日本に3か月以上滞在する人に義務付けられている住民登録。外国籍の人にも日本国民と同じく義務付けられています。日本にしばらく滞在していれば、この住民登録制度のことは知っている人が多いと思います。しかし、住民登録をすることで居住する自治体に「住民税」という税を支払う義務も発生することはご存知でしょうか?会社員であれば会社が手続きをしてくれるのであまり気にする必要はありませんが、そうでなければ自分で納付しなくてはなりません。住民税の仕組みは少々判りにくいため、なじみのない外国籍の人はうっかり見落としてしまうことも。ただしこの住民税、うっかり支払い忘れてそのままにしておくと、大変なことになりかねないのです。
そもそも住民税とは何か?
住民税は自分の住所地の自治体に支払う税金で、1月1日時点で居住している住所地の市区町村に支払います。市区町村に支払う「市町村民税(東京23区は特別区民税)」と「道府県民税(東京都は都民税)」から成り、それぞれ確定申告をした前年の所得を元に算出される「所得割」と、住民全員に均等に課税される「均等割」部分に分かれます。所得割の税率は10%(市町村民税4%、道府県民税6%)。これを前年の所得から所得控除額を差し引いた「課税所得」に掛けて算出します。均等割は各市区町村によって若干異なりますがおおむね5,000円程度、高いところで6,000円を超える自治体もあります。
住民税の使途は自治体内の道路や公共施設などのインフラ整備、福祉、公務員の人件費など。自分の住んでいる市町村の住環境を整えるための重要な資金源となっています。外国籍の人であっても、日本に住所を有していれば原則として住民税を支払わなくてはいけません。
住民税が非課税となる人
次の条件に当てはまる人は住民税が非課税になります。それ以外の住民には住民税の支払いが発生します。
所得割、均等割ともに非課税の人
生活保護法による生活扶助を受給している人
障害者、未成年者、寡婦または寡夫で前年中の合計所得金額が125万円以下の人
前年の所得が自治体の定める金額以下である人
所得割のみ非課税になる人
世帯の合計所得金額が控除対象配偶者と扶養親族の合計人数に350,000円を掛け、さらに320,000円を足した合計以下だった人。単身者の場合は前年の所得が350,000円以下の人。
住民税の納付方法
住民税は前年の所得に応じて算出した金額を、その年の6月から一括または4分割で支払います。一括で支払っても分割で支払っても、納付する金額に差はありません。給与所得者は通常、雇用主が住民税を給与から差し引いて納付するので自分で支払う必要はありません。自営業の人や無職の人などは、自治体から送られてくる納付書を使って自分で納付します。納付書を使って支払う場合は、役所や金融機関の窓口、コンビニなどで現金支払いの他、自治体によってはインターネットバンキングやクレジットカード、ATMからの支払いを受け付けているところもあります。
住民税を払わないとどうなるのか
住民税の納付書には納付期限が記載されています。この期限内に支払いをしないと、自治体から次のようなアクションが始まります。連絡方法や連絡の時期は各自治体によって多少異なりますが、比較的早い段階で開始されるようです。
1.督促状
納付書にある期限を1か月過ぎたあたりに、まず自治体から督促状が届きます。ここではまだ住民税の納付が遅れている旨、滞納している住民税と遅延税の合計金額、何月何日までに必ず納付してくださいというリマインダーの段階です。督促状にある金額を記載された期日までに納めれば、大きな問題が起こることはありません。
2.催告状
督促状からさらに1か月ほど過ぎると、今度は自治体から催告状が届きます。催告状には督促状と同じく、住民税の納付を促す旨、滞納している住民税と遅延金の合計金額、納付期限が記載されています。遅延金は前回の督促状から時間が経過しているぶん、金額が大きくなっています。
3.差押え予告書
催告状をさらに無視していると、自治体は差押え予告書を送付して滞納している住民税と遅延金を強行徴収する旨を連絡してきます。予告書には再度納付期限が記載されていますので、資産の差押えを避けるためには、この期限以前に全額を納付する必要があります。
4.差押えの執行
差押え予告書には、実際に差押えがいつ執行されるのかという期日は記載されていません。予告書にある納付期限を過ぎてしまえばいつでも差押えが行われる可能性はあります。具体的には銀行口座の凍結、給与や貴金属や自動車などの差押えが行われます。滞納している住民税と滞納期間中に課された遅延税の合計金額相当の資産が対象になります。
住民税が支払えない時はどうする?
国民健康保険と同じく、住民税も前年の所得を元に算出されています。そのため、前年は所得があったけれど今現在は無収入であるなど、経済的にひっ迫している場合は本当に住民税の支払いができないことがあります。そんな時はすぐに住所地の市町村役所の窓口へ相談に行きましょう。状況を説明して住民税の支払いが困難だと判断されれば、分納や減免に応じてもらえる場合があります。
滞納する期間が長ければ長いほど、遅延税は日々嵩んでいきます。長期間滞納し続けて最終的に差押えになってしまう頃には、本来支払うべきだった住民税よりもはるかに高額を徴収されることになりますので、住民税の滞納は絶対に避けましょう。
まとめ
想像以上に厳しい住民税滞納に対する督促。長期間滞納すると差押えが執行されてしまうのは国民健康保険と同じですが、対応のタイミングはもう少し迅速なようです。住民税の納付を長期間放置して差押えなんていう状況は絶対に避けたいものですが、それ以前に納付期限の過ぎた税金の支払いを放置していると、期限超過の第1日目から遅延税の加算が始まります。遅延税の利率は安くはありませんので、住民税の納付書を受け取ったら必ず期限までに納付しましょう。
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