日本に来たら。引っ越しをしたら。住民票の住所変更手続き【転入届・転居届編】

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引っ越しにかかわる住民票関連の手続きは、名前が似通っていてわかりづらいのが困ったところです。外国人が国外から日本に来て長期的に住み始めた際、あるいはすでに日本に住んでいた外国人が市区町村をまたいだ引っ越しをした際に、新しく住む街の役所に提出しなければならないのが「転入届」です。また、同じ市区町村内で引っ越す方が提出するのは「転居届」です。いずれも以前は外国人には不要な手続きだったため、まだあまり慣れていない方も多いかと思います。スムーズに新生活を始めるための第一歩、転入届・転居届の提出について詳しくご説明します。

 

まず、転入届とは?

2012年から国の制度が変わり、外国人住民にも住民票が作成されることが決まったことにより、来日・帰国・日本国内での引っ越しなどで住所が変わる際に届け出が必要になりました。「転入届」とは、国外からはじめて日本に来た場合や、すでに来日済みであればそれまでの住居と異なる市区町村へ引っ越しをする時に、新しく住む地域の市役所・区役所などに提出する届け出です(その場合は、前に住んでいた市区町村の役所で、住んでいる場所を出ていく時に届け出る転出という手続きを済ませておく必要があります。国外からの転入であれば転出届は不要です)。用紙は役所の市民課・区民課などの窓口に備えつけてあります。転出届は郵送での提出が可能な場合が多いですが、転入届の場合は窓口でのみ手続きを受け付けています。

 

それでは転居届とは?転入届とどう違うの?

「転入届」とよく似た名前の「転居届」とはどのようなものかというと、同じ市区町村内で住所が変わった場合に提出する届け出です。例えば東京都港区赤坂から東京都港区南青山(同じ区内)に引っ越す場合や、大阪市中央区から大阪市北区(同じ市内)に引っ越す場合が該当します。新しい住所で転居届さえ出せば住民票の書き換えは完了するので、旧住所で転出届、新住所で転入届を出す必要のある市区町村をまたがる引っ越しより手間が少なくなります。転居届も転入届と同じく窓口に出向いて用紙を貰い、手続きを行いましょう。

 

転入届・転居届提出の期間・順番について

転入届・転居届は新しい住所に住み始めた日から14日以内に提出しなければいけません。これにより住民票の移動・書き換えが完了します。引っ越し前にあらかじめ提出してしまうということは認められず、原則として引っ越しを済ませてからの手続きになります。届け出が遅れると5万円以下の反則金を請求されることがあり、さらに外国人が違反した場合は、20万円以下の罰金や在留資格の取消に繋がる可能性があるのでくれぐれもご注意ください。なお市区町村をまたいで引っ越しをする方で、転出届と転入届を同じ日に出したいという場合は、必ず「転出届→転入届」の順番で手続きをする必要があります。これは、転出届提出で受け取ることができる転出証明書がなければ転入届は提出できないためです。

 

転入届・転居届提出の際に必要なもの

国外からの転入

  • 在留カード(または特別永住者証明書)
  • パスポート

※来日時に空港においてパスポートに「在留カード後日交付」と記載された人は当然手元に在留カードがないため、パスポートを持参すればOKです。

他市区町村からの転入

  • 前住所地で交付された転出証明書
  • 在留カード(または特別永住者証明書)
  • パスポート

転居届提出の場合は、転出証明書は不要であるため「国外からの転入」と同じです。いずれの場合も、書類に本人が署名をする場合は印鑑は不要です。

 

転入届・転居届の記載方法(例)

自治体によって書類の形式が少しずつ異なっていますが、基本的には「住民異動届」という題の用紙を転入・転出・転居の各届け出を兼ねて使用する場合が多いです。外国人の住民が多い市や区では日本語とは別に英語版の用紙を用意していたり(例:東京都港区、東京都板橋区)、日本語の用紙に英語表記を併記していたり(例:東京都新宿区、兵庫県神戸市)、用紙は日本語版しかないものの英語での記入例を用意していたり(例:福岡県福岡市)というケースも見られますが、日本語の用紙と記入例しか備えていない自治体がまだまだ多いのが現状です。ここでは兵庫県神戸市の用紙を例に、記載例とあわせて各項目の内容を簡単にご説明します。

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  1. 届出の日:役所に出向いて用紙に記入している日付を書きます。
  2. 異動した日:実際に新住所に住み始めた日付を書きます。1と2が14日以上離れていてはいけません。
  3. 届出人:本人の名前を書きます。家族全員の届け出をするなら世帯主の名前となります。
  4. 連絡先:電話番号を書きます。携帯電話の番号でも問題ありません。
  5. 新住所:新しく住み始めた住所を書きます。
  6. 世帯主氏名・生年月日:世帯主の名前と生年月日を西暦で書きます。
  7. 旧住所:それまで住んでいた住所を書きます。国外から始めて日本に来た場合は国外の住所になります。
  8. 世帯主氏名:6と同じく世帯主の名前を書きます。
  9. 異動者名:本人を含めて、異動した家族全員の名前を書きます。振り仮名も入れます。
  10. 生年月日:家族それぞれの生年月日を書きます。
  11. 性別:家族それぞれの性別を丸で囲みます。
  12. 続柄:「本人」「妻」息子」など、世帯主との関係を書きます。
  13. 今までの学校・学年:学校に通う家族がいる場合は学校名と学年を書きます。
  14. 国籍:家族それぞれの国籍を書きます。

 

転入届・転居届提出とあわせて行うべき手続き

せっかく役所の窓口に出向いたのですから、転入届・転居届を出すだけで終わらせずに他の必要な手続きも一度に済ませてしまうと手間が省けます。日本国内の企業に勤めていて(または勤める予定で)社会保険、厚生年金などは会社を通じて加入するという方は別ですが、そうでなければ国民健康保険(国保)、国民年金の手続きも同時に行いましょう。転入届・転居届提出の際に係員に聞けば担当窓口を教えてくれます。新たに国外から引っ越してきた方は国保・国民年金のいずれも新規加入の手続き、他市区町村から転入してきた方は国保については新規加入、国民年金については住所変更の手続きを行います。同市区町村内の引越しで転居届を出した人の場合は、国保・国民年金のいずれも住所変更の手続きだけで済みます。どれも引越し後14日以内に行うべき手続きなので、同時に終わらせてしまえばスムーズです。ちなみにパスポートは現住所を申請する必要がないため、住所変更手続きは不要です。

 

まとめ

住所変更に伴う手続きでは、「転入」「転居」「転出」と似たような文字が並び、外国人ではなくても混乱しがちなもの。今回ご説明した「転入」「転居」の区別がついていない日本人も実は少なくありません。この両者の違いはずばり「市区町村をまたぐ引っ越しなのかそうでないか」ということのみ。迷った時には窓口担当者に質問してみればきっと丁寧に教えてくれますよ。

 


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磯山ゆきえ

この記事を書いた人

磯山ゆきえ 磯山 ゆきえ

気ままな海外一人旅が好きです。外から見たこの国の姿を意識しながら、日本に関する楽しい話題をお届けできたらと思っています。

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