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2019年末から始まり、未だに収束をみない新型コロナウイルス感染症のパンデミック。日本でもワクチンの接種が2月中旬から始まりましたが、先進国の中では接種率がまだかなり低く、東京や大阪といった大都市では緊急事態宣言が3月21日まで延長されることになっています。今回のパンデミックで最も影響を受けたのは、飲食業や観光産業。日本に滞在する外国籍の人の中にはこれらの業種に携わっている人が多く、経済的に困窮する人がたくさん出ています。また、日本に滞在するためのビザの問題も多数出ています。現在日本にいて経済的理由やその他の事情で困っている人のために、日本政府が実施している経済支援や特別措置についてまとめました。
生活福祉資金貸付制度(学生も可)
緊急小口資金(主に休業した人向け)
新型コロナウイルス感染拡大による休業などで収入の減少した人に、生計維持のため緊急かつ一時的に貸付をする制度です。
- 対象者:新型コロナウイルス感染拡大による休業などで収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯
- 貸付上限:校等の休業、個人事業主など特例の場合20万円以内、その他の場合10万円以内
- 返済の据え置き期間:1年以内
- 返済期限:2年以内
- 受付窓口:居住地の社会福祉協議会
生活福祉資金貸付制度(主に失業した人向け)
新型コロナウイルス感染拡大による失業などで収入の減少した人に、生計をたてなおすためまでの生活費を貸し付ける制度です。
- 対象者:新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた収入の減少や失業により、生活に困窮し、日常生活の維持が困難になっている世帯
- 貸付上限:単身世帯は月15万円以内、2人以上の世帯は月20万円以内
- 返済の据え置き期間:1年以内
- 返済期限:10年以内
- 受付窓口:居住地の社会福祉協議会
住宅確保給付金(学生も可)
離職などにより生活が困窮し住居を失った、または失いそうな人に対して、家賃相当分の給付金を国が支援支援してくれる制度です。給付は自治体から住居の貸主へ直接支払われます。
- 対象者:離職などにより生活が困窮し、住居を喪失または喪失しそうな人
- 給付期間:3ヵ月(特別の理由が認められた場合は9か月まで延長可)
- 受付窓口:居住地の自治体役所
受給するためには、申請時に離職・廃業後2年以内であること、世帯の主たる生計維持者であること、収入が減少していること、預貯金額の上限などの条件を満たす必要があります。
国民健康保険料の減免(学生も可)
国民健康保険料は、前年の所得額に基づいて金額が決められるので、前年の所得が低い人には自動的に保険料もある程度低く設定されます。しかし、失業や災害などの理由で収入が激減し、保険料の支払いが難しいと判断された人は、保険料の支払いの減免や全額免除を受けることができます(要申請)。詳しくは居住地の自治体役所に問い合わせましょう。
- 対象者:新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少し、保険料の支払いが困難な人
- 対象期間:2020年2月1日から2021年3月31日までの納期にかかる保険料(2021年3月31日必着)
- 受付窓口:居住地の自治体役所
国民年金保険料の免除・納付猶予(学生不可)
失業などの理由によって国民年金保険料の支払いが難しくなった人は、今年中に見込まれる所得の金額に応じて国民年金保険料の一部(1/4、半額、3/4)または全額を免除、または経済状況がよくなるまで支払いを待ってもらう(納付猶予)ことができます。詳しくは居住地の自治体役所、または年金事務所に問い合わせましょう。
- 対象者:2020年2月以降に新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した人のうち、2020年2月以降の所得等の状況から見て、当年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれる人
- 対象期間:2020年2月~2020年6月、2020年7月~2021年6月
- 受付窓口:居住地の自治体役所または年金事務所
引き続き日本へ滞在したい人への措置
現在のビザから「特定活動」への切り替え措置
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて自国へ帰りたいけれど、交通規制などの諸事情によりビザの期限までに日本を出国できないという人は、現在のビザから6か月の「特定活動」ビザに切り替えることができます。就労の可否は原則として現在持っているビザの条件に準じます。申請は住所地によって出頭/郵送が指定されているので事前に確認しましょう。
- 対象者:新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、交通規制などの諸事情によりビザの期限までに自国への帰国が困難な人
- 受付窓口:居住地を管轄する出入国在留管理局
「技術・人文知識・国際業務」ビザ保持者への特別措置
「技術・人文知識・国際業務」のビザで就労していた人が新型コロナウイルス感染症の影響で解雇や自宅待機になってしまった場合、現在のビザのまま滞在できる特別措置が取られています。詳しい条件は下記の通り。
- 雇用先から解雇や雇い止めの通知を受け、就職活動を希望する人
- 雇用先から待機を命じられた人で復職を希望する人
- 雇用先から勤務日数・勤務時間の短縮を命じられた人で、引き続き稼働を希望する人
- 上記の1.または3.に準ずる人
雇用先企業の都合により上記の状況にあることを証明する文書を提出すれば、資格外活動も許可されます。資格外活動の期間は、許可の日から6か月または現在持っている在留期間の満了日のうち、先に到来する日になります
- 受付窓口:居住地を管轄する出入国在留管理局
公共料金の支払い猶予(契約者であれば学生も可)
現在日本政府は電力会社やガス会社に、新型コロナウイルス感染症の影響で毎月の光熱費の支払いが困難な人の支払いを猶予するように要請しています。それを受けて東京電力/ガスや関西電力などの会社が、支払いを1-2ヵ月猶予する措置をとっているので、休業や失業で家計が苦しいという人は、自分の契約している電力会社やガス会社に、そのような措置が可能かどうか問い合わせてみましょう。
まとめ
2020年初めから現在まで、日本でも深刻な影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症。一番の打撃は人の動きが激減したことで、経済が停滞してしまったこと。日本人だけでなく、日本に住んでいる外国人にも雇いやめや就職の内定取り消しなどの悪影響が表れ、経済的に困窮する人が続出しました。非常事態の今、日本政府や自治体は様々な特別措置を打ち出しています。これらは外国人であっても利用できますので、今経済的な問題やビザの問題に直面している人はぜひ各受付窓口まで問い合わせて活用してください。