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みなさんは「都市鉱山」という言葉を聞いたことはありますか?普段の生活で人々が使用する家電製品の部品には稀少金属が使用されており、日々廃棄されるこれら家電に含まれる稀少金属を合わせてリサイクルすると、かなりの量を確保できるといわれています。特にパソコンは希少金属が多く使用されているので、古くなって廃棄する場合にはごみとして処理せず、必ずリサイクルすることが法で義務付けられています。では、日本ではどうやってパソコンを処分すればいいのでしょうか?それにはいくつかの方法があります。
パソコンリサイクル制度について
日本では2003年に通称「パソコンリサイクル法」が改訂され、使用済みのパソコンおよび液晶モニターなどはメーカーで回収・リサイクルすることが義務付けられるようになりました。これに伴い、2003年以降に製造され日本国内で流通しているパソコンには「PCリサイクルマーク」がつけられ、このマークがあるパソコンはメーカーに依頼すれば無料で回収されるようになりました。
パソコンリサイクル対象製品
パソコンリサイクルの対象になる製品は次の通りです。
- デスクトップパソコン本体
- ノートパソコン
- CRTディスプレイ
- 液晶ディスプレイ
- CRTディスプレイ・本体一体型パソコン
- 液体ディスプレイ一体型パソコン
※これら以外のプリンター、スキャナーなどの周辺機器、CD-ROMやDVDなどの記録媒体などはリサイクルの対象外です。
パソコンのリサイクル方法
いらなくなったけれどまだ使えるパソコンは誰かに譲ったり、リサイクルショップに売ったりすることもできますが、故障しているものにはこの方法は使えません。故障してしまったパソコンを処分するには、主に次のような方法があります。
- メーカーにリサイクルを依頼する
- 小型家電リサイクル法に基づいた自治体の回収に出す
- 廃品買取業者に売却する
処分方法1.メーカーにリサイクルを依頼する
前述のとおり、2003年以降に販売された日本で流通しているパソコンにはPCリサイクルマークが付いています(製品番号等が印刷されているラベル部分に、ほかのマーク等と一緒にプリントされていることが多い)。このマークのついているパソコンやディスプレイは、メーカーに連絡すると無料で引き取ってくれます。これはPCリサイクルマークのあるパソコンには、購入時の価格にすでにリサイクルにかかる費用が上乗せされているためです。中古品で購入したものであっても、このマークが付いていれば無料で回収してもらえます。マークのないものは有料での回収になります。メーカーによるリサイクルは、おおむね次の手順で行います。
- パソコン・ディスプレイのメーカー、PCリサイクルマークの有無を確認
- PCリサイクルマークがない場合は、メーカーからの指示に従って支払いを済ませる(PCリサイクルマークがある場合はこの手順はなし)
- メーカーのウェブサイトを確認し、オンラインまたは電話で申し込み
- メーカーからパソコンを発送するための送り状伝票(ゆうパック等)が送付される
- リサイクルしたいパソコンを梱包し、送り状を張り付けて発送する
注意!
メーカーによるリサイクルは、そのメーカーの製品しか受け付けてもらえません。例えば異なるメーカーのパソコン本体とディスプレイを両方処分したいときは、それぞれのメーカーに申し込む必要があります。また、自作のパソコン等は受け付けてもらえません。
処分方法2. 小型家電リサイクル法に基づいた自治体や家電量販店の回収に出す
2003年以降、生活における電子機器の浸透具合は飛躍的に上昇し、2013年には「小型家電リサイクル法」という法律も施行されました。この法律に基づいて、パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレット、USBメモリなどの記憶媒体からカメラやDVDデッキなど、実に多種の小型家電が対象になっています。一部の自治体や家電量販店ではこれらの回収を行っています。
自治体による回収
自治体の役所などに持ち込んで回収してもらいます。ほとんどの場合、回収のためのボックスが設置してあり、その中へ処分したいパソコンを入れます。ただし、どの自治体でも必ず行っているわけではないので、事前に自治体へパソコンのリサイクルを行っているかどうか確認が必要です。また、パソコンの形状によってはボックスに入りきらず回収してもらえないということも起こりえるので、事前に下見するなどして回収の可否を確認しておいたほうが無難です。回収対象はメーカーに関わらず、品目に合致していれば回収してもらえます。
家電量販店による回収
家電量販店の店舗へ持ち込んで回収してもらえます。ただし、店によってはリサイクル料金がかかる場合があります。また、持ち込みのみでメーカーのリサイクルのように発送サポートなどは行っていません。
処分方法3.廃品買取業者に売却する
前述のとおり、パソコンに含まれる希少金属は利用価値が高いため、故障したパソコンでも廃品買取業者などで引き取ってもらえます。使用できるパソコンであればほとんどの場合買い取ってもらえますが、故障している場合は無料で引き取りであったり、リサイクル料金がかかったりと、業者によって対応がまちまちなのであらかじめ確認しておく必要があります。ウェブサイトから申し込んでパソコンの状態を連絡すると、見積もりを出してくれるところもあります。
まとめ
日本でのパソコン処分方法にはいくつかあり、それぞれに一長一短あるようです。簡単に要約してみると、
- メーカーによるリサイクル
長所:マークがあれば無料、発送用の送り状も用意してもらえ短所:マークがなければ有料、そのメーカーの製品しか受け付けてもらえない - 自治体や家電量販店によるリサイクル
長所:無料、メーカーに関わらず回収してもらえる
短所:自治体や店舗によっては受付がない、自治体の場合はサイズが大きすぎるとボックスに入らない、家電量販店の場合は有料の店舗もある - 廃品買取業者へ出す
長所:買い取ってもらえるかもしれない、無料、メーカーに関わらず引き取ってもらえる
短所:事前に申し込みや見積もり依頼が必要、業者によって対応が違う
PCリサイクルマークが付いているパソコンであれば、最も手っ取り早いリサイクル方法はメーカーに依頼することです。申し込みから2-3日で送り状が届き、それを使って発送すれば完了です。PCリサイクルマークが付いていない、自作のパソコンや海外製品で日本に流通していないメーカーの場合は、自治体や家電量販店に持ち込むと引き取ってもらえます。時間があって色々業者をあたってみてもいいという場合は、廃品買取業者に依頼すると無料どころか、故障したパソコンをお金に換えることができるかもしれませんよ。
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