘大会が開催されているほか、4月から10月ごろまでは観光闘牛も随時行われています。どちらかの牛が戦意を喪失して逃げ出すまで試合が継続されるスタイルを取っています。

問合せ:宇和島市観光物産協会

鹿児島県徳之島

鹿児島市から南へ約450㎞、ここ徳之島にある徳之島町、伊仙町、天城町の3町では島をあげて闘牛が盛んに行われ、観光の目玉となっています。その歴史は500年以上とも言われ、農繁期の終了を祝う際の娯楽として行われたのが始めとされています。毎年1月から10月頃までの間に数回闘牛大会が開催され、観光客はもちろん、島の人たちも牛たちの熱い闘いを見に大勢集まります。

問合せ:徳之島観光連盟

沖縄県うるま市

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photo by chrissam42

日本で最も闘牛が盛んな地域で、開催される大会の数も年10回と最多。明治後期にはすでに闘牛が娯楽として地元の人々の生活に密着していました。今でも闘牛は随一の娯楽としてうるま市民に愛されています。2007年には県内唯一のドーム型闘牛場「うるま市石川多目的ドーム」が完成。天候を気にせず闘牛観戦を楽しむことができます。

問合せ:うるま市経済部商工観光課

 

まとめ

柵で囲まれた円形の闘牛場の中で繰り広げられる、手に汗握る牛と牛のぶつかり合い。それを見守る牛主、勢子、調教師も真剣そのものです。闘牛として出場する雄牛の体重は700㎏から大型のもので1トンを超えることも。ちょっとした小型車ほどもある牛同士が、角を突き合わせて戦う様はまさに大迫力。一度観戦すれば、会場を包み込む熱い熱気の虜になること間違いなしです。

 

 

あきらことほ

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あきらことほ あきら ことほ

日本を離れて11年。帰国の度に日本のいいとこ再発見。このコラムが皆様の「日本のいいとこ発見」のお役に立てればウレシイです!

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