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海外旅行へ行く前にほとんどの人が加入する海外旅行保険。日本に滞在中のみなさんも、来日時にはあらかじめ自国で何らかの保険をかけてから来た、という人もたくさんいるはず。海外旅行保険の主な役割は持ち物の紛失や盗難への補償もありますが、第一に旅行中に予想外のケガや病気になった際の医療費をカバーするというもの。でも、もし日本に在留していて国民健康保険に加入していれば、日本はもちろん自国やそのほかの海外で受けた医療費も保証してもらえることをご存知でしょうか?「健康保険海外療養費支給」と呼ばれるこの制度、利用するにはどのような条件や手続きがあるのでしょうか?
健康保険海外療養費支給制度とは?
国民健康保険汚健康保険海外療養費支給とは、国内で国民健康保険の適用範囲となっている医療と同等の医療を海外で受けた場合に保険給付が受けられるというもの。給付される金額は、日本国内の保険医療機関等で給付される場合を標準額として算出されます(ただし、海外で支払った実費が標準額を下回る場合は実費額が支払われます)。給付は海外で医療を受ける際にいったん全額払った医療費を、帰国後に書類を提出して申請して受け取ります。日本で国民健康保険に加入している人は、帰国後に申請を行えば国内での負担割合に合せて、基準額の9~7割が返ってくることになります。
健康保険海外療養費支給の申込に必要な書類と手続き
必要書類
健康保険海外療養費支給を使って海外で受けた医療費を還付してもらう場合には、下記の書類または持ち物が必要になります。
- 診療内容明細書
- 領収明細書
- 調査に関わる同意書
- 診療内容明細書の日本語翻訳文
- 領収明細書の日本語翻訳文
- 現地で支払った領収書の原本
- 海外で治療を受けた患者のパスポート(療養期間の渡航記録の確認ができるもの)
- 国民健康保険被保険者証
- 印鑑
- 世帯主の銀行口座詳細
1~3は住所地の市区町村のウェブサイトからダウンロードできます。海外へ渡航する際には、万一の場合に備えて事前に何部か印刷して持参しましょう。自治体によって書式が異なる場合があるので、必ず自分の住所地のものを印刷する必要があります。ダウンロードできない場合は、直接市区町村役所の保険年金課に問い合わせます。
手続き方法
- 渡航前に各市町村のウェブサイトから「診療内容明細書」「領収明細書」および「国際疾病分類表」をダウンロード、印刷して渡航先へ持参します
- 海外で医療を受けた際、担当の医師へ「国際疾病分類表」を渡し、それを元に「診療内容明細書」と「領収明細書」を記入してもらいます
- 海外の医療機関から医療費の支払領収書を受け取ります
- 「診療内容明細書」「領収明細書」の日本語翻訳文書を作成し、その他全ての必要書類を揃えて、住所地の市区町村役所の保険年金課で医療費支給の申し込み手続きを行います
- 世帯主の銀行口座へ給付金が振り込まれます
注意事項
対象外となる医療行為
海外でかかった医療費に関する健康保険海外療養費支給は、日本国内で同等の医療を受けた場合を基準にして給付が行われます。したがって、下記のような日本国内で国民健康保険の対象外となっている医療行為に関しては、給付を受けることができません。
- 美容整形
- 健康診断
- 正常出産
- 業務上の傷病
- 喧嘩や泥酔など素行不良が原因の負傷
上記以外にも、最初から海外での治療が目的で渡航した場合には給付を受けることはできません。
請求期限
健康保険海外療養費支給の請求期限は、治療費を支払った日の翌日から起算して2年間です。
事前準備が大切
海外療養費の支給申請には、現地での医療担当者に直接記入してもらうべき書類があります。各書類は基本的に各患者が受診するごとに記入が必要ですので、渡航前に十分な部数を印刷しておく必要があります。
海外旅行保険との比較
日本以外の国の医療費は、各国の法に従って設定されています。健康保険海外療養費支給はあくまでも日本国内の医療費を基準としているため、渡航先によっては医療費の設定が日本のそれとかけ離れて高額な場合もあります。その場合、一般保険会社が販売する海外旅行保険のほうが手厚く補償していることもありますので、必ず比較検討をしておきましょう。
まとめ
日本の国民健康保険と同等の補償が受けられる国民健康保険の海外療養費支給制度。海外旅行保険は加入期間が長いほど高額になりますので、日本の国民健康保険が適用されるのであればこれほど嬉しいことはありませんね。ただし、支給の条件については注意する必要がありそうです。支給対象は、日本国内で国民健康保険の対象となっている医療のみ。加えて渡航先では保険適用範囲内でも、日本でそうでなければ支給は受けられないなどの制約もあります。受ける医療の内容によっては、一般保険会社の海外旅行保険のほうがいい補償を受けられることもありますので、一概に旅行保険を切り捨てるのでなく、必ず一般の保険も必要かどうかを比較検討することをお勧めします。
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