コロナ禍のため、長らく新規入国者の受け入れを制限していた日本ですが、この11月から一部の新規入国者の受け入れを開始する旨を日本政府が発表しました。特定の目的で来日する人に対象を絞っているものの、日本国内のワクチン接種率の上昇や新規感染者の人数の減少などを考慮して、国境の規制緩和の第一歩を踏み出しました。また、これまで入国が許可されていた日本国籍を持っている人や、ビザを保有していて日本へ再入国する人などに対しても、滞在していた地域やワクチン接種の有無によって自宅待機の条件がやや緩和されることになりました。
現在、日本への入国が許可されている対象者
これまでのコロナ禍の水際対策として、日本政府は日本国籍を持つ帰国者と再入国の外国人以外、外国人の新規入国を原則禁止としてきました。そのため、すでに技能実習生や留学生などすでにビザを取得していても入国できずに、自国で待機となっている人がたくさんいました。しかし、この11月から商用のための短期滞在者と長期滞在者の入国も、条件を満たせば許可されることになりました。
- 日本国籍を持つ帰国者
- 外国人の再入国者
- 商用のための短期滞在者(受け入れ側による行動管理が条件)
- 長期滞在者(受け入れ側による行動管理が条件、例:留学生や技能実習生)
日本入国前・入国直後の条件
- 出国前72時間以内のコロナウイルス陰性証明
- 入国時に空港でPCR検査を行い陰性であること
- 待機のための施設に移動する際は、公共交通機関の利用は禁止。レンタカーや自家用車などの個人のみで使用する交通手段を事前に手配すること
ワクチン接種証明書による待機期間の短縮(3日施設待機指定国・地域&非指定国・地域のみ)
これまでの水際対策では帰国者や再入国者であっても、滞在していた国によって14日間の自宅/市内の待機施設等での待機、または検疫所の施設で数日間待機した後で14日間の自宅待機など、入国後の待機が義務付けられていました。それがこの度、ワクチンを2回接種しているという証明書を提出することで自宅等や検疫所が確保する施設等での待機期間が短縮されることになりました。待機期間の短縮は次のよう内容になっています。
入国後14日間の自宅等での待機期間の短縮
「検疫所が確保する宿泊施設での待機対象となっていない国・地域」または「検疫所が確保する宿泊施設で3日間の待機対象となっている指定国・地域」から入国・帰国する人で、指定の条件を満たすワクチン接種証明書を保持する方は、入国後10日目以降に自主的に受けた検査(PCR検査又は抗原定量検査)の陰性結果を厚生労働省(入国者健康確認センター)に届け出ることにより、残りの待機期間が短縮されます。
検疫所が確保する宿泊施設での3日間待機の免除
「検疫所が確保する宿泊施設で3日間の待機対象となっている指定国・地域」から入国・帰国する方で、指定の条件を満たすワクチン接種証明書を保持する人は、宿泊施設での待機及び入国後3日目の検査を免除されます(自宅等での待機はこれまで通り必要)。
注)上記の条件を満たしていても、何らかの理由で検疫所や保健所から指示があった場合は、短縮の対象になりません。また、濃厚接触者も自宅等での待機の短縮は受けられません。
厚生労働省は、今回の待機期間の短縮についてのシミュレーションのために、次のような表を公開しています。
(1) 検疫所が確保する宿泊施設での待機対象となっていない国・地域
(2) 検疫所が確保する宿泊施設で3日間の待機対象となっている指定国・地域
注)日本入国前14日間に自分が滞在していた国が、検疫所が確保する宿泊施設での待機対象になっているかどうかは、外務省のウェブサイトで確認できます。
有効なワクチン接種証明書の条件
- 日本政府が指定する国・地域の政府または公的機関が発行した接種証明書
- 氏名 ・生年月日 ・ワクチン名又はメーカー ・ワクチン接種日 ・ワクチン接種回数が、日本語または英語で記載してあること
- 接種したワクチンのワクチン名/メーカーが、以下のいずれかであることが確 認できること
コミナティ(Comirnaty)筋注/ファイザー(Pfizer)
バキスゼブリア(Vaxzevria)筋注/アストラゼネカ(AstraZeneca)
COVID-19ワクチンモデルナ(COVID-19 Vaccine Moderna)筋注/モデルナ(Moderna) - 上記のワクチンのいずれかを2回以上接種していることが確認できること
- 日本入国・帰国時点で2回目のワクチン接種日から14日以上経過していることが確認できること
6日施設待機指定国・地域からの帰国者・再入国者・新規入国者
6日施設待機指定国・地域または非指定国・地域以外からの外国籍入国者には待機時間の短縮はありません。しかし、受け入れ側の企業や学校などが入国前に、自分たちの業種を管轄する省庁に申請して審査を受けることにより、受入責任者の管理の下で、新規入国することができます。
注)日本入国前14日間に自分が滞在していた国が、検疫所が確保する宿泊施設での待機対象になっているかどうかは、外務省のウェブサイトで確認できます。
まとめ
2021年は世界中でコロナワクチンの接種が急ピッチで進められた年でした。日本でも全人口に対するワクチン接種率が75%と、なかなかの高水準に達したこともあり、徐々に人の往来を回復する動きに転じてきています。水際対策でいえば、これまで禁じていた新規入国者の部分的な解禁。まだまだ観光目的の入国を受け入れるには至っていませんが、一部とはいえ外国人の新規入国が始まったのは大きな進歩です。ただし、やはりまだコロナ禍は収まっていないので、コロナウイルス陰性であることが必須条件。渡航前には感染に十分気を付けて、陰性証明を取得してから空港へ行きましょう。