日本で病気やケガをしたら…自分の医者は自分で選ぶ!?

Doctor-2

photo by AlexProimos

みなさんは自国で体調を崩したら、まずどこに行きますか?風邪程度の軽い体調不良ならスーパーで手に入る市販薬で対応し、ちょっと深刻な症状ならホームドクターやGPにかかって相談する、という人が多いのでは?ホームドクターやGPなどのいわゆるかかりつけ医の制度は、世界中たくさんの国で採用されているとても便利なものですね。しかし、この制度は日本では採用されていません。もしあなたが日本に滞在中に、緊急ではないけれども体調が悪くて医師の診断を仰ぎたいという時、自分で症状を判断してどの科にかかるかを決めなくてはいけないのです。

 

日本の医師は専門医のみ

日本で医師の診療を受けるには、総合病院の診療科、もしくは特定の科に特化した診療所や病院を受診することになります。日本ではかかりつけ医制度を導入していないため、全ての医師はそれぞれの専門分野のみの医療を提供しています。規模の大きい総合病院の中には、初診の患者を対象に「総合外来」や「初診外来」といった科を置いて、全ての症状の患者を診断する医師がいるところもあります。しかし、これは同病院内の何科に振り分けるべきかを判断するためのシステムなので、ホームドクターやGPとは全く異なるものです。例外的に、離島などの僻地と呼ばれる地域では、一人の医師が自分の専門外の分野までもカバーするということもあります。

 

受診の際の手順

病気やケガで病院や診療所を受診するさいの手順は各機関によって多少変わります。ここでは総合病院を初めて受診する際の一般的な流れをご紹介します。

  1. 病院に行き「受付」「総合受付」「初診受付」などで受診したい科を知らせ、保険証を提出します。初めて受診する場合は用紙に個人情報を記入し、ファイルと診察券を作ってもらいます。
  2. 受付で個人用のファイルもしくは受付票などを受け取り、受診する科の窓口に提出します。
  3. 診療科で問診票を渡されたら、記入して提出。
  4. 名前を呼ばれたら医師のいる診察室に入って診察を受けます。(規模の大きい病院では、診察室の前にさらに待合があることもあります)
  5. 診察が終わったら、また診療科の前で待機します。名前を呼ばれて診察前に提出したファイルなどを手渡されます。
  6. 病院の会計に診察後に受け取ったファイルなどを提出し、支払いを済ませます。処方箋があれば受け取ります。
  7. 処方箋と保険証を薬局に提出して薬を購入します。(薬局は病院外にある場合が多いです)

※特定の科のみの診療所や病院では、最初の受付を済ませた時点で医師に患者のファイルを回してくれるため、2の手順は必要ありません。また、診療所や規模の小さい病院であれば受付と会計は一緒になっていることが多いため、5の手順も必要ありません。
※受診の際予約が必要かどうかは各機関によって異なります。完全予約制の医療機関もあれば、予約は受け付けていないというところもありますので、事前に確認しておくことが望ましいです。

 

かかる機会の多い診療科

ホームドクターやGPのいる国では、体の不調があればとりあえずかかりつけの診療所へ行き、専門的な治療が必要な場合は紹介状を書いてもらって病院にいる専門医を受診します。しかし日本では自分で受診する科を決めて受診するスタイル。どんな時にどの診療科を受診すればいいのか、日常生活でお世話になる機会の多い診療科についておさらいしてみましょう。

内科

風邪、感染症、内臓疾患、高血圧、糖尿病などの生活習慣病、喘息、食物アレルギー、予防接種を受けたい場合など

耳鼻科/耳鼻咽喉科

鼻炎/アレルギー性鼻炎、花粉症、耳の炎症、難聴、蓄膿症など

眼科

近視・遠視などの屈折異常、斜視、弱視、白内障、緑内障、逆まつげなど

整形外科

手足や関節などの縫合が必要な深い切り傷、損傷のひどい擦り傷、動物の咬み傷など

小児科

風邪、感染症、アレルギーを含む15歳くらいまでの子供の疾患全般

産科・婦人科

女性特有の臓器に関わる疾患全般、妊娠・出産に関わる検診や治療など

泌尿器科

腎臓・尿管・膀胱・尿道などの尿路系、男性生殖器に関わる疾患全般

心療内科

心理的要因が引き起こす身体的不調全般:腹痛・下痢・便秘、高血圧、心筋梗塞など

 

日本語での受診に不安がある人は…

外国人が日本で病院や診療所での診察や治療を受ける際、一番気がかりなのはやはり言葉の問題ですね。日本国内で外国語で診察のできる医師を探すのは、なかなか難しい作業と言わざるを得ません。簡単な英単語を使っての症状の説明を理解できる人はいても、診断や処方する薬剤の説明を日本語以外の言語でできる医師はなかなかいないのが現状です。患者側も日本語ができないとなると、正しい診察を受けること自体がかなり難しくなってしまいます。そんな外国人患者をサポートするため、下記の団体が多言語での医療相談サービスなどを行っています。

AMDA国際医療情報センター
外国語の通じる医療機関の紹介、医療福祉制度の案内など
センター東京:03-5285-8088
※英語、タイ語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、フィリピン語、ベトナム語に対応(言語によって曜日指定あり)
大阪オフィス:050-3598-7574
※英語、スペイン語、中国語に対応

東京都保健医療情報センター
都内の医療機関や薬局の検索、医療機関案内、電話通訳サービスなど
※英語、中国語、韓国語、タイ語、スペイン語に対応

 

まとめ

自分の症状に合わせて最初から専門医を受診することができる日本のシステム。でもかかりつけ医制度のある国出身の人にとっては、どの診療科を受診すればいいのか迷うこともありそうですね。そんな時はちょっと手間ですが、大きな総合病院の初診外来を受診して案内してもらうほうが安心です。予約制でない病院だと初診はかなり待ち時間が長くなるので、朝早い時間に受診したほうが無難ですよ。

 


関連記事
WHO世界最高評価!外国人の国民健康保険加入制度とは
病院に行きたいけれど…健康保険証が届く前にけがや病気になったら
日本を出国する際はお忘れなく。国民健康保険の脱退手続きについて
引越しする時には忘れずに!国民健康保険の住所変更手続き
社会保険から国民健康保険への切り替え方法と任意継続
外国人も加入必須!国民健康保険を支払わないとどうなる?
国保加入者は渡航先での医療費が70%返ってくるってホント?
保険料が高すぎる…!国民健康保険料の減免申請
春は花粉の季節…日本人が実践する花粉症対策いろいろ
大人の歯科治療も国保でカバー?日本で歯医者へ行くときは?
仕事が原因のケガや病気を補償?労災保険の基礎知識
ケガや病気でやむを得ず休業…そんなときは健康保険の傷病手当金
【療養補償給付編】仕事が原因のケガや病気を補償?労災保険の申請方法
【休業補償給付編】仕事中のケガで休んだ場合の収入補償?労災保険の申請方法


 

 

あきらことほ

この記事を書いた人

あきらことほ あきら ことほ

日本を離れて11年。帰国の度に日本のいいとこ再発見。このコラムが皆様の「日本のいいとこ発見」のお役に立てればウレシイです!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>