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水の恵みにあふれた日本。豊かな水とともに暮らすということは、雨の多い気候とうまく付き合っていくということでもあります。ひとたび大雨に見舞われれば深刻な災害を招いたり、河川が氾濫して周辺地域に多くの浸水被害をもたらしてしまいます。2015年9月の鬼怒川の堤防決壊の被害はまだ記憶に新しいはず。『首都圏外郭放水路』はときに大きな脅威となりうる水と上手に付き合っていくために作られた最強の守護神ともいえます。そしてこの地下放水路がいまアツい視線を集めています。「見たこともないような巨大地下神殿が出現した!」という噂がじわじわ広がり、日本各地からモノ好きたちを集めています。この巨大地下神殿は地中50メートルという深さに日本の高度な土木技術の粋を結集して建造された世界でも類を見ない巨大な地下放水路です。足を踏み入れるものを飲み込むようなただただ圧倒的なたたずまいは一見の価値アリです。
地中に埋め込まれた巨大神殿
埼玉県春日部市にあるこの巨大放水路は地中に埋め込まれた地下河川施設。周辺の中小河川の増水であふれた洪水をこの巨大空間が取り込んで貯留し、別の大きな川に放水することによって川の氾濫や堤防の決壊を未然に防ぐというわけです。全長6.3キロメートルにわたって伸びるコンクリートの調圧水槽は地下鉄よりもさらに深い理中にあり、息をのむほどに重厚にして荘厳。外界から隔絶された異世界は未知の巨大洞窟のようでもあり、人類の最後の希望を託す地下シェルターのようでもあり、これまでに見たどんな遺跡とも違う独特の威容に打ちのめされそうになります。まさに「地下神殿」とでもいうしかないこの調圧水槽は陸上スタジアムに匹敵する面積を誇り天井までの高さは18メートル。そしてその空間を重量500トンにおよぶ59本の柱で支えている構造。その空間を支える柱もまるで縄文杉のよう。時空を超えていきそうな神々しさに圧倒されること間違いなしです。
立坑は自由の女神も入っちゃう!?
洪水をごくごくと飲み込む役割の立坑もこの巨大放水路の大きな魅力のひとつでしょう。直径は30メートル、そしてその深さはなんと70メートルというスケール。大地に開いた大穴といってもよいでしょう。そのへんのビルならすっぽり入ってしまうほどのサイズで、なんとあの自由の女神やスペースシャトルさえもすっぽりと飲み込んでしまうほど。のぞき込むだけで気を失ってしまいそうです。そしてそんな立坑が5本あり、地下トンネルでつながっているというわけです。
水害に対して鉄壁の守りを約束する驚異の能力
これだけ巨大な放水路はその能力もピカイチ。貯水量は67万立方メートルで、なんと東京ドーム半分ほどの水を貯めることができるとのこと。そして貯めこまれた水は江戸川に向けて放水されるのですが、その排水能力はなんと1秒あたり200立方メートル。14000馬力の巨大タービンを使って貯まった水を一気に放出します。数字を聞いてもあまりピンときませんが、たった1秒で25メートルプール1杯分の水を放出することができる計算。これならどんな大雨でも首都圏の人々を水の脅威からガッチリ守ってくれそうです。
地下巨大神殿をいざ見学!
首都圏外郭放水路はその調圧水槽を無料で見学することができます。毎週火曜日から金曜日までお一人様から見学が可能です。注意したいのは地下施設まで100段以上の階段降りていくということ。まさに地下探検に向かう心構えが必要で、サンダル履きやヒールでの見学はNGです。 当然ながら大雨の影響で施設が稼働中の場合、たっぷりと水が貯まっているため調圧水槽の見学はできません。その場合は併設されている「地底探検 ミュージアム龍Q館」で地底体験に参加することができます。首都圏の人々を守る地下の巨大神殿の全容を目の当たりにしたいという方はぜひチャレンジしてみてください。
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首都圏外郭放水路