再び人でにぎわう富士山!2024年登山シーズンの前に知っておきたいこと

Mt fuji

photo by Marufish

2023年はコロナ禍以来初めてなんの制限もなく行動できる年となりました。日本の最高峰・富士山も7月から9月の2カ月あまりの開山期間に、久しぶりにたくさんの登山者でにぎわいました。環境省が発表したところによると、2023年夏季の登山者数は22万人超。2021年の7万8千人、2022年の16万人と比べて大幅に回復し、やっとコロナ禍以前のレベルに戻りました。ただし全て元通りというわけではなく、山小屋の受け入れ事情やマナーなど登山前に知っておくべきことがたくさんあります。2024年の開山前に富士登山の超基本知識についてチェックしてみましょう。

 

富士山の開山期間と登山ルート

開山時期

  • 毎年7月上旬から9月上旬(2023年は7月10日~9月10日(吉田ルートのみ7月1日~))

一般登山者の富士登山は夏季限定で、山小屋の営業も開山期間のみになっています。開山期間は毎年「富士登山オフィシャルサイト」で発表されます。

登山ルート

富士登山の基本ルートは4つ。全て5合目の登山口まで車やバスでアクセスして中腹から頂上まで登るコースです。

  • 吉田ルート:山梨県側・富士スバルライン5合目スタート。登り約6時間(6.8㎞)、下り約4時間(7㎞)。公衆トイレ、救護所が最も多く、一番人気のルート。最も初心者向け。
  • 須走ルート:静岡県側・須走口五合目スタート。登り約6時間(6.9㎞)、下り約3時間(6.3㎞)。樹林帯や砂の斜面を通過するためある程度の登山経験が必要なルート。比較的人は少ない。
  • 富士宮ルート:静岡県側・富士宮口五合目スタート。登り約5時間(4.3㎞)、下り約3時間(4.3㎞)。岩場と急こう配の多い最短ルート。山小屋が多く初心者にもおすすめ。
  • 御殿場ルート:静岡県側・御殿場口新五合目スタート。登り約7時間(10.5㎞)、下り約3時間(8.4㎞)。4コース中最も時間のかかる最長ルート。標高差も最も大きい。登山者用の施設が最も少なく初心者には不向き。

また、5合目からではなく富士山の麓から登山をしたいという猛者には、山梨県富士吉田市にある浅間神社の登山口から登るコースもあります。かなりの長距離&体力を要する行程なので宿泊必須です。

  • 吉田口コース:北口本宮富士浅間神社スタート。登り約12.5時間(21.8㎞)、下り約7.5時間(22㎞)。

 

富士登山のための基本装備

絶対に必要なもの

登山靴、登山用靴下、登山用ズボン、上下に別れた登山用雨具(レインジャケット&レインパンツ)防寒着(ニット帽など冬用の帽子、ネックウォーマー、フリース、ダウンジャケット、セーター、手袋、防災シート)、登山用インナー(速乾性の化繊のもの、綿素材は不向き)、日よけ帽子、ヘッドランプ、ヘルメット(五合目で貸出あり)、水(2L以上)、軽食(クッキー、ナッツ、チョコレート、サラミなど糖分・塩分が高いもの)、ゴミ袋、現金(トイレ用チップの100円玉を忘れずに!)、地図、携帯電話、ファーストエイドキット、日焼け止め、マスク、ゴーグル、タオル、防水バッグ

あると便利なもの

スパッツ(砂除けのため)、登山用ストック、カイロ

絶対忘れてはいけない装備は、登山靴、防寒着、登山用雨具、ヘッドランプ、地図です。富士山は3000mを超える活火山です。六合目以降はほとんど樹木がなく砂地や岩場になっており、ふつうのスニーカーや運動靴では底に穴があくことがあります。サンダルやハイヒールなどもってのほかです。また、想像以上に気温が低く五合目でも夏場の平均気温は15℃程度です。山頂付近は時間によっては夏でも0℃以下になることもあるため、防寒対策は絶対に必要です。雨具は必ずセパレートタイプの登山用のものを用意しましょう。街中で使うようなビニール製のレインコートやポンチョタイプのものは不可。ヘッドランプは万一日が暮れてしまった場合に必要になります。地図も道に迷った時のために必ず携行しましょう。これらの装備を忘れてしまうと命にかかわる場合もあるので、かならず携行するようにしましょう。

