外国人のための日本では欠かせない「印鑑」の作り方

印鑑

photo by inkanhanko

欧米ではサイン文化が根付いていますね。重要な契約などの時には、公証人役場でサインして、証明書を発行してもらうという手続きを踏みます。何しろ国家間の合意だってサインで済んでしまいます。
では日本では?その役割を担うのが「印鑑(または判子、はんこ)」です。大事な契約や、金額の大きな買い物をする時にはもちろん、仕事で「この書類見ましたよ」と確認印を押したり、宅配の荷物を受け取るような日常の場面でもバンバン印鑑が押されます。基本的に何でもサインで済んでしまう外国人にはあまり馴染みがないものと思いますが、日本では「お金の次に大事」とまでいわれる印鑑。この国で暮らす上では避けて通れない印鑑に関するあれこれをまとめてみました。

 

印鑑の必要性

契約
では、特に外国人にとってはどんな場面で印鑑が必要になってくるのでしょうか。それは、法的な権利や義務が発生する行為をする時です。具体的な例を挙げると:

・アパートを借りる、マンションを買うなどの不動産関連
・銀行口座開設
・自動車の購入、売却、名義変更
・会社間で取引や契約などをする
・ビジネス上の議事録や手紙を作る

なお口座開設については、ゆうちょ銀行やシティバンクなど、最初から印鑑ではなくサインで開設できる銀行もあります。また三井住友などのメガバンクもサインでも受け付ける場合があるので、口座を作りたい銀行が決まっていたらまずは問い合わせてみるといいですね。ちなみに婚姻届はサインで問題ないそうですよ!

 

印鑑の種類

印鑑には大きく分けて3つの種類があります。

実印

もっとも重要な印鑑で、住民登録をしている市区町村の役所場に登録の申請をしたものを指します。逆にいえば、どんなに立派な見た目をしていても登録をしていなければ実印にはなりません。とりあえずこちらを一つ作っておけば、「どうしても印鑑じゃなきゃいけない」場面は乗り切れます。ただし在留資格を持たず住民票に記載がない人(2012年以前の制度でいうと外国人登録を済ませていない人)は印鑑登録はできないのでご注意を。

銀行印

印鑑登録をする・しないにかかわらず、金融機関に登録した印鑑を指します。口座開設や、銀行窓口を通してお金を出し入れする際に必要になります。実印と兼用する人も多いのが実状ですが、紛失してしまった時に手続きがちょっと大変です。

認印

印鑑登録をしていない印鑑は全て認印となります。100円ショップなどでも手に入るカジュアルな印鑑として、書類の確認印や荷物の受け取りなど、日常生活で頻繁に登場するものです。シャチハタと呼ばれる、インクが内蔵された印鑑も手軽さから認印としてよく使われています。ただし保険の契約や銀行に提出する書類などで「シャチハタは不可」と制限がつく場合もあり、そういう場合は朱肉をつけて押すタイプの印鑑が必要になります。

 

印鑑の材料

印材

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印鑑の材質は様々です。最も高級なのは何といっても象牙でしょう。当然お値段も高級で、数万円は覚悟しなければいけませんが、一度作れば一生を共にすることができるはず。こちらの象牙と、木目が美しいつげ、漆黒の光沢を誇る黒水牛の3つは、運気も高めてくれるということで実印を作る時に選ぶ人が多い素材です。また最近ではチタンも耐久性から人気急上昇中です。
なお印鑑は、持つ人の性別によっても大きさや素材が変わってきます。男性は直径が太めで重量感のある象牙や黒水牛などの素材、華奢な手を持つ女性には少し細めで、透き通った美しさの琥珀や水晶などの素材が好まれています。懐がちょっと寂しい人向けにはラクトやアクリルなどの合成樹脂もあり、リーズナブルに作成できますが、自治体によっては印鑑登録ができない場合もあったりします。

 

外国人の印鑑

外国人の印鑑

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外国人名でも、日本人と同じように印鑑を作れます。認印として使うだけなら、英字でもカタカナでも、何ならクールな漢字の当て字でも、こだわらずに好きなように作ればOK!
ただし、印鑑登録して使いたい場合は別です。実印の説明の欄でも書いた通り、まずは在留資格をしっかり持っている必要があり、短期滞在の人などは登録ができません。そして重要なのは、「在留カード・特別永住者証(または以前の外国人登録証)に記載されている名前が何か」です。登録できる印鑑は、基本的には住民基本台帳に記録されている氏名または通称のフルネーム、氏のみ、名のみを表したものだけなのです。
日本人にとって英語はぱっと読めない場合があるので、カタカナ表記の印鑑を作るとスムーズに読んでもらえるというメリットがありますが、最初の登録の際にカタカナ名を併記して登録していないと、英語名しか実印として登録することができないので注意しましょう。
なお外国人用の印鑑の場合、横書きが一般的で、上の段に名、下の段に姓が入る2段のものが多いようです。

 

印鑑の作り方

外国人用の印鑑は、注文製作が基本です。街のあちこちにあるはんこ店でお店の人に直接相談すれば、印字面のサンプルや、様々な素材を実際に見せてもらえて、納得して選ぶことができると思います。
でもあまり時間がない、それほどこだわりはないからサクッと作ってしまいという人は、インターネットで注文するという方法も。参考までに外国人向けの印鑑の作成も受け付けているショップをご紹介しておきます。商品例を眺めるだけでも「なるほど、こんな感じになるんだ」とイメージが湧くかもしれません。

はん太郎ドットコム:外国人の印鑑
Hankoman:外国人向けハンコ
はんこ激安堂:外国人の方の実印
ボンドカシエ

 

まとめ

かつて日本のように印鑑を使っていた中国や韓国も、今やその習慣が消えつつあるそうです。日本ならではの印鑑という文化、その職人技をぜひとも残していきたいところですね。
外国人がよく訪れる観光地では、先に注文しておいて、ゆっくり観光している間にカタカナの印鑑を彫ってくれるというお手軽な印鑑ショップもあるとか。自分の名前の印鑑、機会があれば一つ作っておくと、何かと便利ですよ。

 


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磯山ゆきえ

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磯山ゆきえ 磯山 ゆきえ

気ままな海外一人旅が好きです。外から見たこの国の姿を意識しながら、日本に関する楽しい話題をお届けできたらと思っています。

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