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海外から日本へ来て生活していると、比較的頻繁に海外と資金のやり取りをする機会があるものです。例えば留学生が自国から生活費などの資金を受け取ったり、日本企業で雇用されている人が自国の家族に仕送りをしたりなど。銀行などの金融機関を利用して海外と資金のやり取りをする際、ネックになるのはなんといっても手数料。銀行を利用して日本から海外へ送金すると、1万円近く手数料を払ったり、割高なレートで送金せざるを得なかったりするのは当たり前。ところが数年前、その常識を覆す画期的なサービスが誕生しました。それがTransferWiseです。従来の海外送金の手法とは一線を画す、TransferWiseの斬新なサービスとはいったいどんなものでしょうか。
Transfer Wise URL
TransferWise とは
少し前から、従来の常識を覆す海外送金サービスと全世界のメディアで取り上げられているTransferWise。その設立はごく新しく、2011年のイギリスで、エストニア人のターベット・ヒンリクス氏とクリスト・カールマン氏による共同創業で誕生しました。イギリスを拠点にユーロで給与を受け取っていたヒンリクス氏と、同じくイギリスを拠点としながら自国のローンをユーロで支払っていたカールマン氏が、海外送金の手数料を節約するために、お互いの持つ英ポンドとユーロを個人的に両替する取り決めをしたところから始まりました。両氏が自分たちのようにお互いの両替ニーズの合う人たちが世界中にいるに違いないと考えたことから、TransferWiseの設立に至ったのです。
TransferWiseの特徴
TransferWiseの最大のメリットは、有利な為替レートと手数料の安さ。通常、銀行などの金融機関を利用して海外送金を行った場合、取扱銀行の手数料や関係銀行手数料、為替取扱手数料など数々の費用に加えて、1日の為替の変動に対応するため高く設定された為替レートなど、様々なコストがかかります。ところが、TransferWiseを使って海外送金をした場合にかかるのは、送金額の1~1.5%程度の手数料のみ(通貨によって変動あり)。為替レートも実際その日に市場で取引されているレートに近いレートが設定されています。結果、銀行などから海外送金をするよりも格段にコストが抑えられるのです。更に送金にかかる時間も、90%が手続きを完了してから24時間以内に完了するなど、スピードの面でも満足度の高いサービスです。加えてオンラインで口座を開設するだけで始められる手軽さも魅力。日本在住の居住者はマイナンバーの証明書(マイナンバーカード、マイナンバー通知カードなど)、パスポートもしくは日本の運転免許証をアップロードすることで口座開設ができます。
現在TransferWiseで送金・受取できる通貨は下記の通りです。
送金・受取ともに可能な通貨
ユーロ、英ポンド、USドル、豪ドル、スイスフラン、カナダドル、ポーランドズウォティ、スウェーデンクローナ、ノルウェイクローネ、デンマーククローネ、ハンガリーフォリント、チェココルナ、ブルガリアレフ、ルーマニアレウ、ニュージーランドドル、日本円、ブラジルレアル、シンガポールドル
送金のみ可能な通貨
インドルピー、香港ドル、マレーシアリンギット、フィリピンペソ、パキスタンルピー、モロッコディルハム、タイバーツ、UAEディルハム、ウクライナフリヴニャ、インドネシアルピア、コロンビアペソ、グルジアラリ、トルコリラ、メキシコペソ、ロシアルーブル、韓国ウォン、中国元、スリランカルピー、バングラディッシュタカ、ベトナムドン
TransferWiseのしくみ
実際に利用する顧客の観点からすれば、銀行の海外送金サービスとTransferWiseのそれとは手数料の点を除けば大きな違いがあるようには見えません。顧客は送金したい相手を指定して資金を提供し、指定された口座に資金が振り込まれます。TransferWiseのサービスが従来の金融機関のそれと違う点は、実際の「送金」が伴わないところにあります。
TransferWiseは、P2P技術を使用して顧客の送金ニーズをマッチングするサービスです。どういうことかというと、例えば日本にいるAさんが、イギリスにいるBさんに10万円相当の英ポンドを支払いたいとします。そこでAさんはTransferWiseに送金の申し込みをして、TransferWiseが管理する日本国内の口座へ10万円を送金します。すると、TransferWiseは日本にいるCさんに10万円を支払いたいイギリスにいるDさんをマッチングするのです。つまりAさんがTransferWiseに支払った10万円は、Cさんの日本円口座への送金に流用され、Dさんがイギリスで支払った10万円相当の英ポンドをBさんが受け取ることになるのです。つまりTransferWiseが受け取った資金は、実際に海外送金されることなく国内で別のユーザー向けに流用されます。こうすることで海外送金にかかる銀行手数料を省き、低額の手数料のみで相手に資金を届けることができる仕組みになっています。
利用するにあたって覚えておきたいこと
銀行口座への送金のみ
TransferWiseの送金には、必ず送金相手国の銀行口座が必要になります。したがって、旅行先の土地で現金を受け取るといったサービスはありません。
一回の送金額
TransferWise を使って1回に送金できる金額は、日本円で100万円。その他の通貨でも概ね同程度の金額が上限に設定されています。
TransferWiseは少額送金の場合にお得
TansferWiseは日本円にして30万~50万円の少額送金に対して最もお得な送金方法です。日本円送金の上限は100万円ですが、50万円を超える送金の場合、FX口座を使って送金したほうがお得な場合も。送金元の通貨と仕向け地の通貨および送金金額によっては、TansferWiseよりもお得な送金方法がある場合があります。
海外から日本の銀行口座への送金は受取銀行手数料がかかる
海外から日本の口座への送金の場合、日本側で2,500円~4,000円の受取銀行手数料がかかってしまいます。海外から日本へ送金する場合は、日本側での手数料を考慮に入れて検討しましょう。
まとめ
今年3月から日本円にも対応を始めたTransferWise。日本在住の外国人の皆さんの中には、日本円以外の通貨の送金に使っていた人も多数いることと思います。TransferWiseの日本円への参入で、これまでよりもずっと手軽に日本から、および日本向けの少額送金が可能になりました。これまで銀行手数料節約のために、一度にまとめて高額の送金をせざるを得なかった人には朗報ですね。
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