photo by Nicolas Huk
海外からの中長期滞在者の人の中には留学生や会社員、ワーキングホリデーメーカーなど様々な人が含まれています。家族を帯同して滞在している人もいますが、圧倒的に多いのは単身日本で生活中の人々です。そんな単身者の中には、転職や卒業後の就職で引越しする人も数多くいます。実際問題、日本に長期滞在している人で引越しを一度も経験していない、という人は珍しいのではないでしょうか。例えば、バックパッカーであれば引越しもリュック一つで移動できますが、長らく日本で生活している人にとっては、たとえ単身者であっても引っ越しはかなりの労力と金銭を要する一大事です。しかし、労力はともかく費用についてはできるだけ抑えたいもの。いったいどうすれば最安費用での引越しを実現できるのでしょうか?
その1:レンタカーで引越し
労力のことを完全に度外視してしまえば、自分の車やレンタカーを使って全て自力で引越しをするとかなりのコスト削減になります。単身者の荷物はすべての家具家電・日用品や衣類を合わせても、たいていの場合トラック1台に収まります。トラックを自家用車として使っているという人以外は、レンタカーがもっとも手っ取り早い方法になります。トラックのレンタル料金の目安は、
- 軽トラック:8000円/24時間 程度
- 2tトラック:12000円/24時間 程度
引越し用にトラックを借りるときに注意したいのは、軽トラック最大積載量が重量350㎏、高さ2m x 長さ3.4m x 幅1.48mまでと定められている点です。2tトラックと比較すると重量がかなり低くなるので、家具が多くある場合は重量やサイズが超過にならないよう気を付ける必要があります。
また、自分で車を使って引越しする場合は、当然荷物の梱包や搬出入、車の運転や引取り・返却を全て自分で行うことになります。長距離の場合は1日ではもとの営業所に返却するのが時間的に難しく2日分のレンタル料金を支払うことになったり、乗り捨てをする場合は別途料金がかかったりするので、一概に最安の引越し手段とは言えません。
その2:引越し業者の単身パックで引越し
日本には全国展開で営業している引越しサービス企業がたくさんあります。また、宅配サービス大手もそのネットワークを活かして、単身者用の引越しサービスを提供しています。中でも特に低価格なのが、宅配サービス各社が提供する「単身パック」というサービスです。決められたサイズのコンテナ(実際には金属製のかごのような見た目ですが)に収まるだけの荷物を引越し先に輸送してくれます。コンテナのサイズは各社で異なりますが、おおよそ1.3㎥から1.8㎥程度。
気になる料金は距離や借りるコンテナの数によって変動します。目安として、東京から大阪までコンテナ1つで引っ越した場合の料金はだいたい下記のようになります。
- 日通単身パックS:東京―大阪 26000円程度
- 佐川急便カーゴプラン:東京―大阪 29400円程度
- 西濃運輸カンガルー引っ越し便(2㎥):東京―大阪 42120円程度
ただし、上記は純粋に輸送にかかる費用のため、梱包資材や開梱後の資材の回収費などは含まれません。また、荷物の梱包は基本的に引越し日までに自分で済ませておくことになります。冷蔵庫や洗濯機といった大型家具家電は、業者が梱包や搬出入を行ってくれます。
その3:引っ越し業者の通常サービスを利用する
一人暮らしなのに荷物が極端に多いという人は、単身パックではなく通常引越しサービスを利用するほうが適しています。引っ越し業者に依頼する際のポイントは、できるだけたくさん見積もりを取ること。最低でも5社からとることをおすすめします。引っ越し業者の料金はシーズンや荷物の量にも左右されるうえ、一律料金というものは設定されていないので、たくさんの見積もりの中からサービス内容を検討し、最も条件のよい会社に依頼します。日本の大手引っ越し業者には次のような企業があります。
引越し専門業者の例
サカイ引越センター
アート引越しセンター
アリさんマークの引越社
宅配会社の引っ越しサービス例
その4:赤帽を使って引越し
単身者の近距離引越しに便利なのが「赤帽」の引っ越しサービス。まず赤帽とは企業ではなく、全国の貨物軽自動車運送事業者が加入している組合のこと。日本全国に多数の営業拠点を置いており、各地域で営業している貨物輸送事業者が組合を通じて、もしくは直接でも迅速に対応してくれます。基本的なサービスはドライバー1人が梱包済みの荷物を目的地まで貸し切りで搬送してくれるというもの。引っ越しサービス業者ではないので、ドライバーと協力して荷物の積み下ろしを行います。
赤帽の引っ越しサービス料金は、13500円からスタート。この料金の条件は作業時間2時間以内、走行距離20㎞以内、トラック1台1行程でドライバー1人です。これを超える場合の料金は、距離料金と作業時間料金の合計で決まりますが、追加料金の設定は各地域によって異なるので事前に必ず見積もり(無料)をとりましょう。一例として、東京都の赤帽の引っ越し料金は下記のようになっています。
|
~20㎞ |
~30㎞ |
~40㎞ |
~50㎞ |
~70㎞ |
~100㎞ |
~150㎞ |
~200㎞ |
平日 |
13500円 |
15660円 |
17820円 |
19980円 |
23220円 |
28080円 |
34560円 |
39960円 |
休日 |
16200円 |
18800円 |
21390円 |
23980円 |
27870円 |
33700円 |
41480円 |
47960円 |
赤帽は軽自動車運送なので積載重量は350㎏まで、長さ180㎝、幅140㎝の荷台に積載できるだけの荷物しか運べないという制限があります。
単身者が引越しをする際の注意点
- 引越しはできるだけ荷物が少ないほうが低料金で済みます。荷造り前に現在の持ち物を全てチェックして、不用品は引越し前に処分してから梱包作業に入りましょう。
- 引越しは各家庭によって持ち物の量や形状が大きく異なるため、パック料金を除いて一律料金を設定している会社はありません。ですから事前に見積もりをとる必要があるのですが、会社によって見積り金額に大きな開きがあるため、最低でも5社から見積もりをとって決めましょう。
- 引越し業者や赤帽に依頼する場合は、有料で段ボールなどの梱包資材を提供してもらえますが、自分で車を運転して引っ越す場合には梱包資材も自分で手配することになります。
- 日本では3・4月が引越しの繁忙期と言われ、この時期は引越し業者の予約が取れないくらい忙しく、また料金も高額になります。8・9月も繁忙期と言われていますが、実際のところ3・4月以外は各社忙しさにばらつきがあるため、見積もりに大きな違いが表れることがあります。
まとめ
家庭と違って単身者の引っ越しは荷物が少ないので、いろいろな方法で引っ越すことができます。中にはスーツケース一つで移動できるという強者もいるでしょうが、たいていの場合は冷蔵庫や洗濯機といった大物があるため、業者に依頼するか自分で車を手配して運ぶのが一般的です。同市内の引っ越しなど短距離であればレンタカーを借りて自力で運ぶこともできますし、赤帽に頼んでもレンタカーを借りるのと大差ない料金で引越しができます。ただし、長距離となるとこれら二つはあまり現実的ではなく、引越し業者の単身パックが最も便利な手段です。いずれの方法も、やはりカギはできるだけ荷物を減らすこと。引っ越しは持ち物を整理する最高の機会なので、この機会に不要物を一掃してみてもいいかもしれませんね。