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日本で年々増加傾向にある外国籍の労働者。永住者や定住者、学生のアルバイトや就労ビザで来ている人など、その在留資格は様々です。とりわけ就労ビザで働いている人たちは「特定の職業についていること」を条件にビザが発給されています。安定して勤務している間はいいのですが、万が一失業してしまうことになったら…。今保持している在留資格はどうなってしまうのでしょうか?就労ビザ保持者が失業した場合の注意点を簡単にまとめてみました。
就労ビザとは?
外国人が日本に滞在するための在留資格(ビザ)は27種類あり、そのうち一般的に「就労ビザ」と呼ばれているのは、教授、芸術、法律・会計業務、医療などの17種類。日本国内でそれぞれの在留資格で認められた特定の活動を行って、収入を得ることができます。特に雇用の需要が多いのは技術(SE,自動車設計技師など)、技能(外国特有の料理のシェフ、建築士、製品加工者など)、人文知識・国際業務(通訳者、翻訳者、外国語教師など)の3種類。ただし、活動内容には制限があり、原則として特定の活動以外での収益を得ることはできません。
就労ビザで働く外国人が日本で失業した場合、在留資格はどうなる?
2012年7月に導入された現行の在留管理制度では、就労ビザで働く人が失業した場合、14日以内に地方入国管理官署もしくは東京入国管理局へ離職した旨を届け出ることが義務付けられています。届け出によってすぐに在留資格が失効することはありません。失業後3か月以内に自分の在留資格に適合する就職先に転職すれば、そのまま在留期限まで日本に滞在できます(入国管理局へ移籍の届け出が必要です)。しかし、失業後3か月以上無職のままブラブラしていると、在留資格取り消しの対象になってしまいます。また、無職のまま在留期限がきてしまうと、次回の在留期間の更新が非常に難しくなりますので、離職後はできるだけ早く次の就職先を見つける必要があります。
失業後にアルバイトをする時には注意!
さて、ほとんどの人にとって失業後一番気になるのは「収入源をどうするか?」という問題です。一番てっとり早そうなのは、とりあえず何でもいいからアルバイトをするという案ですが、就労ビザで日本に滞在している人にとってこれは要注意です。なぜなら、認められている在留資格(ビザ)に適合する職種の仕事にしか就けないからです。それ以外の職種でアルバイトを行いたい場合は、「資格外活動許可」の申請が必要です。ただしこの申請には、資格外活動をしなくてはいけない正当な理由を詳しく説明できなくてはいけません。さらに、資格外活動許可がおりた場合でも、就労ビザ保持者には原則として単純労働は認められていません。例えば、「教育」の在留資格を持つ教師が、工場のライン作業のアルバイトをして収入を得るということはできません。
再就職先が見つかったときは
失業後、再就職先がみつかって一安心。そんな時でも、状況に応じてまずやっておくべきことがあります。
在留期限に余裕があり、以前と同じ職種に転職するとき
再就職先で働き始める前に「就労資格証明書」交付申請の手続きをします。これは法務大臣が発給するもので、就労可能な在留資格を保持していること、特定の職種に就くことができることを証明する文書です。「就労資格証明書」の交付のための審査には、次の就職先がその人の持つ在留資格に適合しているかどうかの審査も含みますので、今保持している在留資格でその会社で働いていいのかどうか知ることができます。また再就職後に在留期限を更新しようとしたときに、在留資格外の活動をしているとみなされて更新を拒否される、といったトラブルを防ぐことができます。
在留期限が迫っていて、以前と同じ職種に転職するとき
転職をする前、もしくは後に「在留期間更新」許可申請を行います。転職前には就労資格証明書を取っておくのが無難ですが、審査には数週間かかるため、在留期限が迫っている時の転職の場合はすぐに在留期間の更新に入ります。
以前とは異なった職種に転職するとき
認められている在留資格以外の職業に転職したい場合には、事前に「在留資格変更許可申請」が必要になります。審査はその会社で本人が従事する業務が、変更後の在留資格に合致しているかはもちろん、就職先の会社の経営状況なども含め総括的に行われます。就職を決める前に、会社の下調べは念入りに行いましょう。
※いずれの転職の場合も、移籍したことを入国管理局へ届け出る必要があります。
まとめ
就労ビザは日本での就労先を確保していることを前提に許可されている性質上、失業した場合は速やかに次の就職先を確保しなくてはなりません。しかも、収益を得られる活動内容の指定や、単純労働ができないなど制約が多いのが悩みどころ。でも日本全国に散らばるハローワークや、外国人向けの雇用支援サービス、ウェブサイトなどもありますので、上手に利用して求職活動に役立ててください。
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