photo by Ishikawa Ken
旅行や仕事の都合などで来日してきた外国人が直面する困りごととして、住所がわかりにくいという声をよく聞きます。なぜ日本の道路には名前がないのか、というのもとてもよくある疑問です。日本以外のほとんどの国で、「通りの名前+住居番号」から成る「道路方式」を採用している中、日本では大きなエリアを小さなエリアへ区切っていく「街区方式」が採用されています。そのため、日本の道路にはよほど大きな通りでなければ名称がないうえ、住所にやたらと番号が多いので、街区方式に慣れていない人にとってはとても理解しづらいのです。実際、日本に初めて来た人で、住所と地図だけ持って迷わず目的地に行けるという人はかなり稀な存在。そんな少々厄介な日本の住所、いったいどういう仕組みになっているのでしょうか。
日本の住所システム
大きい区分から小さい区分へ
日本が採用している住所システム「街区方式」では、大きいエリアから小さなエリアへと区分されていくのが基本です。最も大きなくくりである都道府県に続く区分は、おおむね次のように分けられていきます。住所の書き方も大きい区分から小さい区分の順で書いていきます。例えば、東京都庁の住所「東京都新宿区西新宿二丁目8番1号」で言えば、東京都(都)→新宿区(特別区)→西新宿(エリア名)→二丁目(丁番号)→8番1号(番地・号)となっています。
東京都 |
特別区(23区:地方自治体における市の様な扱い) |
エリア名、番地、号と続く (上野3丁目10番5号など) |
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市 |
○○、△△町などのエリア名、丁番号、番地、号と続く (元本郷町三丁目24番1号など) |
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郡 |
町・村 |
地域名、丁番、番地と続く |
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その他道府県 |
市(政令指定都市:大阪市天王寺区などの「行政区」がある) |
○○、△△町などのエリア名、番地、号と続く (中之島一丁目3番20号など) |
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市(政令指定都市以外:例外を除き、基本的に「区」はなし) |
○○、△△町などのエリア名、番地、号と続く (亀山町2番1号など) |
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郡 |
町・村 |
エリア名、丁番、番地と続く |
丁番号、街区符号と住居番号の並びの法則について
街区方式の住所に不慣れな人が一番困るのが、番地と号の見方ではないでしょうか。丁番号は、一つのエリアを大きな道路などを境目にして更に細かいブロックに分けているだけなので、比較的理解しやすいですね。先にあった東京都庁の住所で言えば、西新宿という大きなエリアを8つに分けた2番目のブロックということになります。ちなみに丁番号を設けていない町は、○○町などのエリア名の次にすぐ街区符号(番)と住居番号(号)が続きます。
さて、問題の街区符号(番)と住居番号(号)の組み合わせについて。まず街区符号は一つの街区(例:西新宿二丁目)を3000から5000㎡程度の小さいブロックに分けたものです。符号の並びは、役所など町の中心となるものがある方向の角を1として蛇行して付けられていることが多いです。
次に住居番号は一つの街区の外周を10から15mごとに区切り、役所など町の中心となるものがある方向の角を1として、右回りに番号を振っていきます。区切り方が10から15mと大き目なので、建物のサイズによっては一つの住居番号に複数の建物が入る場合もあります。
住所から目的地に行くときのヒント
実際に現地へ行って目的地を探す際に、とても役に立つのが「街区表示板」と「住居表示版」。街区表示板は青または緑の縦長の金属板で、電信柱やビルなどの壁に設置されています。街区までの住所が表示されており、都市部では日本語と英語で表記してあるものが多いです。(例:新宿区西新宿二丁目8番, Shinjuku-ku Nishishinjuku 2-chome 8)。街区が分かれば、次に建物の玄関付近に取り付けられている住居表示板を探します。住居表示坂は同じく青または緑の金属板ですが、大きさは15㎝幅程度と小さめで、街区符号と住居番号が表示されています(例:8-1)。横に小さく町名が書いてあることもありますが、その場合表示は日本語のみで英語表記はありません。街区符号や住居番号が目的の住所と異なる場合は、前述した法則にしたがって番号を辿ることで探しあてることができます。
まとめ
21世紀になってもまだ街区方式で住所を割り振っている日本。今のところ道路方式へ変更するという動きは見られないので、日本に来るからにはこの厄介な住所システムで目的地を探るしかありません。しかし、目的地の住所を聞いたのはいいけれど、その住所の見方が分からないのでは困りますね。最近はスマホのマップ機能で現在地が出てくるので、ただひたすら青い点が目的地マークに向かっているのを確認しながら歩く、という手もありますね。でもこれでは安全の面でちょっと心配。できれば住所からある程度見当をつけてすんなりたどり着きたいものです。そのためには日本の住所システムを知っておくと、比較的スムーズに目的地を見つけることができますよ。