日本に一定の期間住む外国人は、義務として健康保険に加入することになっていますが、その後日本を離れる場合は脱退の手続きを取らなくてはなりません。特に留学生や自分で仕事をしている方などで、国民健康保険に加入している人は、自分で役所に出向いて手続きを行う必要があります。国民健康保険を脱退したい時にはどうすればいいか、詳しくご説明します。
国民健康保険の脱退手続きと必要なもの
日本に3か月以上住む外国人は何らかの健康保険制度に加入する義務があり、仕事や勉強などの区切りがついて母国に帰ったり、他の国へと移ったりする場合は、脱退の手続きを取る必要があります。日本の企業に勤めている方であれば、勤務先の健康保険のお世話になるためにそれほど困ることはないと思いますが、国民健康保険に加入している自営業者や留学生などは、全て自分で手続きを行わなくてはいけません。日本からの出国が決まったら、住民登録をしている市・区役所の窓口で国民健康保険の脱退の手続きを行いましょう。保険証の有効期限が出国日までに訂正されるので、病院にかかった際など、出国日まで使うことができます。 手続きに必要なものは以下の通りです。
- パスポート
- 在留カード(もしくは外国人登録証明書)
- 国民健康保険被保険者証
- 出国日が証明できるもの(航空券、e-チケット、航空券手配のメールなど)
国民健康保険資格喪失届の例
自治体によって、国民健康保険を脱退したい旨を窓口で告げて必要な書類を提出するだけで手続きが完了するところと、脱退の意思表示をする用紙に記入が必要になるところとに分かれます。申請用紙は市町村によって様式が異なりますが、参考までに新宿区が用意している「国民健康保険資格喪失届」をご紹介しておきます。どの自治体でも記入事項はほぼ共通しているので、前もって目を通しておけば心の準備ができるかと思います。今回は特に家族などがなく世帯主=本人の場合を想定してご説明します。
①氏名
届出人が世帯主で他に家族が日本にいない場合は自分一人の名前を書くだけでOKです。
②マイナンバー
個人番号ともいいます。下の項目で説明していますのでご参照ください。
③住所
大きな欄に日本での住所を記入し、右上の小さい欄の四角にチェックを入れます。
④記入者(世帯主との関係、続柄)
世帯主本人が記入し、届け出ているので右上の欄には「1.本人」に丸をして、左下の欄には「本人」と記入します。
⑤電話番号
携帯電話でも問題ありません。
⑥届出年月日
手続きをしに窓口に行った日付を記入します。
⑦フリガナ
氏名のふりがなをカタカナで記入する欄ですが、漢字がなければ空欄でOKです。
⑧生年月日
外国の方は西暦で書いて問題ありません。
⑨性別
男性は上の段、女性は下の段の漢字に丸をつけます。
⑩職業
学生を含む無職の方は1、自営業などの個人で仕事をしている方は2、その他の方は3に丸をつけて、3の場合は自分の職業や立場を記入します。
マイナンバーについて
外国人であっても、日本に住民登録をして中長期在留している人には、日本国民と同様にマイナンバーと呼ばれる12桁の数字が付番されます。2016年1月1日からは、脱退を含む国民健康保険に関する手続きの書類にはマイナンバーを記入しなくてはならなくなりました。日本に住民票がある人には、2015年10月頃よりマイナンバーが記載された「通知カード」が送られています。通知カードが手元にない場合は、「マイナンバーを記載した住民票の写し」を区・市役所等で申請して交付してもらうことでも自分の番号を確認できます。
下記の内閣官房のページではマイナンバーについて英語で説明されています。
The Social Security and Tax Number System
日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語に対応したフリーダイヤルの番号も記載されているので、わからないことがあれば電話で問い合わせてみてください。
マイナンバー制度に関すること: 0120-0178-26
「通知カード」「個人番号カード」に関すること: 0120-0178-27
受付時間:平日9:30~22:00、土日祝9:30~17:30 (※12月29日~1月3日を除く)
英語以外の言語については、平日9:30~20:00までの対応となります。
保険料の精算
脱退の手続きの際、保険料の精算も同時に行われます。一括払いをしていた等で払いすぎた保険料があれば、還付してもらうことができます。その場合、還付金の支払いまでには3~4日程度の処理期間が必要になるので、余裕をもって窓口に行っておいた方が安心です。逆に不足分がある場合は、出国日までの保険料の請求書が発行され、その場で現金で支払うことになります。なお保険料は月払いなので、日割り計算はできません。例えば4月2日に出国するのであっても、4月分の全額を支払う決まりになっています。
先に行っておくべき手続き、「転出」の届け出
日本を出国する場合は、住民登録をしていた市・区役所で、「転出」の届け出が必要です。国民健康保険や国民年金の脱退手続きを行うより前に、まずは最初に「転出届」を住民登録担当窓口へ提出してください。これをしないと、国民健康保険料や税金等などが日本を離れた後も請求されるなど、不利益が生じることになりますので、必ず届け出をしてください。また年金の脱退一時金の申請を行うつもりの方は、転出の届け出をしていなければ脱退一時金を受け取ることができないので、特に気をつけておきましょう。届け出ができるのは出国予定日の14日前からです。転出をするとマイナンバーは廃止されますが、再入国する際にマイナンバーの記入が必要になるので、マイナンバー通知カードは廃止手続き後に受け取り、パスポートと一緒に保管しておきましょう。
まとめ
長らく住んでいた国を離れるとなると、居住していた部屋からの退去や公共料金の精算など、様々な手続きを同時に進めなければならず、役所関係の手続きはつい後回しになりがちです。しかし、つい忘れたまま出国してしまって、払う必要のない保険料を支払うような事態になっては大変ですので、出国日が決まったら計画的に手続きを進めておきましょう。
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