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海外転勤や留学などで日本へ引っ越し。日本では3か月以上の滞在は長期滞在とみなされます。長期滞在者には社会保障制度への加入や在留カードの発行など、観光や商用での短期滞在者にはない色々な義務が発生してきます。特に公的機関への手続きは期限が設けられているものがほとんどなので、日本に着いたらできるだけ速やかに済ませる必要があります。到着後にすぐに手続きを始められるよう、今回はこれまでにこのコラムで紹介された長期滞在の際に準備したほうがいいもの、調べておきたい事柄をおさらいします。
在留カード・転入届・マイナンバーについて確認しておく
3か月以上の長期滞在者が日本に到着後まず行うことになるのは、在留カードの入手、転入届を出して住民登録、マイナンバーの入手です。この三つは互いに関連しているのでひとまとまりで覚え、手順を確認しておきましょう。まず、成田空港、羽田空港、関西空港、中部空港から入国した人は入国審査の時に在留カードが交付されます。日本での住所が決まったら、14日以内に住所地のある市区町村の役所で転入届を提出します。前述の4空港以外から入国した人は、転入届を提出した10日ほど後に在留カードが郵送で交付されます。さらに、転入届を提出して住民登録をするとマイナンバーが付番され、後日通知カードが郵送されてきます。
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日本の社会保障制度について確認しておく
日本に3か月以上居所を置いて長期滞在する人は、原則として日本の年金制度と健康保険制度への加入が義務付けられています。加入する年金・健康保険の種類は在留資格によって変わります。企業等に雇用されて滞在する人は雇用主が加入手続きを行ってくれますので、自分で手続きをする必要はありません。しかし、学生や自営業者など雇用主のいない長期滞在者は、自分で住所地の市町村役場へ赴いて国民年金と国民健康保険への加入手続きをする必要がありますので、事前に手順を確認しておきましょう。また、留学生には留学期間の長さによって年金の納付特例や納付猶予が受けられますので、申請方法を調べておきましょう。
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日本の社会保障制度の加入免除のための「適用証明書」を取得しておく(該当者のみ)
基本的に、日本に長期滞在中は外国人であっても日本の社会保障制度にはいらなくてはなりませんが、日本と社会保障協定を締結している国の人で滞在予定が5年以内の一時転勤者や自営業者に限り、事前に自国で「適用証明書」を取得しておくことで日本の社会保障制度への加入が免除されます。これは年金や健康保険料の二重払いを防ぐためのもので、日本は現在15か国との間に社会保障協定を発効しています。適用証明書は各国の年金実施機関が発行します。
自国と日本の年金二重払いを防ぐための社会保障協定と適用証明書
銀行口座開設、日本への送金方法を確認しておく
6か月以上の長期滞在になると、クレジットカードと現金だけではやはり不便。銀行口座の開設が必要になってきます。銀行口座があれば各種支払いや給与の振込、海外からの追加資金の受け取りも楽になります。来日前に新規口座を開く際に必要なものなどを調べておくとスムーズに手続きを済ませることができます。特に、日本ではサインではなく印鑑が主流。銀行口座開設の際もほぼ確実に必要になりますので、印鑑の作り方についても知っておきましょう。
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まとめ
短期の旅行とは違い、長期で日本に滞在するとなると自分の国を出発する前に整理しておきたいことや準備したいものが格段に増えますね。加えて日本に着いてからも済ませるべき手続きがたくさんあります。特に住民票関連や社会保障関連の手続きは、外国人であっても全ての住民の義務なので、うっかり忘れてしまうと日本での生活に支障をきたす場合もあり得ます。日本へ向けて出発する前に必要事項を確認しておいて、到着後スムーズに手続きを行えるよう準備しておきましょう。