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ほんの十数年前までは、日本旅行と言えば東京・京都・大阪など、ザ・日本とでもいうべき定番の観光地がメインでした。しかし、昨今は外国からの旅行者の急増にともなって観光客の興味の対象も多様化。交通の便が悪いためにこれまで外国人観光客からはあまり人気のなかった観光地にも、ドライブで訪れる人が増えています。それと同時に、外国人ドライバーによる自動車事故の増加も問題になってきているのです。また、旅行者でなくてもただでさえ慣れない外国での交通事故。なんの事前知識もないと、必要以上にパニックになってしまいかねません。今回は、万一日本で運転中に交通事故を起こしてしまった時に備えて、事故処理の基本を学んでみましょう。
事故処理の基本手順
日本で運転中に交通事故を起こしてしまった!外国での事故ということもあり、どうしていいか分からない…と思う人もいるかもしれません。しかし交通事故の際の事後処理は、おそらく日本でも海外でもそんなに大差はありません。交通事故が起こったときの初期対応は事故の程度によって多少変わりますが、おおむね次のような流れで行われます。
1. 負傷者の確認・救護
負傷者がいる場合はその救護が最優先事項です。これは道路交通法でも定められている運転者の義務で、必ず行わなくてはなりません。不詳の具合を確認して、応急処置が必要な場合は安全な場所に移動してから行います。必要であれば救急車を呼びます。救急車を呼ぶ場合は最寄りの消防署に電話(119)に連絡しましょう。
2. 事故車を安全な場所へ移動
自動車が走行可能であれば、他の運転者の邪魔にならない路肩などに移動させ、三角表示版などで後方へ注意を促します。車が完全に故障して動かない時は、レッカー会社やディーラーなどに連絡して車を移動してもらいます。レンタカーの場合はレンタカー会社が契約している業者がある場合がほとんどなので、まずレンタカー会社へ連絡します。
3. 警察への連絡
事故の程度に関わらず、最寄りの警察書への電話連絡(110)は必ず行います。警察官の到着に時間がかかる場合もあるので、後回しにせずにできるだけすぐに連絡しましょう。
4. 相手がいる場合はお互いの詳細を交換
最低限、相手の車両のナンバーと運転者の氏名、住所、連絡先は確認しておきます。相手の保険会社と証書番号も出来れば聞いておきましょう。
5. 事故状況の確認
事故後の現場確認では警察官が道路や信号の状況、どのようにして事故が起こったのかを詳しく実況見分します。事故の相手がいる場合は過失割合を決定するためにも現場確認は非常に重要です。事故当事者以外に目撃者がいれば、できるだけ証言をお願いして連絡先を入手しておきます。その後、ここで確認した事項を元に警察で事故証明書を発行してもらいます。事故証明書は自動車保険を使うときに必ず必要になる重要な書類です。発生時に届け出ていない事故は、事故証明書を取得することができません。
6. 保険会社/レンタカー会社への連絡
自分の車で事故を起こした場合は、自分で加入している保険会社へ決められた期日内に事故の報告をします。レンタカーの場合は、レンタカー会社が加入している保険を使用することになるので、速やかに担当店舗まで連絡して指示を受けます。
交通事故の際に絶対やってはいけないこと
負傷者の救護を怠る
前述のとおり、交通事故での負傷者の救護は法律でも定められた運転者の義務ですので、これを怠ると処罰の対象になります。また、救護義務は事故の際の加害者・被害者に関係なく課せられますので、自分の負傷の程度が軽ければ相手のために救護処置を行う義務があります。
警察への届け出をせずに立ち去る
事故を警察へ届け出ないと事故証明書が発行されません。事故証明書がなければ、保険会社は保険金の申請を受け付けませんので必ず届出をしましょう。また、物損や負傷者があるのに事故を届け出ずに立ち去れば、ひき逃げや当て逃げとして刑事処罰の対象になります。
事故の相手とその場で示談をしてしまう
交通事故の直後は気が動転しており、ただでさえ正しい判断が下しにくくなっています。また、事故の後で思わぬ体の不調や車の不具合が出てくることも多く、その場で安易に事故の影響を判断するのは非常に危険です。事故の相手との交渉は、その道を専門としている保険会社に任せるべき。たとえ相手が示談を持ちかけて来ても、絶対に応じてはいけません。
ケガが軽いからといって病院に行かない
事故で負ったケガは、のちのち思わぬ不調を招くことが多々あります。何らかの衝撃を受けて負傷した場合は、たとえ程度が軽くても病院で診察を受けましょう。
自動車保険について
日本の自動車保険は、「自賠責保険」と「任意保険」に分かれます。日本以外の国でも同じようなシステムを取っているところが多いと思いますが、この2つには下のような違いがあります。
自賠責保険
事故被害者の最低限の救済を目的に、全ての自動車に加入が義務づけられている保険。保証は事故相手の身体に関する損害のみに限定されており、事故相手の物損および運転者側のあらゆる損害は補償の対象外。保証額には上限があります。
任意保険
自動車の所有者が任意に加入する保険で、補償内容や対象はプランによって相手側の物損、自分の身体的損害や車両をカバーする保険など様々。
※レンタカー会社で自動車を借りる際には、対人・対物・車両・人身傷害の保険料が料金に含まれている場合がほとんどです。万一事故が起こった際には、レンタカー会社が加入している保険が適用されますが、免責額や補償額を超過してかかる費用は自己負担になります。また、車両が破損・故障して修理が必要な場合は、ノンオペレーションチャージ(休業補償)がかかります。契約前に必ず補償内容を確認するようにしましょう。
まとめ
さて、今回は日本で交通事故を起こしたときの初期対応についてご紹介しましたが、意外と自分の国の時と変わらないなと思った人も多いのでは。どんなに運転に慣れていても、事故の時にはショックで気が動転してしまうもの。まずは気を落ち着けて、安否確認と警察への連絡から始めましょう。また、交通事故の程度によっては事後処理に時間がかかってしまい、日本での滞在期間自体を変更せざるを得ない状況にもなりかねないので、運転する時にはしっかり安全に気を配りましょう。
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