photo by Hideto KOBAYASHI
2019年が明けてからアッという間に1月も下旬、もうすぐ2月ですね。2月の行事と言えば日本には節分とあともう一つ、バレンタインデーがあります。バレンタインデーなんて、どこの国でもやっているよ、と言われてしまいそうですが、日本のそれは一風変わっているのです。日本以外の国では恋人やパートナーたちの愛の誓いの日として祝われているバレンタインデーですが、日本では独自のバレンタイン文化が出来上がっており、海外から来た人たちを困惑させ続けているのです。
そもそもバレンタインデーの由来は？
バレンタインデーの起源はローマ帝国時代。当時、恋人や妻を残して戦地に赴くと士気が下がるとして、兵士たちの結婚が禁じられていましたが、そんな兵士たちを不憫に思ったバレンタイン司祭は、彼らのためにこっそり結婚式をとり行ってあげていました。その行動がもとでバレンタイン司祭は処刑されてしまいましたが、彼の慈悲深い行動を称え、キリスト教徒の間では彼が処刑された2月14日が祭日となり、恋人たちの愛の誓いの日として祝われるようになった、というのが一般的な説ですね。
日本のバレンタインデー
日本にバレンタインデーの習慣が伝わったのは1950年代頃。最初はあまり受け入れられてなかったようですが、70年代頃になるとお菓子メーカーのキャンペーンなどの影響でかなり定着しました。ただ、どうも本来の趣旨とはズレながら独自の文化が形成されたようで、日本では次のようなバレンタインデーの習慣が出来上がっています。
とにかくチョコレート！
1月後半から各百貨店やスーパー、コンビニなどのお菓子売り場で一斉に売り出されるのは、チョコレート。有名パティシエの高級トリュフから、定番のハート形チョコ、バレンタインデー期間限定チョコなど、売り場がチョコレート一色になります。日本以外でもバレンタインにチョコレートを贈ることもありますが、それだけでなく花だったり、本だったり、相手の好きそうなものを贈るのが一般的。でも日本ではバレンタインデーの贈り物はチョコレートが圧倒的大多数なのです。
女性から男性へ
本来、バレンタインデーは恋人たちの愛の誓いの日ですから、男性も女性もお互いにプレゼントを贈りあったりして祝うものですね。しかし日本ではなぜか女性が男性に愛情を込めてチョコレートを渡す、という一方通行の風習が出来上がっています。女性が意中の男性を射止めるために、愛の告白をしてチョコレートを渡すことも。逆に男性にとってバレンタインデーは、自分の人気のバロメーターとなる日になってしまうので、なかなか緊張感のある一日となります。
義理チョコ
恋愛関係や夫婦関係でなくても、日本ではバレンタインデーに女性が男性の同僚や友人などに、「義理チョコ」なるものを渡すことがよくあります。これはもともとのバレンタインデーの趣旨とは全く異なる、日本独自の文化。海外では友人やバレンタインデーに同僚に贈り物をする習慣はありません。義理チョコの習慣は、バレンタインデーがすっかり定着した80年代に登場しました。
新習慣、友チョコ
2000年代に入ってからじわじわ広がり、今ではすっかり定着したのが友チョコ。女性の友人同士でチョコレートを交換し合うという、新習慣です。もうバレンタイン司祭も恋人たちの愛の誓いも、全く関係のないただただチョコレートを食べることが目的。女性の友人同士であれば誰でもできるので、幼稚園児から大人まで、幅広い年齢層が友チョコを交換して楽しんでいます。
自分チョコ
贈り物用のチョコレートを買うついでに自分にも、という女性はたくさんいます。確かに売り場には色とりどりの美味しそうなチョコレートがあふれている訳ですから、そう思うのも無理はありません。年に一度自分が楽しむために、高級チョコレートを買うという女性が増えています。
まとめ
こうしてみると、日本のバレンタインデーはなんだかチョコレートの祭日のような気がしてきますね。どういうわけだか女性から男性へチョコレートを贈るという一方通行のパターンも、日本以外ではほとんど見ない習慣です。クリスマスを恋人同士で祝ったり、ハロウィンに仮装して街中へ繰り出したり、日本では海外から入って来た文化に独自のアレンジが加わって別物に発展するケースがよくありますが、バレンタインデーも同じくすっかり日本仕様にカスタマイズされています。日本に来てすぐはあまりの違いに違和感を覚えるかもしれませんが、売り場に並べられた美味しそうなチョコレートを見ていると、ついつい手が伸びてしまいます。なんだかんだ言っても、美味しいですよね、チョコレート。
