転勤、転校、賃貸物件の契約切れなど、日本に住んでいる間に引っ越しをして住所が変わる事もあります。そんな時には、実際に住居を移転する以外にも様々な手続きが発生します。目の前の荷物の整理に追われて、ついつい忘れてしまいがちな書類手続き。本当に忘れてしまうと、生活上不便が生じたり罰則を受けたりする場合もありますので、引っ越しする時に実際どんな手続きが必要なのか、ここで確認しましょう。
住民票に関する手続き
違う自治体へ転出する際には転出届
2012年の法改正から、外国人の居住者にも住民票の登録が義務付けられることとなりました。現在の住所地とは違う自治体へ転居する時には、引っ越し先の住所の国内・国外に関わらず、元の住所を管轄する自治体の役所に転出届の提出が必要です。特に国外へ引っ越す人は、国民健康保険料の誤請求を防いだり、脱退一時金をスムーズに受け取ったりするためにも必ず提出しましょう。転出届の書式は各自治体によって多少異なりますが、多くの場合、カウンターに備え付けの「住民異動届」という用紙を使用します。提出期間も各自治体によって変わりますが、引っ越し日の前後14日以内が一般的。転出届を提出した時に受け取る「転出証明書」は、引っ越し先の自治体で転入届を提出する際に必要になるので、失くさないよう保管しましょう。転出届は引っ越しした後からでも郵送で提出できます。なお同じ市区町村内での引っ越しには転出届けは不要です。
他市区町村や日本国外へ引っ越し。住民票の住所変更手続き【転出届編】
転居届・転入届(在留カードの住所変更を兼ねる)
転出届と同じく、2012年の法改正から外国人にも引っ越しの際の転居・転入届の提出が義務付けられています。同じ自治体内での引っ越しの場合は、住所地の役所に「転居届」、違う自治体から転入してきた場合は、新しい住所地の役所へ「転入届」を提出します。転居・転入届の書式は各自治体によって多少異なりますが、多くの場合、カウンターに備え付けの「住民異動届」という用紙を使用します。期限は引っ越し日から14日以内。転居・転入届を期限内に提出しないと、外国人の場合20万円以下の罰金や在留資格の取消に繋がる可能性があるので、手続きを忘れないようにしましょう。転出届と違い、転居・転入届は直接役所に出向いての手続きになります。また、転居・転入届の提出の際在留カードを一緒に提出すると、在留カードの住所変更も同時に行われます。
日本に来たら。引っ越しをしたら。住民票の住所変更手続き【転入届・転居届編】
国民健康保険に関する手続き
一部を除き、日本に中長期的に滞在する外国人にも加入が義務付けられている公的健康保険。企業の従業員など、その他の保険に加入している人は雇用主を通じて住所変更手続きができますが、それ以外の人で国民健康保険に加入している場合は、自分で住所変更手続きをします。転居届や転入届、転出届を提出する時に一緒に手続きしてしまうと時間の短縮になります。
違う自治体へ転出する際の脱退手続き
旧住所を管轄する役所で国民健康保険の脱退手続きを行い、健康保険証を返納します。期限は転出後14日以内です。手続きには保険証・印鑑・在留カード・高齢受給者証(持っている人のみ)を持参します。
違う自治体に転入する際の新規加入手続き
旧住所地で脱退手続きをした後は、新住所地の役所で国民健康保険の新規加入手続きを行います。期限は転入後14日以内。手続きには転出証明書・在留カード・印鑑、保険料を口座振替で支払う場合は口座振替用の預金通帳・口座届出印も持参します。
同じ自治体内で引っ越しする際の住所変更手続き
同じ自治体内で転居する場合は、市区町村役所で住所変更手続きのみ行います。期限は転居後14日以内。手続きには保険証・在留カードを持参します。
国民年金に関する手続き
国民健康保険と同じく、国民年金も住所変更が必要です。自営業者、学生、無職の人など、国民年金のみの加入者は自分で役所に出向いて手続きをします。同じ自治体内での住所変更の場合は、転居届を提出すれば国民年金の住所もアップデートされるという自治体が殆んど。別の自治体に引っ越しをした場合は、新しく転入した先の役所で「被保険者住所変更届」に記入して提出します。手続きには年金手帳と印鑑を持参しましょう。企業に勤めていて厚生年金に加入している人は、勤め先の事業主が手続きをしますので、まずは引っ越したことを会社の事務担当者に伝えて必要書類などをもらい手続きしましょう。なお、厚生年金の加入者で扶養配偶者がいる人は、こちらの国民年金の住所変更も会社を通して行います。
郵便局の転送手続き
引っ越しの前に忘れずやっておきたいのが、郵便局の転送手続き。日本で生活していれば日々様々な郵便物を受け取る機会がありますが、それら全てに住所変更手続きをするのはほぼ不可能。そんな時、郵便局で郵便物転送手続きさえしておけば、旧住所に届く全ての郵便物を新住所に転送してもらえます(日本国内のみ)。申し込みは直接郵便局に出向いてできるほか、「e転居」サービスを使えば自宅にいながらオンラインで申し込めます。申し込みをしてから実際に転送が始まるまでには数日のタイムラグがあるので、引っ越し日より前に余裕をもって申し込みを済ませ、引っ越し先に転居すると同時に転送が始まるよう手続きするのが理想です。
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運転免許証の住所変更手続き
日本の運転免許証を取得している人は、引っ越し後に住所変更手続きを忘れず行いましょう。住所変更をしなくても運転免許は有効ですが、していないと次回の更新連絡書が旧住所に届いてしまい、いざ免許の更新をする際に余計な手間がかかってしまいます。運転免許証の住所変更手続きは、最寄りの警察署か運転免許センターで行います。なお、運転免許の住所変更には新住所の住民票の写しもしくは在留カードが必要になりますので、かならず事前に転居・転入届を済ませておきましょう。住所変更手続きに必要な書類は現行の運転免許証、新住所を証明するもの(住民票の写し、在留カード等)です。運転免許の住所変更に明確な期限は設けられていませんが、運転免許は様々な場面で住所確認の書類として提出を求められますので、引っ越し後できるだけ早く行うことをお勧めします。
個人番号通知カードまたは個人番号カードの住所変更
引越しによる住所変更など、個人番号通知カードまたは個人番号カードの記載情報に変更があった場合には、変更の事由が発生した日から14日以内に、住所地の市町村役場に届け出が必要です。手続きは引っ越し先の役場で行います。届出した変更事項はカードの備考欄に記入され、即日で返却されます。個人番号カードの住所変更は、転入届の提出と併せて行うと便利です。転入届と一緒に個人番号通知カード、もしくは個人番号カードも一緒に提出しましょう。
まとめ
家探しや荷物の整理など、引っ越しには何かと手間がかかって忙しいものです。特に住民票は世界的にはあまり例のない制度であるため、住民票関連の手続きは日本人以外の人にとって見落としてしまいやすい項目ですね。住民票を含め今回あげた手続きの中には、うっかり忘れてしまうと深刻な事態になってしまうものもありますので、引っ越し準備の一環としてあらかじめ予定に組み込んでおきましょう。