WHO世界最高評価!外国人の国民健康保険加入制度とは

国保

異国での生活でもっとも不安なことの一つに「ケガや病気の時にはどうしたらいいだろう?」という問題がありますね。日本には毎月保険料を払う代わりに、医療機関で診療費全体の3割を払うだけで治療を受けられる、国民健康保険(国保)という医療保険制度があります。そして、外国人であっても日本に3か月以上滞在する人は、勤務先の保険などに入っていない限り加入する義務があるのです。ここでは国民健康保険とはどういうものか、その加入条件などを整理してお伝えします。

 

国民健康保険ってどんな制度?

まず基本から押さえておくと、国籍を問わず、日本に住民票がある人は、何らかの公的な保険に加入する義務があります。企業に勤めている人は基本的にはその勤務先の社会保険に加入しますが、自営業の人、勤めていても会社の規模や業種により社会保険がない人や、学生さんなどは国民健康保険に加入することになります。

保険料について

保険料は前年の収入によって金額が決められ、住んでいる市町村に対して支払います。加入すると「国民健康保険被保険者証」が送られ、それを持って病院で治療を受ければ治療費の7割は国民健康保険から支払われ、自分で払うのは3割で済むので、経済的な負担がかなり軽くなるのです。勿論、病院に行こうが行くまいが毎月一定の保険料を支払わなければならない訳ですが。なお前年度に日本での収入がなかった人などに対して減額制度が存在しますが、定められた手続きをしなければ適用されないので、まずは窓口で相談してみましょう。市町村によっては留学生に対して保険料を補助してくれるケースもありますよ。

手続きが遅れると?

気を付けなければならないのは、加入の手続きが遅れると、加入するべき時点までさかのぼって保険料を徴収されること。3か月を超えて日本に滞在する外国人で他の保険に入らない人は加入の義務が発生するので、来日したらすぐに手続きをした方が安心です。

 

加入の義務を持たない外国人

それでは逆に、国民健康保険に加入する義務を持たない外国人とはどのような人か、下にまとめてみます。

  • 在留期間が3か月以下の人(在留資格によっては例外あり)
  • 勤め先等の健康保険に加入している人
  • 在留資格が「短期滞在」の人
  • 在留資格が「外交」の人
    在留資格が「特定活動」であり、かつ「医療を受ける活動」または「その人の日常の世話をする活動」である人
  • 在留資格が「特定活動」であり、かつ「観光、保養その他これらに類似する活動」である18歳以上の人および同行するその外国人配偶者
  • 在留期間が切れている人
  • 日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国の人で、本国政府からの社会保険加入証明書(適用証明書)の交付を受けている人
    (2016年1月の時点でアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、オーストラリア等15か国が該当します)
  • 生活保護を受給中の人

また、75歳以上の人は後期高齢者医療制度が適用されるので、国民健康保険の対象からは除外されます。

 

国民健康保険の加入手続き

国民健康保険に加入する時には、お住まいの地域の区役所や市役所の窓口に行く必要があります。手続きができるのは、加入する本人か同一世帯の家族。それ以外の人が手続きをする時(例えば本人は日本語が苦手なので日本人の友人に代わりに手続きをしてもらうなど)には委任状という書類を作って持参します。

手続きに必要なもの

  • 在留カード(外国人登録証)
  • パスポート、学生証などの身分証明書
  • 世帯主及び被保険者のマイナンバーがわかるもの(個人番号カード、通知カード、住民票など)
  • 指定書(在留資格が「特定活動」の方のみ、活動内容を示す書類を提出)

保険料は後から郵送される納付書を使って役所や銀行、コンビニなどで支払うか、口座振替を申し込めば毎月自動で銀行口座から引き落とされます。申し込みの時に窓口で保険料を払う訳ではないので、慌てて現金を用意する必要はありませんよ。

 

国民健康保険でカバーされる費用

国民健康保険に加入していると、以下の内容については全体の費用の3割だけ病院などの窓口で支払えばOKで、残りは国民健康保険が負担してくれます。最初に全額を支払った場合は、申請して審査で認められれば払い戻されます。

  • 病院や診療所で受けた診察の費用
  • 骨折やねんざで接骨院で診察をうけた時
  • 入院した時の食費、居住費(光熱費)
  • コルセットやギブスなどを作った時
  • 医療でどうしてもはり、灸などが必要となった時
  • 療養の給付を受けられない輸血のための生血代
  • 重病人の入院・転院などの移送費
  • 在宅療養の必要があると判断されて訪問介護ステーションを使用した時
  • 急な怪我や病気で保険証を持たずに診察を受けて治療費の全額を支払った時
  • 海外に行っている時に現地の病院で診察を受けて治療費の全額を支払った時

またそれ以外にも、入院や手術などで高い医療費を払った場合に一定額を超えた額を払い戻してくれる「高額療養費」、加入者が子供を出産する時に支給される「出産育児一時金」(基本的に出産する病院に直接支払われます)、加入者が亡くなった時に支給される「葬祭費」などの制度があります。いずれも自分で申請しなければ受け取ることができず、また市町村によっても内容が異なるので、該当する人はしっかり自分の住まいの制度を確認しましょう。

 

国民健康保険でカバーされない費用

国民健康保険の目的は「全ての国民が最低限の治療を受けられるようにする」ことなので、以下のように質の良い治療や環境、予防的行為を求める場合には全額を自費で支払う必要があります。

  • 入院した時の差額ベッド代(大部屋なら保険適用、個室を利用すると自費)
  • 自由診療での歯科治療(金やセラミックでの差し歯、矯正、インプラントなど)
  • 正常分娩での出産(帝王切開は保険対象)
  • 健康診断や人間ドック
  • 美容整形
  • 予防接種

 

まとめ

医療保険は国によって大きく異なるので、来日してはじめて自国との違いを知って戸惑う方も多いかもしれません。でも日本の保険制度は2000年に世界保健機関(WHO)から世界最高の評価を受けたほど、実はレベルが高いものなのです。役所での手続きは多少面倒でハードルが高いかもしれませんが、しっかり加入しておけばいざという時にも安心して治療を受けることができますよ。

 


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磯山ゆきえ

この記事を書いた人

磯山ゆきえ 磯山 ゆきえ

気ままな海外一人旅が好きです。外から見たこの国の姿を意識しながら、日本に関する楽しい話題をお届けできたらと思っています。

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