1年未満の留学で使える年金の「若年者納付猶予制度」とは

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日本に住むなら避けては通れない国民年金。しかし保険料の負担は学生の身には重いもの。1年未満の留学だから「学生納付特例」を利用できないけれど他に手はないものか?そんな人を支えてくれるのが「若年者納付猶予制度」です。しかも、きちんと申請すると、もしもの時に障害年金を受け取れる状態にもなるのです。30歳以下で一定の条件を満たしていれば申請が可能なこの制度について詳しくお伝えします。

 

国民年金の「若年者納付猶予制度」を利用する意味

国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する義務があり、国籍を問わず日本国内で暮らす外国人も対象となります。保険料を納める経済的余裕のない学生(留学生を含む)に対しては、保険料の支払いが猶予される「学生納付特例」という制度が用意されていますが、1年未満の短期の留学をしている人はその対象になりません。かといって、何も手続きせずに未納のままでいると、万が一の怪我や病気などで身体に一定の障害が残った時に支払われる障害基礎年金を受け取ることができなくなってしまいます。そこで検討してほしいのが「若年者納付猶予制度」の利用です。30歳未満で、国民年金保険料を支払うことが困難な人は、申請が認められれば保険料を支払うことが猶予されるので、手続きさえしておけばいざという時にまとまったお金を受給することができます。障害基礎年金の送金は、障害が残る限りは本国に戻った後もずっと続きます。

 

「若年者納付猶予制度」の対象者

大きく分けて、以下の2点を満たす人がこの制度の対象となります。

  • 30歳未満の人
  • 前年度の所得が57万円以下(妻や子など扶養する対象がいない場合)の人

扶養する相手がいる場合は所得条件の金額が変わったり、「障害者または寡婦であって、申請しようとする年度の前年所得が125万円以下の人」「失業、天災などにあったことが確認できる人」「生活保護法による生活扶助以外の扶助を受けている人」といった条件もありますが、ひとまず上記の2点を満たしていれば問題ありません。そして、そもそも1年未満の期間の留学生であれば、前年度の所得はゼロになるはずなので、年齢さえ条件をクリアしていればOKと考えて良いでしょう。

 

「若年者納付猶予制度」の申請方法

申請書の提出先は住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口です。窓口に備え付けられている申請書に記入し、国民年金手帳と共に窓口に提出します。念のため印鑑も持参すると安心です。わざわざ役所に出向かなくても、日本年金機構ホームページからダウンロードした申請書を郵送して手続きを済ませることも可能で、その場合は国民年金手帳の氏名が記載されているページか、基礎年金番号通知書のコピーを同封して送ります。なおこの手続きにおける1サイクルは「7月~翌年6月まで」です。1枚の申請書で申請できるのは7月から次の年の6月までの12か月間となるので、期間をまたぐ場合は必要に応じて複数の申請書を提出する必要があります。「学生納付特例」の期間が「4月~翌年3月まで」となっているのと混同しがちなので気をつけましょう。条件に一致すれば制度の適用が決定し、後日結果が郵送で通知されます。

 

「若年者納付猶予制度」新設の背景

この「若年者納付猶予制度」は2005年から導入された新しい制度です。所得を基準とした保険料の免除制度はもっと前から存在しましたが、通常の保険料免除制度は「同一世帯の所得」で計算されるので、たとえ所得の低い20代でも、自分の親に免除基準以上の所得があれば免除の対象にならない仕組みになっています。人並みの収入がある親と同居している若者が、自分の所得が低いからといって免除制度を申請しても認めてもらません。そうなると、世帯主(親)が代わりに保険料を払ってくれない限りは、本人は国民年金に未加入状態となってしまう可能性が高くなるので、このようなケースを防ぐために「若年者納付猶予制度」が新たに生まれました。フリーターやニート、無職の20代の若者ばかりではなく、せっかく学生という身分なのに期間が1年に満たないばかりに「学生納付特例」を利用できない短期留学生にとってもこの制度の導入はありがたい措置と言えます。

 

まとめ

今回ご紹介した「若年者納付猶予制度」以外にも、国民年金には様々な免除や猶予の仕組みがあります。短い滞在期間といえども、現在の自分の状態に合った制度を利用し、しっかり備えておけばまさかの時も安心ですね。国民年金は、日本に住む限り国籍に左右されずに認められている強固な社会保障制度ですから、賢く利用しておきましょう。

 


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磯山ゆきえ

この記事を書いた人

磯山ゆきえ 磯山 ゆきえ

気ままな海外一人旅が好きです。外から見たこの国の姿を意識しながら、日本に関する楽しい話題をお届けできたらと思っています。

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