銀座歌舞伎座で見るはじめての歌舞伎鑑賞ガイド

kabukiphoto by Greg Gladman

相撲と並び日本の伝統芸能として名高いのが歌舞伎。日本人であっても生の歌舞伎を見たことがないという人は結構多いものです。「ハードル高そう…」と敬遠してしまうのはもったいない。歌舞伎はそもそも庶民の娯楽だったのですから、あまり難しく考えることはないのです。芝居を観る感覚で気軽に劇場に足を運んでみましょう。せっかくの歌舞伎初体験ならリニューアルしたての銀座歌舞伎座で見たいもの。コアなファンもビギナーもその懐の深さで迎えてくれる歌舞伎座と歌舞伎そのものの魅力に迫ってみました。

 

そもそも歌舞伎とは?

400年以上の歴史がある歌舞伎は演劇・踊り・音楽がミックスされた総合芸術です。名前の由来は「並外れている」「常軌を逸している」という意味を持つ「傾く(かぶく)」という言葉。江戸時代に女性が出ることが禁じられてからは女性の役もすべて男性が演じるようになり、現在の歌舞伎の大きな特徴となりました。「女形」と呼ばれる女役の役者は、首をひねる角度や指の伸ばし方、息づかい、視線の動きなど、あらゆる部分に神経を使い、現実の女性を超えるほどの女らしさで観客を魅了します。そのたおやかな所作、妖艶さにはきっと目が釘付けになってしまうハズ。数多くある演目は、ざっくり言うと、歴史上の事件や人物を描いた「時代物」、江戸の庶民の生活を扱った「世話物」、踊りが中心となる「所作事」の3種類に分かれます。ザ・歌舞伎!といった様式美を楽しめるのは時代物ですが、文語調の台詞が理解できるか心配ならば、現代の芝居感覚で見られる世話物や、筋書きよりひたすら舞踊の美しさにみとれていればいい所作事を選ぶといいでしょう。また、伝統を大切にしながらも流行を取り入れ、時代と共に変化していくのも歌舞伎の魅力。古典的な演目だけではなく、世界的な人気漫画「ワンピース」やベストセラー絵本「あらしのよるに」を題材とした新作歌舞伎も次々に上演され多くの支持を集めています。

 

歌舞伎座の上演時間

歌舞伎座では1年中、月末前後の1週間ほどを除くほぼ毎日公演があります。基本的には一日を昼の部と夜の部、または1部~3部に分けて、その中で休憩を挟みながらいくつかの演目が上演されます。大体の時間としては昼の部が11:00~15:30頃、夜の部が16:30~21:00となっており、なかなかの長丁場。もっと手軽に雰囲気を味わいたい人は「一幕見席」と呼ばれる当日券がおすすめです。観たい演目だけを選べば1000円~2000円ほどで観ることができます。

 

チケット購入方法

チケットは事前にインターネットや電話、劇場の切符売場で購入できます。歌舞伎座の窓口では残席さえあれば当日開演ギリギリでも買うことができます。初めての人におすすめなのは舞台全体を見渡せる1階席の中央部分の席。もう少しリーズナブルで比較的舞台や花道(客席を貫く一本の細長い通路)が見やすいのは3階の前の方の座席です。なお当日券の一幕見席については予約できません。歌舞伎座正面入り口左の列に並んで券をゲットしましょう。劇場の一番上の4階、最後方の席なので舞台が見えづらいのと入口も通常とは違うため館内の売店やレストランが使用できないことに目をつぶれば、格安で歌舞伎を楽しむことができます。

インターネット予約:チケットWeb松竹チケットぴあ歌舞伎らんど
電話予約:チケットホン松竹 0570-000-489

 

歌舞伎を楽しむ4つのポイント

物語を楽しむ

歌舞伎が描いているのは、喜怒哀楽や人の心、物事の本質など、いつの時代も不変のテーマ。人の生きざまを描く大河ドラマもあれば、日々の暮らしをモチーフにした親しみやすい物語、男女の愛憎劇と多様な世界が広がっているので、映画を選ぶ感覚で気になる演目を選んでください。あらすじやみどころ、台詞の意味は、後程紹介する字幕ガイドの力を借りましょう。

役者を楽しむ

映画やテレビでよく目にする俳優さんが、実は歌舞伎役者だったということも珍しくありません。「あ、この俳優さん知ってる。歌舞伎役者だったんだ。じゃあこの人の出ている歌舞伎を見てみよう」きっかけはそんなんでいいのです。軽い気持ちで観に行ってたら歌舞伎にのめりこんでいたという人が多いのです。

