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日本で就職したけれど、事情があって失業してしまった!一生懸命働いていても、やむを得ず離職してしまうケースは多々あります。日本には労働者が失業した時、次の就職先を見つけるまでの生活をできるだけ安定させ、安心して求職活動ができるように一定期間、給付金を受給できる制度があります。一般的に「失業保険」と呼ばれているこの制度は、いったいどんな内容で誰を対象にしているのでしょうか?
「失業保険」とは?
通称「失業保険」とは、雇用保険制度のなかの「基本手当」と呼ばれるものです。「失業給付」「失業手当」と呼ばれることも。今まで就労して収入を得ていた人がなんらかの理由で離職した場合、次の就職先を見つけるまでの間に給付金が支払われます。雇用保険は一部の農林水産業を除く、従業員を1人でも雇用するすべての事業に加入が義務付けられており、保険料は毎月の給与から差し引かれます。パートタイムやアルバイトの従業員でも、以下の条件を満たしていれば加入対象です。
- 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
失業保険は外国人であっても、受給資格の条件さえ満たしていれば日本国民と同じく受け取ることができます。受給のための手続きは、全国のハローワークにて行います。
雇用保険対象外の人の例
上記の条件を満たしていない人に加え、外国公務員、外国の失業補償制度の適用を受けている人、学生ビザで滞在している留学生本人、ワーキングホリデービザ保持者なども雇用保険の加入対象にはなりません。また、雇用保険は事業で雇用されている「労働者」を対象としているため、個人事業主や法人の代表取締役、監査役(従業員的要素の低い者)なども雇用保険に加入できません。
「失業保険」の受給資格
まず大前提として、失業保険を受け取るためには失業者でなくてはなりません。失業者とは「積極的に求職活動をしているのに、職を見つけることができない状態にある人」です。ですから、失業保険の受給資格を得るための第1条件は、
- いつでも就職することができ、ハローワークに来所して求職の意思を見せていること
したがって、病気やケガで療養中の人や、妊娠・出産などですぐに働くことができない人は対象外です。
加えて次の2つの条件のうちどちらかを満たしている必要があります。
- 離職日以前の2年間で雇用保険の被保険者期間が満12か月以上あること
- 倒産や解雇など特定の理由で離職し、離職日以前の1年間で雇用保険の被保険者期間が満6か月以上あること
※被保険者期間:雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとさかのぼり、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と計算します。
失業保険の受給手続きの流れ
受給資格の決定
失業保険の受給手続きは最寄りのハローワークで行います。手続きの際には次の書類を持参します。
- 離職票(勤務していた会社から受け取る)
- 雇用保険被保険者証(勤務していた会社から受け取る)
- 在留カード
- 証明写真2枚・印鑑
- 本人名義の銀行口座通帳
受給説明会
雇用保険制度についての説明があり、「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を受け取ります。次回の「認定日」を教えてもらいます。
求職活動をする
教えてもらった認定日まで、ハローワークやその他求人情報を利用して職探しをします。
失業の認定
4週間に1度ハローワークに来所して「失業の認定」をしてもらいます。行った求職活動の詳細を記入した「失業認定申告書」と、「雇用保険受給資格者証」を提出します。
失業保険の受給
失業の認定がされると、失業保険が給付されます。ただし、最初に受給資格が決定した日(ハローワークに手続きに行った日)から数えて7日間は「待機期間」と呼ばれ、この期間の給付金は支給されません。また、会社都合で失業した場合は最初の認定日の7日後に受給できますが、自己都合や懲戒解雇による退職の場合はさらに3か月の給付制限期間があり、この間は受給できません。
受給金額と支給期間、受給期間について
受給金額
離職日以前の6カ月間の賃金によって変化します。目安として「離職日以前6カ月間の税込み賃金の合計÷180」で出した金額の50%~80%が、1日当たりの基本手当として計算されます。給付率は賃金が低いほど高くなります。
支給期間
失業保険が支払われる期間で、自己都合や定年、期間満了など、会社都合ではない理由で退職の場合は、被保険者期間の長さによって、90日・120日・150日と変化します。
受給期間
支給期間と混同されがちですが、受給期間とは「支給期間分の給付金を受け取れる期間」を意味しています。これは年齢や被保険者期間に関係なく、離職日から1年間と決まっています。通常、離職してから1年以上過ぎるとたとえ支給期間がまだ残っていても、失業保険を受給できなくなってしまいます。ただし、病気やけが、妊娠・出産などの理由ですぐに働くことができず、受給資格がないとされた人は、最大で3年間まで受給期間を延長することができます(これによって支給期間が変わるわけではありません)。
まとめ
たとえ自分の国にいたとしても失業は不安なもの。ましてや日本に滞在中となるとなおさらです。特に就労ビザで働いている外国人にとっては、在留資格の条件や次の就職先の条件など気にすべき点も沢山あります。幸い、雇用保険制度には日本国民と外国人の間に待遇の差はありませんので、万一日本で失業となった場合には、積極的にこの制度を利用して次の就職に役立てましょう。
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