車の運転前にチェック!日本で交通違反をしたらどうなる?

parking ticket

photo by Charleston’s

日本に住んでいる外国籍の人たちの中には、日本で車を運転する機会のある人も沢山いると思います。日本で運転するには、国際免許証や日本の運転免許証の取得が義務付けられていますので、みなさん日本で運転をするうえでの交通ルールに関してはご存知のことと思います。ルールがあるということは、これに違反した場合は処罰が科されるわけですが、さて、どのような違反をすればどういう処罰が下るのか、という詳細を知っているという人は少ないかもしれません。そこで今回は運転者が日本の普通運転免許を保持していることを前提に、主な違反行為とそれに対応する行政、および刑事処分についてお話ししたいと思います。

 

免許の点数制度

日本では、自動車などの運転者の交通違反や交通事故の程度の度合いに応じて一定の基礎点数をつけ、運転者の過去3年間の累計点数などを考慮し、免許の停止や取り消しを行う「点数制度」を採用しています。点数制度の内容は主に以下の4つの項目があります。 

主な一般違反行為の例と基礎点数 

違反行為の種別

点数

酒気帯び点数

0.25mg以上

0.25mg未満

無免許運転

25

 

 

酒気帯び運転

0.25mg以上

25

 

 

0.25mg未満

13

 

 

速度超過

50km以上

12

25

19

30km(高速40km)以上50km未満

6

25

16

25km以上30km(高速40)未満

3

25

15

20km以上25km未満

2

25

14

20km未満

1

25

14

放置駐車違反

駐停車禁止場所等

3

 

 

駐車禁止場所等

2

 

 

信号無視

赤色等

2

25

14

点滅

2

25

14

 

特定違反行為と基礎点数 

違反行為の種別

点数

運転殺人等、危険運転致死

62

運転障害等、危険運転致傷

45~55

酒酔い運転、麻薬等運転、救護義務違反

35

 

交通事故の不可点数 

違反行為の種別

点数

死亡事故

20

治療期間3月以上の重傷事故
又は特定の後遺障害が伴う事故

13

治療期間30日以上 3月未満の重傷事故

9

治療期間15日以上 30日未満の軽傷事故

6

治療期間、15日未満の軽傷事故
又は建造物損壊に係る交通事故

3

 

あて逃げの不可点数

他の車両や建物にぶつかり物損事故を起こしたまま事故現場から逃走する、当て逃げをした場合は5点が加算されます。

交通違反に対する点数は、0からスタートして点数が累積していく可算方式を取っています。例えば、赤信号を見落として制限速度内で交差点に進入、歩行者に接触し、相手に治療期間15日未満の軽傷を負わせた場合、赤信号無視の2点+交通事故の不可点数が3点で、合計5点が加算されます。過去の累積点数、また免許停止や取消の記録などが併せて考慮され、状況に応じた行政処分・刑事処分が下されます。

 

交通違反に対する行政処分

運転者が交通違反をした場合、累積点数や過去の行政処分の履歴に応じて免許停止や取消などの行政処分が下されることがあります。例えば、過去3年間に全く行政処分の履歴がなく累積点数0だった優良運転者が交通違反をした場合、累積点数6点で30日間の免許停止処分、9点で60日間の停止、12点で90日間の停止、15点で免許取消処分になります。しかし、過去3年間に2回行政処分を受けている運転者は、累積点数2点で90日間の停止、3点で120日の停止、4点で150日間の停止、5点まで達すると免許取消処分になります。原則として、過去の運転履歴が優良であるほど猶予を持った処分が下り、過去の運転履歴が悪質であれば厳しい処分が下されます。

 

交通違反に対する刑事処分

反則金制度

交通違反の中でも一般違反行為のごく軽微なもの、例えば駐車違反や時速20㎞未満の超過速度などは、交付された交通反則告知書(通称青キップ)についてくる納付書で反則金を支払えば、刑事事件としての起訴・処罰が免ぜられます。反則金は青キップについてくる納付書を使って、銀行または郵便局で納付することができます。納付期限は青キップで告知を受けた日の翌日から数えて7日間です。普通車で違反した場合の主な例は、

  • 時速40㎞までのスピード超過:9,000~35,000円
  • 放置駐車違反:10,000~20,000円
  • 信号無視:7,000~9,000円

刑事罰

対して一般違反行為の中でも程度が深刻なもの、または特に悪質な違反として特定違反行為に指定されているような違反をした場合は、刑事罰の対象になります。このような違反を犯した場合、告知書(通称赤キップ)が交付され、警察および裁判所への出頭勧告が来ます。あまりに重大な違反・事故の場合は、逮捕・拘留されることも。赤キップを受け取った後は、警察・検察官による取り調べの結果起訴処分となれば、裁判にかけられ科料、罰金、禁固、懲役などの判決が下されます。刑事罰の内容は、一件ごとの詳細を裁判で検証して決まるため、あらかじめ決まっている訳ではありませんが、おおまかに次のようなものがあります。

  • 酒酔い運転:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 酒気帯び運転:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • 麻薬等運転:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • 救護義務違反(ひき逃げ):5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 時速50km以上のスピード超過:6月以下の懲役(過失の場合は3月以下の禁錮)又は10万円以下の罰金

反則金と罰金の違い

反則金とは、一般違反行為の中でも特に軽微なもののみに適用される制度です。本来ならたとえ軽微といえども法律違反には変わりないので、起訴・裁判を行って判決を渡されるべきなのですが、実際にこれらの違反の検挙数を考えるととても合理的とは言えません。そこで違反を認め反則金を支払うことで、この起訴・裁判の過程を免除するのが反則金制度です。ですから、反則金を納付した時点で処分は修了となり、前科はつきません。一方、罰金は裁判を経て科された懲罰ですから、前科がつくことになります。

 

外国免許や国際免許証での運転者による違反

日本の運転免許を持たず、外国運転免許や国際免許証で運転している人が交通違反をした場合は、点数の累計加算はされませんが、反則金や刑事罰は日本の免許証保持者と同じく適用されます。青キップ/赤キップが交付されてからの一連の流れは、日本の運転免許で運転している人と同じ流れをたどることになります。

 

まとめ

今回は日本で交通違反をした時の行政処分と刑事処分の、おおまかな内容をご紹介しました。免許の点数制度は日本だけでなく、世界の色々な国で採用されているシステムですので、自国と似ていると感じられた方もいるかもしれませんね。日本では数年前から、酒酔い・酒気帯び運転や悪質な交通違反に対する罰則が厳罰化される傾向にあります。運転する際には今一度日本の交通ルールを確認して、安全運転でお出かけください。

 


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あきらことほ

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あきらことほ あきら ことほ

日本を離れて11年。帰国の度に日本のいいとこ再発見。このコラムが皆様の「日本のいいとこ発見」のお役に立てればウレシイです!

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