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日本の街中を歩いてみてよく目に付くのが、自転車で移動する人たち。特に朝は最寄り駅や学校、会社へ向けて一心不乱にペダルをこぐ学生や会社員、1台の自転車に曲芸のように子供を乗せて疾走するお母さんなど、たくさんの人たちが自転車を利用しています。自転車の種類も海外でよく見かけるロードバイクなどスポーツタイプのものより、ママチャリと呼ばれる安価なタイプが多いのも日本特有ですね。そのほか東京、大阪、京都、奈良などメジャーな都市で観光客や一般市民向けのレンタルサイクルのネットワークの整備が進み、ますます自転車の利用者が増えています。そこで気になるのが、自転車の運転マナー。日本で安全にサイクリングを楽しむために、日本での自転車の運転ルールやマナーについて詳しく説明します。
ルール1:自転車は基本的に車道を走行
日本で自転車に乗っている人を良く見ると、車道を走っている人もいれば歩道を走っている人もいる…、どっちが正しいの?と思ったことはありませんか?一見曖昧に見える自転車の走行ルールですが、自転車は道路交通法上で軽車両とみなされるので車道走行原則です。詳しくは、
- 歩道と車道が別れている道路では、自転車は車道を走行する。歩道走行は例外。
- 車道は左側を走行、右側走行は禁止。
- 自転車道が設けられている道路では、やむを得ない場合を除き自転車道を利用する。
ルール2:例外的に歩道走行ができる
基本的に車道を走行しなくてはならない自転車ですが、次のような場合には例外的に歩道を通行することができます。
- 道路標識や道路標示で指定されている場合
- 運転者が13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、身体の不自由な人の場合
- 車道や交通の状況から見てやむを得ない場合(著しい渋滞、道路工事などのために車道走行が危険な場合など)
更に、自転車で歩道を走行する場合は次のような決まりがあります。
- 歩道の中央から車道よりの部分を通行する。
- 徐行運転のみ。
ルール3:自転車は一人乗りが原則
自転車の乗車人数は1人乗りが原則で、1人用の自転車の荷台に人を乗せるなどして2人乗りをすることは禁止されています。また、2人用のタンデム自転車は、日本のほとんどの都道府県が公道での使用を禁止しています。ただし、一般の自転車に幼児用の座席を付けたもの、または幼児2人同乗用の自転車を16歳以上の運転者が使用する場合は、6歳以下の幼児を同乗させることができます。同乗の幼児にはヘルメット着用が推奨されています。
ルール4:道路標識に従って運転する
自動車と同様、自転車の運転者も一時停止や徐行などの道路標識に従わなくてはいけません。次に挙げるものは、自転車の運転をするにあたって特に覚えておきたい標識です。
- 通行止め:歩行者・車両すべての歩行・走行を禁止
- 車両通行止め:軽車両を含む全ての車両の走行を禁止
- 車両進入禁止:一方通行の出口等にあり、この標識のある側からの侵入は不可
- 自動車専用:歩行者・軽車両・排気量125㏄以下のバイクなどは走行できない自動車専用道路
- 一時停止:この標識がある場所では一旦完全に停車
- 徐行:直ちに止まれるスピードで走行
- 自転車専用:自転車の通行のためのみに設けられた道路
- 歩行者専用:歩行者のみ通行可
- 歩行者・自転車専用:この標識のある歩道などは歩行者と自転車が通行可
- 自転車通行止め:自転車は通行不可
- 自転車横断帯:自転車が横断する時に通るところ
- 自転車一方通行:自転車は矢印の方向のみ走行可
ルール5:違反行為には厳しい罰則がある
日本では2015年6月1日の道路交通法の改正から、自転車の運転に関する取り締まりが強化されました。その背景には、自転車の交通違反により重傷者や死亡者まで出る深刻な事故が多発したことがあります。この改正では次の14の危険項目が設定され、違反者には罰則が科されることになりました。外国人であっても取り締まりの対象になりますので、ルールを守って運転することが大切です。
- 信号無視
- 通行禁止違反
- 歩行者専用道での徐行違反等
- 通行区分違反
- 路側帯の歩行者妨害
- 遮断機が下りた踏み切りへの進入
- 交差点での優先道路通行車妨害等
- 交差点での右折車妨害等
- 環状交差点での安全進行義務違反等
- 一時停止違反
- 歩道での歩行者妨害
- ブレーキのない自転車運転
- 酒酔い運転
- 安全運転義務違反
※安全運転義務違反には、傘をさしながらの運転、携帯電話を使用しながらの運転、イヤホンを使用しながらの運転などが含まれます。
取り締まりの対象となるのは、14歳以上の全ての自転車運転者。自転車事故の加害者が未成年の場合、法的な責任は親などの監督義務者が負うことになります。罰則の内容は「2万円以下の罰金または科料」から「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」まで、悪質な違反には重い罰が科されるように設定されています。また、3年以内に2回以上危険運転で検挙されると、都道府県公安委員会から自転車運転者講習の受講の命令が下ります。命令を無視して講習を受講しないでいると5万円以下の罰金が科されるなど、厳しい取り締まりとなっています。
まとめ
日本では昔から安価な交通手段として自転車を運転する人が多いのですが、ごく最近まで自転車の危険運転に対する取り締まりはそれほど厳しくありませんでした。しかし、自転車による深刻な事故が多発し、2015年からは自動車と同じく自転車の運転にも厳しい基準が設けられるようになりました。また、近年では自転車の運転マナーの認識不足からくる外国人の自転車事故も増えています。日本で自転車を運転するときは、事前に日本の運転ルールをしっかり確認しておきましょう。