島中ヤギだらけ。日本最南端の島『波照間島』とは

photo by okinawacrip

ヤギというと、普通なら牧場でだけふれあえるイメージの動物ですが、そこかしこでヤギが自由に歩き回っている、ヤギ好きさんにはたまらない島が沖縄にあります。それは有人の島としては日本最南端に位置する波照間島。数ある沖縄の離島の中でもリピーターが多いことで有名な島です。ゆっくり進む沖縄時間の中で人なつこいヤギたちを愛でる癒やしの旅を体験してみませんか。

 

波照間島ってどんな島?

波照間島の名前の由来は「果てのうるま(沖縄の言葉で珊瑚礁の意味)」から。人が住んでいる島としては日本国内で最も南にある離島で、人口わずか500人ほどの小さな島です。沖縄本島からまずは石垣島に渡り、そこから1時間ほど高速船に揺られてようやく島の北側に位置する港にたどり着くことができます。昔ながらの伝統的な沖縄の原風景と美しい自然が多く残るこの島では、都会の喧騒とは無縁のゆったりと流れる時間の中で、ヤギたちが自由に歩いています。綺麗に整備されたリゾート施設も、コンビニも、バスもタクシーも、そもそも信号すら存在しない素朴な島で、さとうきび畑や自然のままのビーチ、昔ながらの家並みなどを見ながらのんびりと過ごし、島中いたる所で目にするヤギたちを愛でているうちに、あっという間に時間が過ぎていくことでしょう。自転車で島を巡ると2時間ほどで一周できてしまうので、レンタサイクルを借りて島の南側で日本最南端を示す石碑と共に写真撮影をするのもおすすめです。

 

波照間島のヤギ達

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波照間島では島内の各所でヤギの姿を見ることができます。道に「ヤギ飛び出し注意」の看板が置かれているほど島の人にとっておなじみの動物です。ヤギ達は島の人に飼われているヤギと、野生のヤギとに分かれ、飼われているヤギの一部は紐で繋がれていますが、子ヤギは母ヤギのそばを離れることがないため繋がれずに好きなように動き回っています。集落のそばでは繋がれていることが多いヤギも、広々とした島の南部ではほぼフリー状態で自由を満喫。特に星空観測タワー付近ではたくさんのヤギが群れになってお散歩しています。人に慣れており、近づいても逃げないのでふれあい放題です。ただしこの愛らしいヤギ達、実は食用です。結婚や入学・卒業祝いなど祝いごとの際に、刺し身やヤギ汁(ヤギ肉を骨ごとぶつ切りにして煮込んだスープ)となって振る舞われるのです。興味があれば島の居酒屋でトライすることも可能ですが、独特な臭いとクセがあり、沖縄の人でさえ苦手な人が多いそうなので、無理は禁物です。

 

美しすぎるニシ浜のビーチ

hateruma_beachphoto by travyde.com

波照間島に行くなら決して外してはならないスポットは、唯一遊泳が許されているビーチ「ニシ浜」。まるで青い宝石のように光を放つ海は、光のあたり方によって水色、青色、緑色など刻々と変化していき、その言葉ではとても言い表せない微妙な色合いは「ハテルマブルー」と呼ばれています。透明度も素晴らしく、色とりどりに広がる珊瑚の間を鮮やかな魚たちが舞う様子をクリアに見ることができます。その息を飲むほどの美しさは、このビーチを訪れるためだけに何十回も波照間島に通いつめてしまう人が続出するほど。まばゆい太陽の陽射しを受けて輝く海面のきらめきや、透き通った碧と白い浜辺との絵画のような対比を、ぜひその目で実際に確かめてみてください。ニシ浜は2016年にトリップアドバイザーの「日本のベストビーチ」で2位に選ばれています。なおニシ浜の「ニシ」は沖縄の言葉で「北」を意味する言葉で、名前にニシとついていても実際の場所は島の北側にあります。無料で使用できるトイレや更衣室などが備えられ、ビーチ入口の民宿ではシュノーケリング道具一式のレンタルが可能です。

 

星空に一番近い島、波照間島

もう一つ、波照間島が持つ他にはない魅力が星空の美しさです。周辺に光害となるような人工的な光がないことに加えて、沖縄の南の島ならではの乾燥した空気、晴天率の高さなどのさまざまな要件が重なって日本でもトップクラスの星空観測スポットとなっています。また、南十字星といえばオーストラリアやニュージランドなどに住む人にとっては見慣れた存在ですが、日本をはじめ北半球に住む者にとっては一度は自分の目で見てみたい憧れの星。波照間島なら条件が良ければその南十字星を観測できるのです。島の南東部、高台に建つ星空観測タワーは星に興味があるなら必ず向かうべき施設です。館内に200mm屈折式天体望遠鏡が備えられ、夜間には実際の星空を使ってスタッフの方による星空ガイドも行われています。レーザーポインターを使った詳しい説明を聞きながら、息を呑むほど美しい満点の星空を思う存分眺めましょう。ただし、綺麗な星空を見るために重要になるのが月の満ち欠けです。満月の夜には新月の時の3分の1ほどの星しか見えなくなってしまうため、旅行の計画を立てる前に国立天文台天文情報センターなどで月の状態の確認をお忘れなく。

 

波照間島の基本情報

名称

 波照間島(はてるまじま)

住所

 沖縄県八重山郡竹富町波照間

アクセス

 各地の空港から那覇空港を経由して(または直行便で)新石垣空港へ
→新石垣空港から路線バス(約40分)で離島ターミナルへ
→1日4便運航している定期高速船に乗って波照間港到着(1時間)
※曜日によってはカーフェリーもあり(2時間半)

参考URL

波照間島ねっと
竹富島観光協会

 

まとめ

のんびりと草をはむ放し飼いのヤギたち、美しいビーチと星空。アクセスは決して便利ではなく、周囲も約15キロという小さな島ですが、訪れた人なら誰でもこの島が正真正銘の“楽園”であることを実感するはず。なお、近頃外国人の間でも人気が高まりつつあるのが昔ながらの沖縄のお酒、「泡盛」です。波照間名産の泡盛「泡波」は、生産数が極端に少なく島の外ではプレミア価格がつくほどのレアなお酒なので、おみやげにぜひどうぞ。

 

 

磯山ゆきえ

この記事を書いた人

磯山ゆきえ 磯山 ゆきえ

気ままな海外一人旅が好きです。外から見たこの国の姿を意識しながら、日本に関する楽しい話題をお届けできたらと思っています。

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