photo by hiroaki maeda
通勤、通学、近所への買い物の時など、日本での日常生活は自転車が活躍することが多いものです。最近では健康維持のための運動用にサイクリングを選ぶ人も多いですね。特にコロナ禍の真っただ中で外出もままならかったころは、近所で手軽にできるレクリエーション兼エクササイズとしてサイクリングを始める人が増えました。子供から大人まで、誰でも簡単に乗ることができる自転車ですが、昨今の自転車人気と一緒に自転車による事故にも注目が集まるようになりました。みなさんは、日本で自転車を運転中に事故を起こしてしまったとき、どう行動すればいいか知っていますか?
まず、自転車に乗る際の交通ルールを確認
多くの国と同じように、日本でも自転車は自動車やバイクなどと同じく「車両」として認識されます。自動車やバイクと違って自転車の運転には免許は要りませんが、運転する際のルールはたくさんあるため、自転車に乗る人は必ず確認しておきましょう。下記は主なルールです。
- 原則車道を走行。標識などで許可されている場所や、道路工事中などやむを得ない場合のみ走行可。
- 車道では左端、歩道では車道側の端を走行する。
違反事項
- 飲酒運転、2人乗り
- 横に並んでの走行
- 夜間にライトを点灯しない
- 交差点での信号を無視、一時停止・安全確認をしない
- 片手がふさがった状態での運転(例:スマホの使用、傘を持ちながらの運転)
- 運転中のイヤホン/ヘッドホンの使用、
など
*2016年の道路交通法改正ご、上記の違反行為に関して3年以内に2回の取り締まりを受ける、または2回の交通事故を起こした場合、自転車運転者講習を受けることになります。講習は1回3時間で6000円の受講料がかかります。さらに、受講命令に従わない場合は5万円以下の罰金が科せられます。
自転車の飲酒運転について
上記の違反事項の中で特に注意したいのが自転車の飲酒運転。自転車は大人も子供も免許なしで運転できるため、つい自動車やバイクと同じ「車両」であることを忘れてしまいがち。でも、たとえエンジンがついていなくても、アルコールの影響下で自転車を運転することは法律で禁止されています。正確にはアルコールの影響で「ふらつく、目がよく見えない」などの状態になる「酒酔い運転」が禁止されています。酒酔い運転は呼気中のアルコール濃度とは関係なく、警察官の直接確認によって判断されます。違反した場合には5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
自転車事故後の対応
自転車に乗っていて巻き込まれる事故で一番多いのは、信号や交差点での出会いがしらの衝突ですが、その他にも歩道を走行中に歩行者をはねてしまうなど、様々なケースがあります。自転車事故を起こした場合に取るべき行動ですが、基本的には自動車事故のときと同じく、その場の状況に合わせて関係者の安全確保や警察への連絡をすることになります。大まかには次のような流れになります。
- 事故現場の安全を確保(けが人がいれば保護する、交通のじゃまにならないよう車両を移動するなど)
- 警察へ連絡(自動車を巻き込まない事故であっても、自転車事故は「交通事故」とみなされます。警察への連絡は必ず行いましょう)
- 事故相手/目撃者との連絡先を交換
- 保険に加入している場合は、警察署で「自動車事故証明書」を取得して保険会社へ連絡
自転車に乗るなら保険加入を検討
自転車事故にも様々なケースがあり、自分に過失がある場合、相手に過失がある場合、双方に過失がある場合と様々です。自転車と自動車の事故の場合、飲酒運転をしていた、スマホを見ながら運転していた、信号無視をしたなど、自転車側に明らかな違反があった場合以外は、過失割合は比較的自転車側に有利な場合が多いです。しかし、自転車と歩行者で事故になった場合、自転車は車両ですので自転車側に過失があるとされる場合が非常に多いです。また、自転車で歩行者にぶつかって怪我をさせてしまった場合などは、賠償責任も生じます。自動車であれば、自賠責保険の加入が義務付けられていますが、自転車には保険加入は義務付けられていません。しかし、まんいち歩行者に怪我などをさせてしまった時のために、自分で保険に入るという人は多いです。ふだんから頻繁に自転車に乗る、という人は保険の加入を考えてみてもいいかもしれません。
保険に加入する最大のメリットは賠償責任が生じたときに、実費で払う金額が少なくて済むという点ですが、その他にも事故後の示談交渉を保険会社に任せることができる、という点も大きいです。無保険だと事故相手との交渉を自分で行うことになり、思った以上にストレスを感じることも多いようです。
まとめ
ふだんの買い物やレクリエーションに気軽に乗っている自転車。なんとなく徒歩に準ずる交通手段のような感覚で、自動車やバイクとは異なるようなもののように感じてしまいがちです。しかし実は、歩行者とは一線を画する立派な「車両」。乗るときには自動車を運転する時と同じような注意が必要です。走行ルールや違反事項も法律で定められており、違反すると刑罰もありえます。また、歩行者に接触して怪我を負わせてしまい、高額な賠償責任が生じたケースも多数あるので、頻繁に自転車を利用する人は自動車と同じく保険加入も考えてみましょう。