衣装&化粧を楽しむ

舞台を彩るきらびやかな衣装は歌舞伎ならでは。ストーリーがわからなくても、衣装を見るだけでも十分楽しめます。例えば何十キロもありそうな花魁の打掛は豪華絢爛で目を奪われますし、お姫様役の気品あふれる美しい衣装は清楚な魅力に満ちています。また独特の化粧も大きな見どころ。「スター・ウォーズ エピソード1」に登場する悪役ダース・モールは明らかに歌舞伎の「隈取」を意識したものです。

音楽を楽しむ

舞台では、俳優の台詞以外にもたくさんの音と音楽が溢れています。風や雨などの自然の音、人の足音などの効果音、情感豊かなBGM、三味線やお囃子。どれも舞台上の奏者の生演奏で、歌舞伎には欠かせないものです。

 

鑑賞のマナー

歌舞伎鑑賞は、うるさい決まりごとなんてありません。「キモノを着なくちゃ」的なドレスコードもありません。だけど少しだけオシャレをしていけば気分が盛り上がりますよ。あとは携帯を切っておく、録画や録音をしない、上演中のおしゃべりや物音は控える、といった映画館と同じレベルのマナーを守って気楽に歌舞伎を楽しみましょう。拍手のタイミングがよくわからず不安でも周りの様子を見て合わせておけば大丈夫。ただし注意が必要なのは「成田屋!」「二代目!」「待ってました!」などの上演中にかかる掛け声。歌舞伎になくてはならないこの客席からの掛け声は「大向こう」と呼ばれ、芝居にメリハリをつける大事な要素ですが、微妙なタイミングや決まりがあるため初心者はやらない方がベター。特に女性が大向こうをかけるのはあまり良しとされていません。

 

外国人に嬉しいサービス

「歌舞伎を見てみたいけど日本語が分らないから」と諦めている外国人の皆さん、歌舞伎座には他の劇場にはない「字幕ガイド」という強い味方がいます。難しい語句や舞台背景、あらすじ、台詞などをポータブルモニターで確認できるという画期的な仕組みで英語版のサービスも始まりました。一幕見席を含むすべての席でレンタルが可能です。なお海外在住の方は保証金の代わりにパスポートなどの身分証明書を一時預ける必要があります。事前の情報収集は英語サイト「KABUKI WEB」へどうぞ。歌舞伎の詳しい説明や観劇に役立つ情報が満載です。

 

【番外】歌舞伎座の楽しみ方

一つの演目が終わり、次の演目が始まるまでの休憩時間は「幕間」と呼ばれ食事をするならこのタイミングに。劇場内のレストランや売店で弁当を買って食べましょう。桟敷席では食事とお茶を座席に届けてくれるというVIPサービスを受けることができます(要予約)。劇場内には名物の「めでたい焼き」や「人形焼」などの和スイーツも充実しているので、おやつにも困りません。売店で手拭いや扇子などの和雑貨を物色するのも楽しいものです。5階の歌舞伎座ギャラリーでは実際の舞台で使用された衣裳や小道具が展示されています。このフロアには歌舞伎の衣裳を着て写真を撮れる写真館や屋上庭園などもあるので、ぜひお立ち寄りください。

 

歌舞伎座情報

名称:歌舞伎座
住所:東京都中央区銀座4-12-15
アクセス1:日比谷線・浅草線東銀座駅3番出口
アクセス2:銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅より徒歩5分
アクセス3:JR・東京メトロ各線東京駅よりタクシーで10分
URL:http://www.kabuki-za.co.jp

 

まとめ

江戸時代の日本人が持っていた洒落の精神を現代に伝える歌舞伎。行ったことがないと少し敷居が高く感じらますが初心者でも外国人でも楽しめるような工夫やアイデアが沢山盛り込まれています。思い切って歌舞伎の世界へ飛び込んでみると、その奥深さにハマって抜け出せなくなってしまうかも。まずは気軽に一幕だけトライしてみましょう。

 


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磯山ゆきえ

この記事を書いた人

磯山ゆきえ 磯山 ゆきえ

気ままな海外一人旅が好きです。外から見たこの国の姿を意識しながら、日本に関する楽しい話題をお届けできたらと思っています。

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