生山芋+ゴハン?日本でしか食べられない「とろろごはん」の魅力

とろろ
photo by Hiro – Kokoro☆Photo

日本人が愛するご飯系和食の定番として名前が挙がるのが「納豆ごはん」「卵かけごはん」そして「とろろごはん」です。納豆と卵については、好みは別として外国人にもすぐにイメージできるものですが、とろろごはんはその2つに比べると馴染みが薄いようです。とろろの元となる山芋は栄養価も高く、すりおろして出汁と調味料を混ぜることにより生み出されるまろやかな味わいは、一度食べるとやみつきになるほど。そんなとろろごはんの魅力について詳しくご紹介します。

 

とろろごはんの作り方

とろろごはんとは、皮をむいた山芋をすりおろし、だし汁やみりん、醤油、卵などを加えて滑らかにして、ごはんにかけて食べるという料理です。好みで青のりや刻み海苔、ネギ、わさびなどをプラスする場合もあります。外国では芋を火を通さずに生で食べるということはまず考えられず、芋をすりつぶして、しかもご飯にかけて食べるのはいかにも日本ならではといえる調理法です。山芋には、山に自生する自然薯、畑で作られている長芋ややまと芋、その仲間のいちょう芋、つくね芋などいろいろな種類があります。特に自然薯はかなり粘り気があり、すりおろした後にすり鉢でよくすり合わせ、だし汁で伸ばすことによってふわふわの状態になります。その状態が「とろろ」と呼ばれ、麦ごはんにかけた場合は「麦とろごはん」と呼ばれます。白米が貴重だった頃に広く食べられていた麦ごはんは、そのあっさりした食感によりとろろとの相性が抜群です。「麦とろ」は昔から食べられており、松尾芭蕉の句に詠まれていたり、歌川広重の東海道五十三次にも描かれているなど、日本人のソウルフードともいえる存在です。

 

山芋の驚くべき健康パワー

yamaimo

とろろに使用される山芋は酵素が豊富で、ビタミンB1,ビタミンC、カルシウム、カリウムなどがたっぷり含まれています。そしてムチンというネバネバ成分が体内に入ることで、タンパク質の吸収を向上させていきます。このムチンが疲労回復に大きな役割を持っていますが、熱に弱いため、加熱すると効果が消えてしまいます。生のまますり下ろすというとろろごはんの作り方は理にかなったものと言えるでしょう。食べ物を消化するには消化酵素というものが必要になりますが、山芋に含まれるアミラーゼが消化と吸収を助け、ムチンが胃粘膜を保護します。さらに食物繊維が豊富なので腸内をきれいにし、便秘が解消されるため肌の調子がよくなって、美肌や若返りに効果的とも言われています。大腸がんや高血圧の予防などの働きがあったり、ジオスニゲンという若返りホルモンによりアルツハイマー病の改善につながるという研究結果が発表されたりと、とにかく山芋には体を整える成分がたくさん含まれています。様々な効能を持つ究極のヘルシー食材、それが山芋なのです。

 

とろろのバリエーション

とろろごはんにオクラと納豆をプラスした「ネバネバ丼」は、消化もよく夏バテに効果的と言われています。とろろを乗せるごはんは昔から麦ごはんが定番ですが、その麦とろごはんによく合わせられるのが「牛タン」です。牛タン料理で有名な仙台では、牛タン+麦とろごはんというのが一般的な定食スタイルになっています。旨味いっぱいの牛タンにあっさりとした麦とろごはんの組み合わせの完璧さは、食べてみれば誰もが納得するはず。そして、ごはんではなくそばととろろを合わせると「とろろそば」「山かけそば」になります。温かいかけそばの上にとろろを乗せたり、冷たいざるそばにそばつゆととろろが添えられてつけて食べたり、ぶっかけスタイルで混ぜていただいたりと、お店によって調理法も呼び方も異なります。また、まぐろの刺身にとろろをかける「まぐろの山かけ」も居酒屋の人気メニューです。

 

とろろごはんを手軽に食べられる店「ねぎし」

とろろごはんを一度食べてみたいけれど、かといって山芋を買ってきて自宅ですり下ろして作ってみるのはちょっと……という方におすすめのお店、それは「牛たん・とろろ・麦めし ねぎし」です。東京・横浜に計36店舗を展開している「ねぎし」は、牛タン料理を提供する多くの店の中でも圧倒的な人気を誇っています。炭火を使って絶妙の加減に焼き上げられた厚切り牛タン、コラーゲンたっぷりの味わい深いテールスープ、産地直送のこだわり山芋を使ったとろろと麦ごはんの組み合わせに魅了されたお客さんでお昼時にはいつも行列ができています。定食はいろいろ種類があって価格はどれも1500円前後。サラダをつけたり、単品でお肉を追加したりと、オーダーを自分好みにカスタマイズすることが可能です。麦ごはんがおかわり自由なのも嬉しいポイントですね。

 

まとめ

独特のネバネバした食感が最初は少しだけ敷居が高いかもしれませんが、納豆のような強烈な匂いもなく、さらさらとした喉越しと味わいに、慣れればハマってしまうこと請け合いのとろろごはん。美味しさのあまり多少食べ過ぎたとしても、とろろにはでんぷん分解酵素アミラーゼがたっぷり含まれているので、消化吸収を助けてお腹にもたれることはありません。老化防止、美肌効果なども狙って、ぜひヘルシーなとろろごはんでパワー補給をしてみて下さい。

 


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磯山ゆきえ

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磯山ゆきえ 磯山 ゆきえ

気ままな海外一人旅が好きです。外から見たこの国の姿を意識しながら、日本に関する楽しい話題をお届けできたらと思っています。

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