クジラに逢いに行こう!日本でホエールウォッチングができる場所

Whale

photo by Isaac Kohane

昔からクジラとは深いつながりのあった日本人の暮らし。その歴史は紀元前にまでさかのぼります。古くは「いさな」と呼ばれ、現存する最古の和歌集「万葉集」にも、「いさな」を詠んだ歌が登場。それほど古くから、日本の近くを周遊していたクジラの群れ。今でも日本近海の太平洋側では、北は北海道から南は沖縄まで場所を変えて、1年中さまざまなクジラの姿を見ることができます。海面から勢いよくジャンプしたり、尾ひれだけを水上に出して潜水体制に入ったり、はたまた頭頂部から勢いよく海水を噴き出したりと、生で見るクジラの姿は迫力満点!今回は日本でホエールウォッチングに参加できる場所をご紹介します。

 

小笠原諸島(東京都)

東京から南へ約1000㎞、約30の島々からなる小笠原諸島。交通手段はなんと東京からの船・フェリーしかありません。外界から完全に遮断された環境のおかげで、豊かな自然がそのまま残されており、独自の進化を遂げた珍しい動物たちも多く生息しています。2011年には世界遺産にも登録され、その価値が再確認されました。ここ小笠原では独自のルールに則ったエコツーリズムを実施しており、沢山のクルーズ船がホエールウォッチングツアーを催行しています。年間を通じて見られるマッコウクジラ、冬から春にかけて沿岸部で見られるザトウクジラの他に、稀にニタリクジラやゴンドウクジラ、アカボウクジラなどが姿を現すことも。どこまでも続く青い海と空に囲まれて泳ぐ、ゆったりとしたクジラの姿はここでしか見ることができないものです。

小笠原ホエールウォッチング協会

 

慶良間諸島(沖縄県)

沖縄県那覇市から西へ約40㎞程の海上に浮かぶ慶良間諸島。20ほどの島々が集まるこの界隈の海は、世界屈指の透明度でその名を知られています。その美しく透き通った青はケラマブルーと呼ばれ、毎年多くのダイバーや観光客が集まってきます。また冬から春先にかけては、出産のために数百頭のザトウクジラの群れがこの海域を訪れます。出産期後には、親クジラに寄り添って泳ぐかわいい子クジラの姿も。この時期には複数のクルーズ船が沖縄本島や座間味島から出発し、ホエールウォッチングツアーが催行されます。クジラに遭遇する確率がかなり高く、ツアーによってはかなり接近してクジラの姿を見られるとあって、日本有数の見鯨ポイントとして名を馳せています。

たびらい沖縄
座間味村ホエールウォッチング協会

 

銚子市(千葉県)

みなさん、信じられます?東京駅から電車とバスを使って2時間ちょっとで、ホエールウォッチングのクルーズ船に乗れるなんて。なんとなくクジラは、首都圏からはものすごく離れた遠い海で見るものだと思い込んでいましたが、違うのですね。千葉県銚子市は古くから栄えた漁業の街で、現在でも日本随一の水揚げ量を誇る銚子漁港があります。ここ銚子市の海沿いにある㈲銚子海洋研究所では、毎年11月から12月に「沖合クジラウォッチング」を催行しており、マッコウクジラやゴンドウクジラを見ることができます。東京から日帰りで利用することができ、アクセスの良さは他に類をみません。広大な海で戯れるクジラの姿を見れば、忙しい日々の喧騒など嘘のように忘れてしまいそうですね。

㈲銚子海洋研究所

 

羅臼町(北海道・知床半島)

北海道の太平洋側、北東方向へ角のように突き出した形の知床半島。目を見張るほど美しい四季折々の景観とそこに住む野生動物の数々が間近に見られる、自然の楽園です。2005年には知床半島とその沿岸海域が世界遺産に登録されました。半島の東海岸側に位置する羅臼では、流氷がとけた後の3月から4月および9月ごろにツチクジラ、5月から7月にミンククジラ、7月から9月にマッコウクジラと、数種類のクジラを観察することができます。巨大なツチクジラが海面からジャンプしたり、マッコウクジラが噴気孔から盛大に海水を噴き出す様子は迫力満点!春先とはいえ北海道、海上の体感温度はかなり下がりますから、防寒対策はしっかりとしていきましょう。

知床羅臼観光協会

 

黒潮町(高知県)

日本3大清流のひとつ四万十川が太平洋へと流れこむ河口の北に位置する黒潮町。カツオの一本釣りで全国に名を知られているこの街から沖へ出ると、年間を通じてニタリクジラが生息する海域に出ます。黒潮町では20年以上前からニタリクジラの個体識別調査を続けるなど、街を上げてクジラの生態調査に力を入れています。4月末から10月末は連日クルーズ船が出港し、ホエールウォッチングツアーに連れていってくれます。運が良ければ、手が届きそうな場所までクジラが寄ってくることも。広々とした太平洋をバックに、元気に泳ぐクジラの姿を満喫できます。

大方ホエールウォッチング

 

ホエールウォッチングでの注意点

服装

ホエールウォッチングでは小型船でかなり沖合まで出かけることになります。船の上では特に激しい運動などは行いませんが、波で足元が揺れることが多いので、ハイヒールなどは避けてスニーカーなど歩きやすい靴で参加しましょう。また、海上を風を切って進むことになりますので、かなり寒く感じることもあります。温度調節ができるよう、適切な上着を持っていきましょう。また、少々濡れてもいいくらいの格好のほうが無難です。

日焼け止め対策

海の上は思っている以上に日焼けします。日焼け止め、帽子、サングラスは必ず持って行ってください。また、夏場は熱中症対策もしっかり行いましょう。帽子は風邪で飛ばされないよう、ひも付きのものがベストです。

酔い止め対策

沖合の海上では船がかなり揺れることがあります。船酔いをしやすい人は、酔い止め薬を持っていきましょう。ツアー船では酔い止めは準備していないことが多いです。船の上では遠くを見るようにすると、酔いにくいと言われています。

カメラ等の管理に注意

ホエールウォッチングでは殆どの人が写真を撮りますが、突発的な揺れや強風でカメラや携帯を水中へとり落としてしまったという事故がよく起こります。カメラなどは出来るだけストラップで首へかけたり、携帯電話もうっかり下へ落としてしまわないような工夫が必要です。

鯨が見られるかどうかは運しだい

ホエールウォッチングツアーは、もちろんその海域に沢山クジラが現れるシーズンに行われていますが、実際にクジラに遭遇できるかどうかはその時になってみないと分かりません。野生動物が相手ですので、100%確実にクジラが見られるというものではありません。

 

まとめ

船で沖合へ出て体験するホエールウォッチング。初めて生でクジラを見ると、その大きさにびっくりするかもしれません。さすがに水族館では飼育することのできないクジラ、実際に大海原で泳ぐ姿を見れば感動すること間違いなしです。また、潮吹きや潜水、ジャンプなど、クジラの代表的な動作について事前に勉強しておくと、楽しさ倍増です。

 

 

あきらことほ

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あきらことほ あきら ことほ

日本を離れて11年。帰国の度に日本のいいとこ再発見。このコラムが皆様の「日本のいいとこ発見」のお役に立てればウレシイです!

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