 

弾丸登山、ダメ、ゼッタイ!必ず山小屋の予約を

2023年、特に問題視された行為が一部の登山客による「弾丸登山」と呼ばれる無茶な登山計画です。これは「山頂から日の出を見るために五合目を夜に出発、山小屋に宿泊せずに一気に登頂し朝日を見てすぐ下山する」というもの。十分な休息を挟まずに往復することになるため疲労による事故の可能性が上がるうえに、急激な標高差を経験することで高山病の危険も高まります。富士登山をするときには必ず山小屋を予約して宿泊するようにしましょう。

山小屋はそれぞれのルートの登山組合などのウェブサイトから予約できます。宿泊料金は素泊まり6000円~、1食付き7000円~、2食付き8000~が2023年の相場でした。

吉田ルートの山小屋
須走ルートの山小屋
富士宮ルートの山小屋
御殿場ルートの山小屋

 

そのほか富士登山で気をつけること

野宿をしない:2023年中、山小屋に宿泊予約をせずに軒下で野宿をする人が問題になりました。夏場とは言え夜間は気温が低く、落石や強風などもあり野宿は非常に危険です。また、五合目以降はキャンプできる場所もありません。必ず山小屋に宿泊しましょう。山小屋が満室で予約が取れない場合は登山自体を断念する方が賢明です。

週末は混雑必至:夏季しか開山しないため非常に込み合う富士登山。特に週末は非常に込み合い、山頂付近で渋滞がおこることもあるので、日程は慎重に選びましょう。

落石注意:富士山の5合目以降は樹木がなく砂場や岩場が多くなっています。登山者が集中すると落石の危険が高まるため、ヘルメットを持参、または売店でレンタルしましょう。

無理をしない:富士山の標高は3000mを超えています。また日光をさえぎる樹木もなく、高山病や熱中症、疲労困憊など体調不良が起こる場合があります。体に異変を感じたら無理をせず直ちに下山しましょう。

火山情報を確認:長らく噴火が観測されてはいませんが、富士山は活火山です。登山当日は必ず天気や地震、噴火の状況を確認しましょう。

閉山期間中の登山は避ける:7月~9月の開山期間以外は山小屋や救護所などの施設は全て閉鎖されます。また冬季の富士山は登山家の雪上訓練に使われるような苛酷な環境になるため、豊富な登山経験と万全の装備がない人は登山を避けるほうが賢明です。

 

2024年の展望

2023年は数年ぶりにコロナ禍以前のような賑わいを見せた富士山ですが、山小屋の稼働率は以前の5~6割でした。そのため宿泊予約が取りにくい状況になっていたようです。2024年は今年よりも多くの登山客が見込まれていますが、山小屋の稼働率は今年とあまり変わらないとの見通しです。そのため、山小屋の宿泊はできるだけ早く、特に週末は非常に込み合うため余裕をもって予約を入れましょう。

 

まとめ

外から見るだけでも美しい富士山ですが、登山好きならやはり日本にいる間に一度は登頂してみたいもの。毎年たくさんの登山者が訪れる人気の山なので高山ながら山小屋や売店、救護所などの設備が充実しています。とは言え、決して簡単に登れる山ではありませんし、当日の体調はもちろん装備もしっかりと整える必要があります。なによりも気をつけたいのが防水、防寒。日本の夏は暑いですが、標高の高い富士山は下界とは全く気候気温が異なります。2024年に富士登山にトライする人は、しっかり準備をしてから挑みましょう!

あきらことほ

この記事を書いた人

あきらことほ あきら ことほ

日本を離れて11年。帰国の度に日本のいいとこ再発見。このコラムが皆様の「日本のいいとこ発見」のお役に立てればウレシイです!

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