photo by Chad Davis
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは日本にも多大な影響を及ぼしています。すべての分野でネガティブに作用していますが、特に打撃を受けているのは外食産業や観光業。日本で学ぶ留学生の多くはアルバイトをして生活を維持している人が多く、コロナ禍でアルバイト先が休業になり困っている人がたくさんいます。日本政府は日本に在留している外国人のための様々な特別措置を実施していますが、留学生に対する措置はその他の外国人居住者の場合と異なるものもあります。
国民年金の学生納付特例
日本で学ぶ学生(留学生を含む)は、所得が一定以下であれば在学中の国民年金の納付が猶予されます(国民年金の学生納付特例)。これは通常前年の所得額を基準に承認されるものですが、コロナ禍の現在は、新型コロナウイルス感染症の影響で所得が下がったことを証明し「今年の見込み所得」が基準値以下と判断されれば、今年度の分の支払い猶予を受けることができます。
- 対象者:本人の所得が一定以下の学生(同居家族の所得は無関係)
- 対象期間:2020年4月~2021年3年3月、2021年4月1日~未定
- 受付窓口:居住地の自治体役所または年金事務所
引き続き日本へ滞在したい人への措置
継続就職活動中又は内定待機中の元留学生
卒業した元留学生のうち、すでに「特定活動」で就職活動を行っているが新型コロナウイルス感染症の影響で就職活動が難航している、または内定が取り消しになって引き続き就職活動をしたい、という人は通常の期限を超えて滞在期間の更新が認められます。また、内定をもらったけれど勤務開始日が延期になってしまったという人も、滞在期間を延長できます。どちらも申請が必要です。
- 対象者:「特定活動」の資格で就職活動中の元留学生、または内定をもらって「特定活動」の資格で勤務日まで待機中の元留学生
- 受付窓口:居住地を管轄する出入国在留管理局
技能実習生への特例処置
一般の留学生とは少々異なる形態ですが、「技能実習」ビザで特定の技能訓練を行っている技能実習生で、新型コロナウイルス感染症の影響により帰国が困難になった人に滞在期間の延長が認められています(要申請)。技能実習生はビザの種類や状況によって対応が異なります。
- 対象者①(本国への帰国が困難な人):「特定活動6か月」への切り替えが可能
- 対象者②(技能検定等の受験ができない人):「特定活動(4か月・就労可)」への切り替えが可能
- 対象者③(実習先の経営悪化等により実習継続が困難な人):条件を満たせば「特定活動(最大1年・就労可)」への切り替えが可能
- 対象者④(技能実習2号を修了したが「特定技能1号」への準備ができていない人):「特定活動(4か月・就労可)」への切り替えが可能
- 対象者⑤(技能実習2号を修了し「技能実習3号」への移行を希望する人):「技能実習3号」への切り替えが可能
- 受付窓口:居住地を管轄する出入国在留管理局
留学生以外の在日外国人と同様に利用できる政策
生活福祉資金貸付制度
アルバイト先から休業するように言われたり、経営不振などで仕事がなくなってしまったたりした人は、家計を助けるためのお金を借りることができます。
- 緊急小口資金(主に休業した人向け)
- 生活福祉資金貸付制度(主に失業した人向け)
住宅確保給付金
離職などにより生活が困窮し住居を失った、または失いそうな人に対して、家賃相当分の給付金を国が支援支援してくれる制度です。給付は自治体から住居の貸主へ直接支払われます。
国民健康保険料の減免
失業や災害などの理由で収入が激減し、保険料の支払いが難しいと判断された人は、保険料の支払いの減免や全額免除を受けることができます(要申請)。
電気代やガス代の支払い猶予
日本政府は各電力会社やガス会社に、コロナ禍で支払いが困難な利用者の支払いを猶予するよう要請しています。東京電力や関西電力といった会社は1~2ヵ月の支払い猶予期間を設けていますので、自宅で契約している電力/ガス会社が猶予を実施しているかどうか問い合わせてみましょう。
参照:「コロナ禍を乗り切るために外国人居住者が利用できる制度まとめ」
まとめ
まだ終わりを見ないコロナ禍。日本でもワクチン接種が始まりましたが、当面は医療従事者や空港など国境で働く人たち、高齢者や持病のある人などから接種が行われるため、すべての人たちにワクチンがいきわたるまでには当分時間がかかります。そのため、日本に滞在する外国人、特に留学生にとって元のようにアルバイト先を確保できるようになるのはまだ先になりそうです。国民年金や国民健康保険料などは、今年の所得が低いことを証明できれば学生納付特例や減免を受けることができるので、できるだけ早く手続きを行うようにしましょう。