サヨナラ~日本。外国人が帰国する際に必要な6つの手続き

airport

photo by Javier Micora

日本での滞在も終わりに近づき、そろそろ帰国。故郷へ帰れるのが嬉しくもあり、日本での生活が終了することに寂しくもありますね。引っ越しの準備や各方面への連絡・手続きなど何かと忙しくなります。中には社会保障制度に関する手続きなど、うっかり忘れて出国すると後々問題が発生してしまうものもあります。今回は、日本で生活する中長期在留者が、帰国する際に済ませておくべき公的手続きについてまとめてみました。

 

住民票の転出届

日本に暮らす中長期在留者が再入国の予定のない帰国をする際は、居住地の市区町村役場に転出届けを提出します。本人が届出をする場合、印鑑は不要で在留カード(または特別永住者証明書)、パスポートなどの身分証明書を持って役所で手続きをします。届出期間は各市町村によって多少変わりますが、転出する日のおよそ2週間前から提出可能。転出届の提出は、年金や国民健康保険の脱退手続きにも関わってきますので、最初に手続きしましょう。帰国の前に転出届を出しておくことはとても大切で、これを忘れると日本を出た後も国民健康保険の請求が来たり、年金の脱退一時金の請求が通らなかったりと不都合が生じる場合があります

他市区町村や日本国外へ引っ越し。住民票の住所変更手続き【転出届編】

 

年金に関する手続き(加入している人のみ)

年金に関する手続きは、自身が社会保障協定の対象になるかどうかで手続きの選択が変わってきます。

社会保障協定の対象者

まず、社会保障協定によって日本の年金制度の加入が免除されている人は、特に手続きはありません。次に社会保障協定の対象者のうち日本の年金のみに加入している人は、協定に基づいて将来加入期間を通算するか、日本の年金からの脱退手続きをして脱退一時金を請求するか選ぶことができます。ただし脱退一時金は支払った保険料の一部にしか相当しないうえ、脱退してしまうと将来自国の年金制度と加入期間を通算することはできなくなります。結果的に一時金を請求しないほうが、将来的に受け取る金額が多くなるということもありますので、よく考えてから決めましょう。

自国と日本の年金二重払いを防ぐための社会保障協定と適用証明書

社会保障協定の対象者でない人

社会保障協定の対象者でない中長期在留者で、国民年金や厚生年金に6か月以上加入している人は、脱退一時金を請求することができます。ただし、これを請求するためにはいくつかの条件があり、そのうちの一つに「日本国内に住所を有さないこと」というものがあります。つまり、帰国前に市区町村役場で住民票の転出届(海外転出)を提出してあることが必須です。加えて、脱退一時金の請求は日本を実際に帰国してから、日本年金機構あてに請求することになります。手続きには年金手帳も必要になりますので、失くさないようにご注意を!

勤めていた外国人が帰国時に申請できる厚生年金の脱退一時金とは?
ワーホリメーカーが帰国時に申請できる国民年金の脱退一時金とは?

 

国民健康保険の脱退手続き

日本で生活する中長期在留者は必ずなんらかの公的健康保険に加入が義務付けられています。帰国の際にはこの健康保険からも脱退しておく必要があります。ただし、企業などに勤めている人など、社会保険の加入者は事業主が退職の時点で脱退手続きをしますので、特に自分で手続きに出向く必要はありません。一方、国民健康保険の加入者は、市区町村役場の窓口で手続きをします。持っていくものはパスポート、在留カード(もしくは外国人登録証明書)、国民健康保険被保険者証、出国日が証明できるもの(航空券など)。これらの書類を「国民健康保険資格喪失届」と一緒に提出すると、保険証の期限を出国日までに書き替えてもらえます。また、同時に保険料の清算も行われ、過払い分は後日払い戻し、未納分はその場で支払いになります。

日本を出国する際はお忘れなく。国民健康保険の脱退手続きについて

 

所属機関等に関する届出

留学生や企業の従業員など、「何らかの機関や関係に属することで得られる在留資格」で滞在している人は、その機関自体や自身と機関の関係に変更が生じた場合は、「活動機関に関する届出」もしくは「契約機関に関する届出」を提出します。このような在留資格の保持者が帰国する時は、活動機関または契約機関からの離脱や、機関自体が消滅したという場合が殆どですが、各自の在留資格・状況に適した届出を提出する必要があります。届出は地方入国管理官署に直接出向いて行えるほか、東京入国管理局へ郵送することもできます。どちらの場合も、提出期限は届け出る事由が起こってから14日以内です。

在留外国人が転校・卒業・転職・退職時に必要な「所属機関等に関する届出」とは?

 

在留カードの返納

再入国許可を持たずに日本を出国する中長期在留者は、出国審査の際に審査官に在留カードを返納しなくてはなりません。日本滞在の記念に在留カードを持ち帰りたいという人は、穴をあけて無効としたものを渡してもらえます。

 

個人番号通知カード、または個人番号カードの返納

2016年1月のマイナンバー制度の導入により、日本で住民登録している全ての居住者に個人番号が割り振られることになりました。それに伴い、現在日本では全ての居住者が個人番号通知カード、もしくは個人番号カードを交付されています。中長期滞在の外国人が再入国許可なく日本を離れる場合、住所地の市区町村役場へ個人番号通知カードや個人番号カードを返納する必要があります。個人番号はいったん付番されると、特別な事情を除いて一生涯同じ番号を使用することになります。そのため、が意外出国のために個人番号通知カードや個人番号カードを返納した人には、将来日本に再入国した際に同じ番号を使用できるようにカードが渡されます。殆どの場合、返納したカードを失効手続きのうえ返却してもらえます。

日本で住民登録したら付番されるマイナンバーとは

 

まとめ

日本を離れて帰国する際に、必ずやっておきたい公的手続きをまとめてみましたが、こうしてみるとなかなか沢山ありますね。荷物の整理や住居の整理など帰国の際はやることが山積みですが、なにはともあれまず転出届けから確実に済ませていきましょう。念のため、今回ご紹介した手続きは、完全に日本を離れてもう戻ってこない場合のものです。帰省などの一時出国の場合にはまったく必要ありませんので、お間違いなく。

 

 

あきらことほ

この記事を書いた人

あきらことほ あきら ことほ

日本を離れて11年。帰国の度に日本のいいとこ再発見。このコラムが皆様の「日本のいいとこ発見」のお役に立てればウレシイです!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>